カレーには味噌汁が付く 味噌汁のわかめのために割り箸を割る 斉藤斎藤
松屋と確信する。
「カレー」を食べる。食べすすめて、おまけの「味噌汁」に手を伸ばしたところで一瞬の逡巡がある。これが、具沢山の豚汁だったら迷いはない。さっさと割り箸を割りおいしくいただく。しかし、ものはお湯に味噌を溶きわかめを浮かべた、味噌汁というより味噌汁的な何かである。もったいないとかめんどくさいとか、わざわざ「割り箸」を使う価値を考えてしまう。逡巡ののち主体は「割り箸を割る」。僕は割らない。松屋のカレーの味噌汁はスプーンで食べる派。誰かがどこかの松屋でカレーの味噌汁を自分とは違うふうに食べてるんだなあと思えることがなんでこんなにうれしいんだろうね。
(斉藤斎藤『渡辺のわたし』BookPark、2004年)

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