観てきました。少し前にNHKで放送された制作舞台裏のドキュメンタリー(宮崎父子が主人公)とか、昨年の『借りぐらしのアリエッティ』の際に『
CUT』に載ったインタビュー(宮崎駿氏・鈴木敏夫氏ほか)を見たり読んだりしていた後だったので、なおさら興味深く観た次第。
感想をまずひとことで言うなら「ウェル・メイド」。小粒だけどすごくいい感じにまとまった作品だった。で、たぶんそこは『アリエッティ』と同様、スタジオジブリ的に敢えて狙った通りの作品になっているんではないかと。
上記のドキュメンタリーやインタビューにも描かれていたが、目下の映画業界やアニメ業界の状況はスタジオジブリをもってしても余裕で左団扇というわけにはいかないものらしい。実際、監督とプロデューサーの間では「今ならまだ社員5人ぐらいの版権管理会社にして、大半の社員に辞めてもらったとしても退職金が払える」みたいな話し合いもしたんだとか。
それでも結局、ジブリは前へ進む決断をした。3年間で新人2人による新作2本、そして「超大作」1本を出すといった結論へと至ったようだ。「新人」とはもちろん前作『アリエッティ』の米林宏昌監督と、今回が『ゲド戦記』に次ぐ二作目となった宮崎吾朗監督。もちろん、残る一つの“超大作”とは、(NHKの番組でも示唆された)これから宮崎駿監督が作ろうとしている映画なんだろう。
もっとも、前記の『CUT』での鈴木敏夫氏インタビューによれば、ジブリの幻の新人監督という人材はこれまでにもたくさんいたとのこと。それがどうして実を結ばなかったかといえば、やはり「宮崎駿のプレッシャー」だったとか。これは冗談ではなくシリアスなものらしく、前記のNHKのドキュメンタリーにも、確かにそのあたりの空気が濃密に漂っていた。
もとよりスタジオジブリといえば「=宮崎駿」というイメージが今なお濃厚にあるというのが実情だろう。とはいえ、プロダクションとしては後継の人材も育てていかなければならない。
そうした中で宮崎駿は、息子の宮崎吾朗に対して、彼が生まれる前の1963(昭和38)年を舞台とした高校生たち純愛ラブストーリーを基軸とした企画・脚本を託した。はたしてその結果はどうだったのか。NHKのドキュメンタリーの末尾では「脅かしてみせろ」という親父のコメントに「死ぬなよ」と答える息子の姿が出てくる。
――というところで、映画についての細かの感想はまた次回に(笑)。
(
つづく)

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