『リストラなう!』について先日ここに感想を書いた後もどこか書き残したような気がしていたのだが、ゆきねこさんが紹介してくれた
この映像などを見ながら、なんとなく自分の中にあったもやもやしたものが見えてくるような気がした。
そうだ。やっぱり「未来」につながる話のほうが書いてて楽しいよ、と。
実は『リストラなう!』の元になったブログ(
たぬきちの「リストラなう」日記)の噂を聞きながら、本になるまで覘きにいく気にならなかったのも、要するにただ単純な「辞めようとしている会社への恨みつらみ話」みたいな話を読まされるんだったらイヤだな……という気がしていたからだ。まあ、実際に書籍化されたものを読んでみたら、「たぬきち」氏なりに自身の退社直前の日常や過去の体験談を、常に読者のことを想定しながら「僕はこんなふうに思った。君はどう思う?」と暗に実直に問いかけるような書き方がされていたのに好感を覚えたのだが。
そこでさらに改めて思う。「そういえば俺、このブログで今まで自身に関わる“内幕話”的なことってほとんど書いたことないな」と。
当ブログ日記を以前から何度かお読みいただいている方、あるいはオフラインで私のことをよく知っておられる方ならば既にご承知かと思うが、この岩本太郎という人間は全然理性的ではなく、逆にその場その場の気分ひとつから直情的に行動してしまう男である。そもそも会社員を辞めてフリーライターになったきっかけだってヤブレカブレな後先考えずのものだったし、独立してからも、例えば『創』や『GALAC』といった長く仕事でつきあいつづけてきた雑誌に、ある日突然「三行半」を自分から叩きつけるような形で自ら絶縁してきた経緯がある。
ただし、その「経緯」を私は今までここに書いてこなかった。いや、書こうと思ったことは何度かある。けれども結局書かなかったのは(誤解がないように言っておくと)「書けなかった」のではなく「書く気がしなかった」のだ。会社を辞めるにしろ雑誌と付き合いを絶つにしろ、そのつど自身に後ろ暗いことは何一つなかったのだけど、とはいえその経緯をこういうブログに書くのは何か凄く「後ろ向き」というか過去に恋々としているような気がして、筆をとる気が起きなかったのだ。そもそも、これをお読みのあなただってそんなちんけな内輪話につき合わされたくないでしょう?
(あ、でも以前に
『宣伝会議』を辞めた時の話や
、「フジサンケイビジネスアイ」の連載を切られた時の話は書いてるな。結構うじうじしているか ^_^;)
『リストラなう!』を結局読んで「あ、こういう具合にさわやかに退社の内幕話を吐露できるならいいなあ」と思いながら「じゃあ俺は何で今まで“内幕話”を書かずにきたんだろうと思っていたのだが、上記の映像の中で佐々木さんと「たぬきち」氏が「退職後も辞めた会社に恋々と、古巣のサークルに遊びに来るみたいに」云々という話をしていうのを聞いて、少し合点がいった。「そうか、俺、とにかく過去を断ち切ったうえで前に進みたいんだ」と。
確かにこういう気ままな個人ブログで何を書こうが所詮は俺サマの勝手であるわけなんだけど、とはいえ別れた恋人のことを延々と書き綴るような真似(というと今ひとつ比喩が適切ではないか)をするのはあまり生産的ではない。そんなことより、これからにつながる話を書いたほうが精神衛生上も良いなと、自分でも薄々わかっていたのかもしれない。
(もっとも――これも弁解めくが――過去に自分が仕事してきた雑誌や、そこで書いた記事の存在を全否定するわけではない。実際に自分が手がけてきた記事の大半は今でも私の部屋の本棚にならんでいる。何かの資料や参考材料に引っ張り出す以外はほとんど読み返しもしないけど)。
てなわけで最初は『リストラなう!』に触発され「今後は自分の暴露話も書くぞ!」と考えながら書き出したものの、途中で「やっぱり止めとこ」と思い直したのが以上の日記なのでした。表題と違っててすみません m(_ _)m まあでも、この先「未来の話」につなげる材料になると思ったり、「どうしても我慢なんねえ!」と怒りに駆られる局面があったら、遠慮なく実況中継もしくは「本棚から取り出す」ことはあるよ、ということでした。ではでは。

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