現在のメインの仕事先(東京・神田神保町にある週刊誌の編集部)へほぼ毎日出勤する生活が始まったのは2年前の2月初めだったから、奇しくもそれは目下のコロナ禍が本格化してからの時期とほとんど重なる格好になっている。
以来すでに1年半、その間の私はというと、世間的に「リモートワーク」なるものが進んだと言われる時流にまったく逆らうかのように、それまでの在宅フリーライター生活から一転、朝9時半に家を出たら帰宅は大概20〜21時という、まるっきり昭和〜平成の正しいサラリーマン的な(?)生活に突入してしまった。
なんでそうした世間と逆のことになっちゃったのかについては説明するのがめんどくさいのでとりあえず今回はパスするけれど、その間は勤務中もひたすら神保町の編集部でのデスクワークにびったり、屋外に出るのは昼飯を買いにビルの真下のコンビニに行く時のみ。日中は取材に出ることも(感染予防の見地から)憚られる状況に。なおかつ休日は遠出も不可能で、静岡の実家(本来なら2年前にはとっくに東京からUターンで帰郷しているはずだった!)への帰省も既に1年半不可能に。その間、唯一首都圏外に出たのは昨年末に福島へ日帰りで行った時の一度だけーーという、およそ事前には予想だにしなかった状況に置かれる格好となった。
以前であれば仕事明けの18〜19時頃に立ち寄った新宿で映画を見たり晩飯がてら飲みに行ったりということもできたが、20時で飲食店が強制終了させられる今は、晩飯が週3日は職場もしくは自宅でのコンビニ弁当。酒は付き合い以外でウイークデイに飲む機会は絶無に(ちなみに5年前の年末に怪我をしたのをきっかけに家飲みはやめたため、自宅ではもう4年半、アルコールは1滴も口にしていない)。おかげで体重は5年前に比べて15kg減のダイエットに成功。
そんなストレスフルな日常へのせめてもの癒しに始めたのが週末の郊外「日帰り温泉」通い。土日の夕刻、50代後半の疲れきった身体をよろよろ引きずり起こすように家を出て、電車で概ね1時間圏内にある日帰り温泉へ。湯舟やサウナに2時間ほど浸かり、併設の食堂で晩飯がてら週1の楽しみとなったビールでうさを晴らし、帰路の電車でも何杯か煽りながら帰った家でぐっすり。翌朝「おっしゃ!」と9時半発の丸ノ内線で出勤――という日々が、もう1年半も続いちゃったんだねw(゜ロ゜)w
ただしそんなささやかな憩いも脅かされるようになってきた。この拙稿をご覧の多くの方もご存知の通り、コロナ禍とオリンピック・パラリンピックを迎えた東京は今春以来、実質「禁酒法」 下に入り、私が行きつけだった都内の日帰り温泉も5月のGW以降軒並み休業へ。開いている日帰り温泉も続々時短および酒の提供禁止に踏み切った。そんな、湯上がりのビール一杯も取り上げるなんて( ;∀;)
んで連休以降、よく通っていたのがこちら、東武東上線沿線の坂戸にある「ふるさとの湯」だった。坂戸までは副都心線の新宿三丁目から直通のFライナー(快速急行)で1時間ほどで、運賃は片道約600円。ただ、都心近くのスーパー銭湯だと入浴料だけで1回2000〜3000円かかるが、ここは休日料金でも850円(平日は750円)と、電車賃の出費増を勘案しても元がとれる感じ。なおかつそんなに混まないため、ゆったり湯に浸かるには最適だ。
場所的にも古い宿場町である坂戸の市街地の外れ、高麗川の川土手沿いの静かな場所にあり、2階の露天風呂からは河原を挟んで遠くに秩父連山、冬場には富士山も見渡せるという上々の環境にある。すぐ南側には関越道が走っていて、ここを使って遠くから車で訪れる家族連れが利用客の中心のようだが、坂戸駅からも徒歩20分ほどの場所なので、たぶん私みたいな東京プチ脱出組の愛用者も多いのではないかと思う。
上記の通りGW以降の都内では日帰り温泉が軒並み休業。隣り合う埼玉などの「まん延防止等重点措置」が適用された地域の食堂や温泉でも酒の提供が中止されたが、「まん防」地域からも外れた坂戸ではお一人様限定で夜20時までの酒類提供が可とされていた。そんなわけで私の場合、たいてい土曜日の昼前に疲労困憊状態でのっそり起き出し、昼飯や洗濯を済ませた14時過ぎには家を出て、16時前には坂戸の湯船へ。
18時過ぎには上がって晩飯&晩酌を楽しみ、20時40分発の池袋行き快速急行(TJライナー用のクロスシート車両=特別料金なしで乗車可能)で帰ってくるーーという週末が、この3か月くらいずっと続いていたのであった。おかげで「ふるさとの湯」のスタンプカードもとうとう埋め尽くされ、1回無料(ただし休日利用なので+100円)の権利をゲット。
が、そんな坂戸も8月に入るやついに緊急事態宣言エリアへと飲み込まれてしまい、「ふるさと湯」の食堂も2日から酒の提供は終日中止に。ちょうどそのタイミングでスタンプカードも埋まったので、今後しばらくご無沙汰となる挨拶がてら、先週末に無料でのおなごり利用をしてきたのであった。
んで「しゃあねえなあ、でも青春18期間に入ったことだし、来週からは群馬か栃木あたりまで足を伸ばすか」と思っていたら、これもご承知の通り今日からは「まん防」が1都6県にも拡大ヽ(`Д´メ)。ったくもう、いい加減「悪意」を感じるというか、どうも俺は神様(というヤツがいるとするならば)からの覚えが相当悪いんだなと愚痴りたくもなってくるところなのだが、ともあれ、まだしばらくは我慢の日々が続きそう。次に坂戸まで再訪する頃、高麗川の川土手の蝉はまだ鳴いていることだろうか。


0