東京・新中野の南の上空には今宵も火星が妖しく紅く輝いている。今月末には地球に最接近なんだそうだ。
火星というと(前にも書いたかもしれんが)私が小学校の低学年の頃に肉眼で見た火星の表面の姿が今でもあまりに印象深い。あれは幼い私がまだテレポーテーション能力を保持していた頃で、初めて降り立った火星の荒涼とした大地で凍てつくような風に頬を打たれつつ足元の地面から手に取った石ころの感触が40年以上たった今もこうしてキーボードを叩く手に生々しく残っていて、
というのは嘘で、単に当時住んでいた社宅アパート4階の部屋のベランダから、親に買ってもらった望遠鏡(長さ数十センチ程度のオモチャみたいなやつ)で、やはり今回と同じ最接近の夜に一生懸命「火星見るぞ! 火星見るぞ!」って奮闘しながら三脚もないまま無謀にも粗末な望遠鏡を振り向けるうち、偶然ピンポイントで一瞬とらえてしまった先に、子供用の天文図鑑などに乗っていた写真と同じ、オレンジをベースに深い緑をまぶした火星がビー玉のように見えてしまったんで「ぅっわーーいっっ!!!」って、その後寝床に着くまでの間にひたすら興奮しまくっていたですよ。当時は眼鏡もかけてなかったから、ほんとに望遠鏡以外はモロ肉眼で見た感じでしたね。
そんなわけで、今でも火星が最接近するといった話題を時たま聴くたびに、幼き日に自分の眼が一瞬捉えたあの火星の姿が頭をよぎるのですよ。あいにく今の私の周辺環境および視力(ド近眼。そろそろ老眼も入ってるかな?)からすると難しいけど、せめて死ぬまでにもう1回あれを見れたらいいなあ。あの頃は本当に大人になったら火星まで行けるかもしれないといった話が周りでは言われていたし、15年くらい前でも清田益章さんが火星に行ってきたって話を森達也さん経由で聞いたこともあったけど(^ ^;)。今さらそこまで高望みはしないので、どうかよろしくお願いしますよ、別にあなたのことなんて別に信じてないし、いてもいなくてもどっちでもいいけど、神様。

0