2010/7/21

「なぜ義務教育は9年で6と3に分けるのだろう」  教育・学校・教師


 なぜ義務教育は9年で、小学校6年と中学校3年に分けるのだろう(9年を二分するなら4−5とか5−4とかあったろう)。このことについてかなり熱心に調べたことがあります。その結果は、正確に言えば「よく分からない」ですが、いくつかヒントはありました。

 まず第一に、日本の場合、初期の義務教育は尋常小学校4年だったということです。それがやがて社会人として必要な最低の技能の習得に4年では足りなくなり、また財政的に何とかなりそうだということで6年に延ばされます(1907年)。
 そこに戦後、占領軍統治下でアメリカの影響のもと、3年の中学校が上乗せされたのです。終戦まで義務教育が4年だったらそうはならなかったかもしれませんが、とりあえず初等教育6年は制度として定着していたので、6・3・3制が乗っかりやすかったのです。

 一方日本が手本としたアメリカでは別の理由によって6・3・3制が始まります。
 アメリカの教育は1930年あたりまで、8年の小学校教育の上に4年の高等学校育が乗るという形で行われていました。基礎学校(エレメンタリースクール)と高等学校(ハイスクール)です。ところが産業の発達とともに高等教育を始める段階をもう少し下げる必要が出てきました。

 そこで小学校から2年切り取り、高校から1年切り取って、合わせて中学校というものを生み出したのです。高等教育の先取りですからこの学校はジュニア・ハイスクールと呼ばれ、小学校よりはむしろ高校に近いものでした。

 さて、ここまでくるとだいぶ分かったような気になります。しかしさらに考えたとき、アメリカはなぜジュニア・ハイスクールをつくるときに8年制小学校から2年しか切り取らなかったのか、8・4制を三分割するなら4.・4・4制が最も単純で自然ではなかったのかとうい疑問が生まれてきます。

 私は一時期、「(英米では)13歳以上はティーン・エイジャーと呼ばれるから、だからここから中学校にしよう」というかなりいい加減な理由ではないかと思ったりもしましたが、やがて本質的な事実に出会います。

 どうも当時のアメリカでは、義務教育の5年目(11歳)での中等教育は早すぎると考えられたらしいのです。そこには「子どもは12歳を越えないと抽象的な思考ができない」という心理学的な理由がありました(たぶんそうです)。
 これで一件落着です。

 13歳以上になると具体物がなくても学習ができる、そこで算数は数学になり、図画工作も技術や美術になる。だから6.・3・3なのです。

 さて、それにしても何か違和感はありませんか。7歳から15歳までの子どもを横に並べて2分しようとして、ほんとうに12歳と13歳の間に線が引かれている感じがするでしょうか。ほんとうに子どもは、13歳にならないと抽象的な思考はできないのでしょうか。5年生・6年生の算数は、相変わらずものを動かさないと理解してくれないのでしょうか。

 何かぴんと来ませんよね。

 分数の計算や比などはかなり抽象的な領域ですし、カッコを使った計算なんてモノを動かしていたら説明しきれなくなります。

 実はここに特別の事情があります。日本の子どもだけは、10歳を越えるとかなり抽象的な思考ができるらしいのです。                                                                      (この稿、続く)



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2018/8/10  19:48

投稿者:SuperT

イマイ様
コメントありがとうございます。
>6−3によって、旧制中学というエリート校を解体することができました。
 私にはなかった視点です。
 また、高校を義務教育にして4−4−4制というのは全く納得できるところです。
 しかし一番の問題は中学と高校で、学級数が3分の4倍になるため、拡張工事をしなくてはならないという点です。
 9年の義務教育で5−4だの4―5だの言っても絶対にできないのはそのためです。
 田舎の小規模小中学校や都会の実験校なら別ですが。
 残念ですね。

2018/8/9  14:48

投稿者:イマイ

制度を変えるとしたら、4−4−4制が望ましいですね。
5−4制では、中学受験が前倒しになるだけです。
逆に高校が4年制になれば、義務教育なので全員入学となります。
また4年間あれば、中高一貫カリキュラムの優位性も薄まります。

2018/8/9  14:45

投稿者:イマイ

公文の先取り学習で、小学生が微分積分まで終えることがありますよね。また難関中学を受ける子は、大人でも解けない問題を解いています。

ただ6−3によって、旧制中学というエリート校を解体することができました。財閥解体・農地解放に続いて・・・。そのため東大合格者ランキングは、日比谷・西・戸山と都立高校が占めいました。しかし学校群制度・内申重視により中学受験ブームがおき、効率的な中高一貫カリキュラムが功を奏すようになり、灘・開成がトップになりました。つまり格差解消を狙った6−3制の理念が、なし崩し的に崩壊してしまった。

2017/4/21  20:34

投稿者:SuperT

dd様、コメントありがとうございます。

 シンガポールのように小学校4年生で人生が決まってしまう国もあれば、アメリカのように果てしなく「やり直し」のきく国もあります。
 シンガポールはその時点で優秀でないと取り返しがつかないという恨みが残り、アメリカはいつまでも試されるというしんどさがあります。
 その間のどこかに妥協点があるはずですが、なかなか難しい問題です。


 たくや様
 6年間も気づかず放置してしまいました。申し訳ありません。
 3・3・3はひとつのアイデアです。私は4・5ないしは5・4がいいように思ってます。
 いずれにしろ6・3というのは前半が長すぎて苦しいですよね。
 

2017/4/20  19:37

投稿者:dd

世間で人それぞれなんて言葉を使う一方で学習の期間は制限されて飲み込み
の早い人間だけ出世する世界 浪人したら、新卒じゃなきゃ負け組み 意味
不明

2011/8/7  23:37

投稿者:たくや

現在学校は小、中、高、大となっています。低学校もあったらいいと思います。低学校とは今の小学1〜3年までが入る学校という意味です。僕が思う小学校は今の小学4〜6年という意味です。中学校は通常通りです。つまり義務教育は低学校、小学校、中学校の3つに分けるということです。

2011/7/14  5:19

投稿者:SuperT

うっかり気づきませんでした。返事が遅れてすみません。

>中学校が4年間なら3.5年できるのでいいのにな
―そうですね。
確かに2年半は短い。特に中学校から初めて始めるスポーツだと、基礎
を抜け出したくらいのときに3年生になってしまいます。そうなると小
学校から続けている選手にかなわない場合もあります。
3.5年の部活というのは悪くない。

ただ、今から中学校を4年生または5年生にするには教室数を飛躍的に
増やさなくてはいけませんから、たぶんできないでしょうね。
ちょっとした見果てぬ夢です。
(ただし田舎や都心の過疎化の進んだ学校なら可能性があります。教
育が地方に任せられるようになれば、もしかしたらあり得ます。そう
なると面白いのですが)



2011/7/8  19:07

投稿者:こうすけ

中学校の部活は3年生の10月頃終わるので短いと思います。中学校が4年間なら3.5年できるのでいいのになと思います。

2011/7/4  20:10

投稿者:SuperT

そうですよね。私もそう思います。3年はあまりに短い。

私は小学校が4年、中学校が5年、そういう分け方がいいと思っています。

それについて説明した、7月22日の
« 4・2・3制の勧め≫も読んでみてください。

ところで、何を調べようとしてこの日のブログにたどりついたのでしょう?
6・3制に興味があったのですか?

またよろしくお願いします。

 

2011/7/4  19:29

投稿者:ゆういち

僕もいつも思っていました。中学校は新しい中間と生活できるのに3年間しかいられない。義務教育は9年間なんだから小学校は5年間、中学校は4年間ならいいのにと思っていました。

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