2010/2/22

愛他精神は組み込まれている  教育・学校・教師


 昨日の報道番組「サンデー・モーニング」で、先週、東京の高円寺駅で起こった女性転落事故についてあつかっていました。酔って線路に落下した女性を、若い男性がとっさの判断で救ったという話です。

 その番組の中で、「人間には他者を助けようという愛他精神が組み込まれている。しかし『他人とは関わらない』といった都会のルールによって、無我夢中といった特別な状況でない限り、愛他精神は生かされないようになっている」といった分析が語られていました。

 私は前半(人間には愛他精神が組み込まれている)には賛成しますが、後半の(都会のルールが愛他行動を疎外している)には不賛成です。人間はそれほど悪者ではありません。

 番組の中でも紹介されていましたが、人は助けるべき人間が自分しかいなければほぼ100%助けるのです。それが人数が増えるに従って「誰かがやってくれるはずだ」という気持ちに動かされ、愛他行動の発動が遅れるのです。私たちには自己を守ろうとする本能がありますから、他に助けてくれる人がいそうな状況だと身体は動かないのです。しかし大切なことは防衛本能ではありません。人間には愛他精神が組み込まれているということです。


 1999年の暮れに自衛隊機が埼玉県狭山の入間川河川敷に墜落するという事故がありました。二人のパイロットは戦闘機を人家に落とさないためにぎりぎりまで脱出をためらい、河川敷に落ちる事が確実になってから脱出装置を働かせたために結局間に合わず亡くなりました。

 この事故について、近くの狭山ヶ丘高校の校長先生が学校通信に一文を載せ、それがネットを通じて全国的に広められました。

「人間を矮小化してはならぬ」と題されたその文の中で、校長先生はパイロットたちの偉大な決断を讃えたあと、

「他人の命と自分の命の二者択一を迫られたとき、迷わず他人を選ぶ、この犠牲的精神の何と崇高なことでしょう。皆さんはどうですか。このような英雄的死を選ぶことができますか」

と問いかけます。この文の一番優れた部分は次に来ます。

「私は、おそらく皆さんも同じコースを選ぶと思います。私も必ずそうするでしょう。実は、人間は、神の手によって、そのように作られているのです」

 私たちは他人の業績を誉め讃えるとき、つい「私たちにはできませんよね。でも一歩でもそれに近づけるよう頑張りましょう」といった方向に話を持って行きがちです。しかしそうではないのです。私たちの心の中には、美しいもの、優れたもの、喜ばしいものが山ほど詰まっているのですが、それが行動に移せないのは機会がなかったり、経験が浅かったり、ちょっとした勇気がなかったりするだけなのです。

 その時が来れば、人は他者のために進んで自分の身を捧げるはずです。私はそんなふうに子どもと接して行きたいと思います。


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2010/2/23  22:52

投稿者:SuperT

人間の愛他精神についての記事を読んで生物全体の愛他行動について考えるというのは、あまり一般的な感じ方ではないような気がしました。で、ブログを拝見させていただきましたら犬の写真がいっぱい。愛犬家でいらっしゃるのですね。それで合点がいきました。

フィンランドのことわざに「犬を飼っている人は、子育てがうまい」というのがあるそうです(リッカ・パッカラ著「フィンランドの教育力-なぜ、PISAで学力世界一になったのか」学研新書)が、同じ意味で、「子どもを育てるのは犬を育てるのと同じだ」というとたいていの人は眉をしかめます。そう言われて手を叩いて喜ぶのは愛犬家だけです。

私は犬の躾けについては本の読んだだけで実際に飼ったこともないのですが、シンプルな指示、できるまであの手この手の工夫をすること、できたら即座にほめること、ダメなことは絶対にゆるさないこと、常に同じ指示を与えること・・・などと読み進めると、まったくその通りだなあと思います。

また、最近、不登校指導の現場にアニマル・セラピーが入り込んできて、最初はモルモットやハムスターといったきわめて人間に無関心な生き物から始め、ネコに進み、犬で終わるというのもとても理解できます。犬はとにかくコミュニケーションが必要で、最初から犬に向かうと参ってしまう子がいるのです。

>子供達に人間ばかりではなく 生きる物のいのちの大切さ お伝え下さいね。

良く分かります。その通りですね。

しかし他の生き物の命の大切さの方が、人間の大切さより教えるのだずっと簡単な気もします。同じ人間でも、遠いアフリカの貧しい少年といったものだと愛せるのに、目の前の、においもすれば声も聞こえる、望まなくても何らかの関係お生まれる生身の人間は愛せない、そういう子がたくさんいます。
この子たちも、自分の中にある良きものに気づいていないだけかも知れません。



2010/2/22  8:59

投稿者:タックンママ

こんにちは〜
私も昨日の番組を見て 愛他精神の事をブログに乗せようと検索したところ
こちらのブログがヒットしました。

元々人間に組み込まれているからこそ
と言うより 生物全てに組み込まれているように思われます。
古代からの生命の維持・継承には
種の存続の一つとして存在するのではないでしょうか?
コミニュティーを形成してして行く上では 大きな隠れた武器になりますね。
そういう意味では 防衛本能と紙一重になるのでしょうか?

しかし現実には排他精神も有るでしょう〜
これも一種の防衛本能にも思われます。

生物では己の種の保存本能が最優先のはずですが
人間は複雑な社会を作り上げた結果として より複雑な行動をするようになったと思います。

しかしながら 究極の場面で愛他精神が発揮できるには 日頃の心の有り様が問われる様な気もします。

ご職業は教員なのですね。
子供達に人間ばかりではなく 生きる物のいのちの大切さ お伝え下さいね。

http://plaza.rakuten.co.jp/norisuke23/

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