2009/10/23

文の時代  教育・学校・教師


 ただ君の部屋に音をたてたくてダイヤル回す木曜日の午後

 今月号の「文芸春秋」の中で俵万智さんが引用しているご自身の短歌です。89年に出版された『サラダ記念日』の中にあるそうです。

 文春の中では『固定電話で、留守番電話もなくて、しかもダイヤル式だったころの風情だ。こんなまわりくどい「どきどき感」、今じゃ伝わらないかも、と思う』と説明されています。

 学生時代の私はさらにまわりくどく、本を読みたいばかりにテレビを持たず、手紙を書きたいばかりに電話も持たない時期がかなり長く続きました(しかしそれにも関わらずエアコンは持っていましたから、特に貧乏だったわけではありません)。もっとも付き合っていた相手の方は必ずしも手紙好きというわけではありませんでしたから、向こうにとってはけっこう面倒くさい男だったのかもしれません。


 さて、私はそんなふうに、本を読みラブレターを書くことで文章修行をしました。それでけっこう鼻も高かったのですが、それから何十年もたって、私などおよびもつかないほど大量の文を読み、大量の文を書く若者が現れるようになるとは、想像すらしなかったことです。

 たぶん、普通の若者が一ヶ月に読み書きするメールの量は、当時の私の一か月分のより遥かに多いはずです。
一昨年前の調査では、世界中で書かれるブログで日本語の割合が英語の36%を越え、世界一の言語になりました。日本語のブログを持つのはほとんどが日本人の若者ですから、いかに文章を書くのが好きか知れようというものです。

 読書量だって、徹底的なテレビっ子だった私たちの世代より、ずっと多いのかも知れません。

 もしかしたら「近ごろの子どもは本を読まなくなった、文章を書かなくなった」などと言うのは、とんでもない時代遅れなのかもしれないのです。

 文章主導の時代の国語教育というのも、今後考えていかなければならない内容なのかもしれません。



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