2022/5/24

「私たちは戦う準備をしなくてはならないのかもしれない」〜この戦争は何をもたらすのかA  政治・社会・文化


 日本の隣に核兵器を持つ権威主義の国が三つもある。
 しかし日本が侵略されてもアメリカは動かないかもしれないのだ。
 最初の一カ月を耐え抜いたウクライナの賢明。
 そして戦争はたった一人の決断でできるという現実。

という話。
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(写真:フォトAC)

【隣に核保有国が三つもある。しかも三つとも権威主義だ】 

 今回のウクライナ戦争から教えられたこと、気づかされたことは山ほどあります。
 その一つは、私たちの国のお隣に、核兵器を保有する権威主義の国が三つもある(中国・北朝鮮・ロシア)ということです。ウクライナのお隣にはひとつしかありませんでした。

 三国のことは当然わかっていたのですが、そのうちのひとつ乃至ふたつが、直接我が国に攻め込んでくるという可能性には、全く気が回らかったのです。イメージはさらに湧きません。
 今回の軍事侵攻に関して、私が得た大きな収穫のひとつは、侵略されるということの具体的イメージを掴めたことです。

 なぜそれまでノホホンとしていられたかというと、日米安全保障条約があったからです。条約によってこの国に米軍基地がたくさんある状況で、よもや外国が攻めてくることはあるまい、そんなふうに思っていました。


【アメリカは動かないかもしれない】

 私より少し年上の「団塊の世代」はそうは考えませんでした。彼らは同時に全共闘世代ですから、アメリカ軍基地があるからこそ米国の戦争に巻き込まれる、そうした可能性についてしか考えなかったのです。さらに彼らは「日本が攻められても米軍が助けてくれるとは限らない」と言っていましたが私は信じませんでした。ただ、今は一部で、彼らの主張は正しかったと思っています。
 
 ウクライナはNATOの同盟国ではありませんし、アメリカと単独の同盟を組んでいるわけではないので事情は異なりますが、バイデン大統領は開戦前にすでに、直接アメリカ兵が戦争に参加することはないと言い切ってしまいました。その理由である、
「だってアメリカが参加したら第三次世界大戦になっちゃうじゃん、核戦争になっちゃうじゃん!」
は、同盟国であってもあまり変わるものではありません。
 少なくともそうあっさりと、あるいは自動的に、参戦してくれると考えるのはムシが良すぎるような気がするのです。中露北朝鮮のICBMは、核爆弾を積んでニューヨークに向けられているかもしれないのです。

 もちろん九州に攻め込んできた、新潟に上陸した、という状況では国際的信用にかかわりますから動いてくれるに決まっていますが、尖閣諸島や八重山列島あたりだったらどうでしょう。対馬、隠岐、あるいは利尻・礼文あたりだったらどうでしょう?


【とにかく最初の一週間、そして一カ月、独力で頑張る】
 ウクライナ戦争では「最短三日で陥落する」と言われたキーウは、一カ月たってもロシア軍に占領されることはありませんでした。その一カ月はとても貴重な時間でした。
 この間にNATOは結束を確認し、武器や装備品を送る準備ができたからです。ロシアの目論見通り3日でキーウが占領され4日目にロシア寄りの暫定政権をつくられていたら、手も足も出ませんでした。

 同様に我が国も、いざというときはとりあえず一週間、そして一カ月と、できるだけ長く独力で守り続けることが出来なくてはなりません。国際政治はヤクザな世界ですから既成事実化されたら原状回復はとてつもなく難しいのです。何とか凌いで時間稼ぎをしている間に、国際社会の支持を取り付け盤石のものにするのです。ウクライナがやった、まさにその通りのことをするわけです。


【ひとりの決断で戦争はできる】
 もちろん戦争にならない方がいいに決まっています。しかし今回の戦争は「権威主義の国では頂上のひとりが決断するだけで何でもできる」ということを教えます。それが4番目です。

 戦前、世界中の政治学者の誰もロシアの侵攻を予測できませんでした(軍事の専門家は別)。それはロシア国内も同じで、2月のかなりの時期まで、ロシア軍のトップですら予測できなかったのかもしれません。目論見通り勝っても、いいことはないからです。しかしそれにもかかわらずロシアは侵攻した――。

 戦争はしてはいけませんし戦争にならないように努力するのが政治家の仕事です。しかしどんなにギリギリの話し合いをしても、頂上がその気になれば戦争は始められますし止める手立てはありません。
 それも今回の重い教訓です。日本は戦う準備をしなくてはならないのかもしれません。

(この稿、続く)
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