2021/3/4

「テロリスト列伝」〜若きテロリストたちの肖像A  歴史・歳時・記念日


 ひとつ糸口があると記憶は次々と呼び覚まされる。
 しかし逆に言えば、よくこれだけ忘れてしまったものだ。
 ブルータスにシャルロット・コルデー、人切り以蔵、津田三蔵、ジョン・ブース、リー・オズワルド。
 それぞれに思いつめた若者の歴史がある。

という話。
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(ヴィンチェンツォ・カムッチーニ「ジュリアス・シーザーの死」)

【失われた記憶】 
 昨日、桜田門外の変に始まって赤穂浪士だの2・26事件だの、あるいは荒畑寒村だのサヴィンコフだのと並べているうちに、あのころ勉強した事柄が次々と思い出されて、ああ私はあんなにもたくさんの本を読んで勉強し、そして片っぱし忘れてしまった、少なくとも思い出さなかったと、何か暗然とした気持ちになりました。

 もっとも他に言葉が見つからなくて「暗然」と書いただけで、そこまで暗い気持ちになったわけでもありません。ただ、初期のコンピュータの開発者であるフォン・ノイマンや日本の俳優の児玉清さんのように、一度目を通した文章は頭の中にコピーされたように残っているというような人間だったら、今とは全く異なった人生になっていただろうなと思っただけです。
 もちろん今の私は人生の中で最も幸福な時期を生きていますから、その方がよかったというわけでもありませんが――。

【テロリスト列伝】
 昨日の文章に続けて思い出したのは、歴史に残る様々なテロリスト、暗殺者たちのことです。
 日本で言えば先に上げた3つの事件の実行者のほか、古くは大化の改新の中大兄皇子・藤原鎌足、幕末に人切りの異名をとった岡田以蔵、中村半次郎(桐野利秋)、明治時代、ロシアの皇太子の暗殺に失敗した津田三蔵、昭和に至って浅沼稲次郎社会党委員長を刺殺した山口二矢。

 お隣の韓国では伊藤博文を暗殺した安重根、アメリカではリンカーンの暗殺者ジョン・ブース、J・F・ケネディの暗殺者とされるリー・ハーベイ・オズワルド、ロバート・ケネディの暗殺犯サーハン・サーハン、レーガン大統領の暗殺に失敗したジョン・ヒンクリー。
 ヨーロッパに渡ってジュリアス・シーザーの暗殺者ブルータス。フランス恐怖政治の指導者マラーの殺害実行犯シャルロット・コルデー等々。

 しかしいつでも記憶として取り出せるのはリンカーン暗殺とJ・F・K暗殺の類似点(2008/5/28「5月29日」〜明日はJ・F・Kの誕生日)だとか、「シーザーは実に傲慢な男で、部下の飲むコーヒーの種類まで決めてしまった→“ブルータス、オマエ、モカ!”」とかいったアホ話(2005/10/5「アントニーの詐術」〜人を扇動する)。
 あるいはマラー暗殺のシャルロット・コルデーは24歳のとんでもない美人で、刑場まで連れて行った死刑執行人を震わせたとか、ジョン・ヒンクリーは女優のジョディ・フォスターに己の力を見せるために大統領暗殺を計画したといったどうでもいい話ばかりです。

 現実は解釈されなければ意味を持たない――私の解釈は少しピントがずれているらしいのです。


【三人の暗殺者】
 「解釈された現実」のひとつのあり方が芸術作品です。私はここで文学や映画、そして戯曲から3人の有名な暗殺者を上げることができます。

 ひとりは中国の歴史書、司馬遷の「史記−刺客列伝」に出てくる荊軻(けいか)。もう一人はポーランドの監督アンジェイ・ワイダの映画「灰とダイヤモンド」(1958年)に登場するマチェク。そしして最後はアルベール・カミュの戯曲「正義の人々」(1953年)の主人公カリャーエフです。
 とても印象深い3人ですが、話が長くなりそうです。明日に回しましょう。
(この稿、続く)

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(ダヴィッド「マラーの死」)


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