2020/11/18

「昔の生活:毎日が屋内キャンプ」〜モノによってもたらされる幸せC  生活


 母の第2のひと世代(30歳〜60歳)、
 その大きな変化を知るために、まず世代の始まり部分を見てみよう。
 それは私が5歳くらいまでの時期の、
 日本の田舎にありがちな風景なのだが・・・。

という話。
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(写真:ソザイング)

【アウトドアの何がいいの?
 空前のアウトドアブームとかで、最近では山林ひと山買ってマイキャンプ場にしてしまう人までいるそうです。理解できないことです。

 息子がボーイスカウトに入っていた関係でキャンプは何回も経験しているのですが、アウトドアの生活はとにかく朝から晩まで食事の世話をしている、そんな感じなのです。もちろん子どもたちはその間にネイチャーリングだのラフティングなどと体験活動を楽しんでいるのですが、残された親たちはかないません。
 朝、起きて薪を焚き、飯盒でご飯を炊いて食事の準備、朝食が終わると食器や調理用具を洗い、しばらくするとまた昼食の準備なのです。米粒の張り付いた飯盒などは水を貼って残り米をふやかし、洗うと同時に次の米を入れて炊き始める感じです。

 いま流行りの単独キャンプ、経験がないので分かりませんがボーイスカウトでやっていたあれを一人でやるとなると、ただ「作って」「食って」「洗って」「作って」「食って」「洗って」の無限ループにはまり込んでしまうと思うのですがどうなのでしょう?
 昭和20年代の主婦の生活はそれに似たところがありました。


【昔の炊事=室内で行うアウトドア】
 朝、起きて薪を焚いて――と、まずここが一苦労。今のようにガスバーナーとか固形燃料とかがあるわけではありませんから、新聞紙の切れ端に火を着けて竈(←この字が今の人はほとんど読める、鬼滅の刃)の中に入れ、その上に使用済みの割りばしを数本乗せる、そこに小さく折った枯枝を乗せ、様子を見ながら薪を小さいものから順に積んでいく。
 それができないと何も始まりません。
 (ちなみに「使用済みの割りばし」というのは中華料理屋やレストランから集めたものが販売されていたのです)

 竈に火が入るとそこから飯を炊きます。「はじめちょろちょろ、中パッパ」というあれです。ご飯を炊いている間に野菜を切ったり魚を開いたりします。
 先ほどの続きで、「プチプチいったら火を落とし」ですから、米の入ったお釜がプチプチいい始めたら竈から薪を掻き出し、「火消し壺」と呼ばれれる壺に入れていったん鎮火させます。
「赤子が(お腹が空いて)泣いてフタ取るな」で、お釜はそのまま放置。

 次に火消し壺から燠(おき:薪の燃えさし)を取り出し、七輪に移します。アリアナ・グランデが「七つの指輪」と間違えた調理用具です。燠を入れて上に鍋を乗せたり網を乗せたりして調理するのです。そこで味噌汁をつくったり魚を焼いたりします。
 ここまでを1時間以内に収めることができたら立派な主婦です。


【水道があれば文化的】
 朝食が済んで夫や子どもを送り出すと後片付け。
 昨日も話したように水道の蛇口は屋外に隣家と共有のものが一つあるだけで、日常遣いの水は台所の流し(シンク)の横にある大甕(おおがめ)に溜めておいて、必要に応じてヒシャクですくって使います。皿洗いは、左手で水をすくってかけながら、右手一本で行います。
 何かものすごく旧式めいていますが、「水道の水」と書いただけですでに文化程度が1ランク上なのです。私と同い年の友人の中には朝の最初の仕事が井戸の水くみだという人だっていますし、昭和40年代でも箱膳(はこぜん)で食べていたという強者だっていたのです。

 箱膳というのは一辺30pほどの箱にご飯茶碗と什器、そしておかずを乗せる小皿を置いて行う食事で、食べ終わると湯の入ったやかんが回ってくるのでそれで食器を次々と軽くすすぎ、洗った湯は飲みほして食器は箱の中に戻します。脂っこいおかずのほとんどない時代ですから水洗いでも十分だったのです。
 ここまでくるともほとんど江戸時代と言ってもいい状況です。
 

【買い物は毎日】
 朝食の片づけが終わったら昨日お話しした「母さんは川で洗濯に」ですが、ひとしきりして終わると、河原に脱水機や乾燥機があるわけではないので濡れてすっかり重くなった洗濯物とたらいを担いで戻り、庭の物干にかけます。
 いま思い出したのですが現代のように10連の洗濯ハンガーだのピンチハンガーだのいったものはなく、洗濯物は全部、物干竿に通すか掛けるかしました。ですから一家で使う物干竿の数も増え、上下二段になって4本以上。高い段に竿を移すサスマタみたいなY字型の棒が、どこの家にも必ず置いてありました。
 
 だいたいここまでで午前中の作業は終了。母は冷えたご飯とおかずで簡単に昼食を済ませると内職に向かいます。
 2〜3時間仕事をすると買い物の時間。冷蔵庫のない時代ですから特に夏場は、その日必要なものを必要な分だけ毎日買わなくてはならなかったのです。
 夕飯の準備は朝と同じように竈に火を着けるところから始めます。

 言い忘れましたが私の家では清掃は父の仕事で、朝、母が食事の用意をしている間に行いました。冬のどんなに寒い日でも窓全開で埃を外に掃き出します。その前に布団を畳まなくてはならないのですが、いつも寝坊の私は埃と一緒に布団から転がし出されたものでした。

 さて、こうやって並べてみると、台所革命はどこで起こせばいいのかすぐに分かってきます。要するに火と水、そして洗濯機と冷蔵庫なのです。

(この稿、続く)

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