2020/11/6

「コロナ対応:意外と頑張っている国、怪しい国」〜新型コロナのデータに見る世界の今G  政治・社会・文化


 新型コロナの感染者は完全には捉えられていないという不信感があるためか、
 あまり見かけないのだが、
 「新型コロナウィルス感染症による死亡率の国際比較」という試みも
 あんがい面白いのかもしれない。
 そこから見えてくるものも意義深いはずだ。

という話。
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(写真:フォトAC)

【新型コロナの死亡率】
 日本ではコロナ禍初期にPCR検査の圧倒的な不足が指摘され、実際の感染者は政府発表の数百倍はあるだろうなどとまことしやかに言われましたから、いまでも感染者数に信を置かない風潮があります。例えば山中伸弥先生のファクターXが「なぜ日本ではこれほど新型コロナによる死亡者が少ないのか」という問いかけから始まるのもそのためです。

 新型コロナで亡くなる人が少ない原因は明らかに感染者が少ないからです。しかしそれにもかかわらず「なぜ日本ではこれほど新型コロナの感染者が少ないのか」にならなかったのは、「感染者が少ないのは検査数が少ないからだ」の一言で一蹴されかねなかったからでしょう。

 しかしウィルスが日本に上陸して10か月、これだけ検査が充実して10万人もの感染者が炙り出されれば、過去の見逃し分もいまや誤差の範囲です。それに日本以外の国々だって完璧な検査をしてきたわけではありませんから、感染者数をある程度信頼できる数値として扱うことに問題はありません。
 そこで私は、新型コロナによる死亡者数を感染者数で割って、いわば新型コロナの死亡率を出して比較することを考えました。
 下がそのグラフです。
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【劇的に下がってきた死亡率とグラフの見方】
 ちなみにクルーズ船ダイヤモンド・プリンセスでの死亡率(死亡者数/感染者数)は1・8%、日本で最初の死者が出た2月13日から5月31日までの死亡率は5・31%、6月以降は1・03%。全部合わせた2月以来のコロナ患者の死亡率は1・74%でした。

 最近になって死亡率が急激に下がっているのは、特効薬こそないものの、血栓ができそうなら溶血剤、免疫暴走が起こりそうなら免疫抑制剤といったふうに標準的な治療法が確立してきたことと、3月〜5月ごろは症状があっても家庭での数日の待機が呼びかけられていたので重症化してから病院に来る人が多かったのに対して今は早期に診察を受けられるようになったこと、あるいはPCR検査の体制が拡充して無症状および軽症の患者が大量に発見されて計算上の分母が非常に大きくなってきたこと、などが考えられます。

 しかし上のグラフはそうした変化を反映したものではないので、全期間を通したさまざまな要素を含んでいます。

 例えばイタリアやイギリス・ベルギーなどの死亡率の高さは、大部分が3月から4月にかけての第一波感染拡大の際の状況を反映したものです。
 中国も、武漢で大量の市民を死なせて以来、感染者も死亡者もほとんど出していませんから、死亡率5・38%はすべて武漢の数字だと言っても過言ではありません。

 けれどイランの高い死亡率は3月からずっと続いているものであり、中南米の一部の数値は7月ごろから始まった感染拡大による現在進行形のものです。
 特にメキシコでは10人にひとりの割合で亡くなっていますから、深刻に考えなくてはいけません。エクアドルやボリビアは中南米のなかでは絶対数としての感染者や死亡者が少ない方なので目立ちませんが、ここでも医療崩壊が進んでいるのかもしれません。
 もっとも死亡率は分母(感染者数)が少なくなれば少ないほど高くなりますから、単に検査が行き届かず、膨大な数の無症状・軽症者が見過ごされているだけのことなのかもしれません。

 アメリカ合衆国も似たような面があります。しかしこれは医療崩壊や検査不足というよりも、そもそも患者が病院に行っていないのでしょう。カナダやオーストラリアの死亡率の高さは意外です。


【意外と頑張っている国、怪しい国】
 ここから先はしばらくは単なる印象の話ですが、今日までまがりなりにも医療がうまく機能していた国や地域の全期間における死亡率は1・7%前後ではないかと私は思っています。
 高齢者が多かったダイヤモンド・プリンセスが1・8%、感染者をもっともしっかり把握していると考えられる韓国が1・76%、感染対策の優等生台湾・ニュージーランドでも1・24〜1・55ほどですから、だいたいそんなものでしょう。
 そう考えると意外な国々が踏ん張っていることが分かります。

 感染者の多いフィリピン・インド・ロシア、それからイタリアやスペインのすぐ隣のスイスやオーストリア、アフリカのいくつかの国々――。
 しかし飛び抜けて死亡率の低いシンガポールについては感心しません。感染者が5万人もいるのに24人しか亡くなっていない(死亡率0・05%)というのは素晴らしいというよりは胡散臭い――。

 私はPISA(OECDによる学習到達度調査)の分析も大好きで毎回丁寧に見ているのですが、世界の子どもたちには「学力が高ければ高いほど、勉強を楽しいと思っていない」という、かなりしっかりとした逆の相関関係があります。 その中にあってシンガポールだけが唯一、「学力も高く、勉強を楽しいと思っている子どもが多い国」なのです。統計学者だったら一顧だにしない話でしょう。
 「明るい北朝鮮」と揶揄されることもあるシンガポールの統計については、私はいつも眉に唾をつけて見ることにしています。

 先週のニュースで見たのですが、政府の新型コロナウィルス対策の分科会終了後、記者会見で尾身会長は水際対策について尋ねられ、
「諸外国の感染状況の把握ということがものすごく重要で、必ずしも相手国の情報をそのままうのみにするのではなく、現地の詳しい情報を、大使館を通すなどしてモニタリング、エバリュエーション(評価・算定)することが極めて重要」
とおっしゃっておられました。
 ああやはり同じことを感じているのだと、少し笑ってしまいました。世界は新型コロナに関してさえ、必ずしも誠実ではないのです。


【それでもあり得る死亡者のほとんど出ない国】
 台湾とニュージーランドは今もコロナ防疫の優等生です。
 台湾は3日に2日ほどの割合で、ニュージーランドはほぼ毎日、数名の感染者を報告していますがおそらく渡航者でしょう。死亡者はほとんど出ません。
 この二つの国の感染対策についていくつかの記事を読みましたが、他の国々と大差なく、なぜそれでうまくいっているのかよく理解できないところです。実際には呆れるほど早い段階で手を打って外国人を入国させず、国・地域として無菌状態を維持している――それだけのことのように思えます。

 ベトナムも似た状況にありますが、こちらは分かります。感染者が一人発見されたら都会ならビル一棟、田舎なら一カ村丸ごと封鎖してしまうというやり方だとウィルスの出て行きようがありません。社会主義国の強いとところです。

 武漢であれほど死なせてしまった中国は、4月17日にたった1日で1290名(全死亡者の28%)の死亡を発表してグラフを読み取り不能にしてから半年以上になるのに、その間の死亡者はわずか2名です。感染者が毎日数名というのも台湾やニュージーランドと似ていますが、14億人という人口を考えると驚異的です。しかし私はこの数字を信じてもいいように思っています。
 ときどきテレビに映し出される北京や上海の風景、観光地の様子などをみると、明らかに1月〜3月の緊張感がありません。また健康コードを始めとする感染者の追跡システムは反政府主義者の追跡にも使えるものですから、中国政府の取り組みはハンパではないのでしょう。感染の様子は家ネズミやペットのネコに至るまですべて把握されているに違いありません。

 グラフにはありませんが北朝鮮も感染者ゼロ・コロナ死ゼロを標榜して定評のある国です。たしかに先日の韓国公務員銃殺焼却事件のことを思えば、新型コロナの感染者も死亡者もなく、ただあるのは噂される通り、射殺され焼却された遺体だけということなのかもしれません。コロナで入院している人もコロナで死んだ人も一人もいないのです。

(この稿、終了)


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