2020/9/10

「アフリカの不思議、東アジア諸国の暫定勝利」〜新型コロナのデータに見る世界の今A  政治・社会・文化


 新型コロナウイルス感染に関して、
 各国から出されるデータは何か怪しく、時に危うい。
 しかしそれでも信じるとして、
 そこから見えてくるアフリカの不思議と東アジア諸国の暫定勝利。

という話。
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(「パンデミック(世界)」フォトACより)

【いい加減な報告、悪意の報告、おおらかな報告】
 昨日は「新型コロナウイルスによる人口10万人当たりの死亡者」というグラフを示しましたが、一日たって新しい数字を入れようとしたらエクアドルが6724人しかいなかった死亡者を9月8日たった1日で3852人も増やしてしまい、一気に世界第3位にのし上がっていました。
 5月の末に東京都が2度に渡って感染者数の訂正をして、そのさい報告にファックスを使っていたと世界中の笑い者になりましたが、世界的に見ると感染者数・死亡者数の訂正なんていくらでも行われています。

クリックすると元のサイズで表示します 中国などはたった一日で1290名もの死亡者を計上して、今もそのままなので感染の状況はさっぱりわかりません(右図)。
 また一カ月ほど前、イギリスが感染者数を一気に2000人近くも下げたので私も訂正し始めたら、なんと2月まで延々と半年、180日分もの訂正をさせられる羽目になったのです。
 おそらく二重計算・三重計算があっての訂正だと思うのですが、最初は何のための過大報告だったのかと思ってイライラしました。

 スペインは相変わらず三日くらい平気で「感染者なし」(ほんとうは1日8000人もいたりする)を出してきますし、フランスも日々の増減が常識的ではありません。世界は案外おおらかなのです。
 私も怒らずに付き合っていきましょう。
(参考)
2020.06.10「世界はそれぞれ違うという、当たり前の話」〜新型コロナの数字から見えてくるもの@



【地域差とアフリカの不思議】
 さて、もう一度私のつくった「新型コロナウイルスによる人口10万人当たりの死亡者」のグラフを示します。元のデータは日本経済新聞「新型コロナウイルス感染 世界マップ」です。
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 一目してすぐにわかるのは、国や地域によって大きな差があるということです。
 一番多いペルーは90.15人、私が取り上げた中で一番少ないのが台湾で0.03人にしかなりません。ざっと3000倍もの開きがあるのです。
 概観すると、西アジアを除くアジア全土、オセアニア、アフリカで少なく、ヨーロッパと南北アメリカで犠牲者の多いことも目につきます。

 アフリカは世界保健機関(WHO)のテドロス事務局長がエチオピア出身ということもあって、当初ずいぶん心配されましたが、人口の2割近くが文化的に白人である南アフリカ共和国を除いて、状況はずいぶんいいみたいです。
 私はエジプトとアルジェリア・モロッコ・ナイジェリア・南アフリカしか継続的に見ていませんが、それは他の国々の感染者・死亡者があまりにも少なく、検討するに値しないと考えたからです。そのくらいに状況がいい。

 なぜアフリカはこんなに成績が良いのか――。
 それについての情報は少ないのですが、ひとつには平均寿命が短く(アフリカ全土で60歳)、平均年齢も若い(同じく20歳)ので、感染しても発症しない、死なない、だから統計にも出てこないという説。
 もうひとつはエボラ出血熱をはじめマラリヤ・デング熱・腸チフス・コレラと恒常的に伝染病に悩まされている国が多く、そのためむしろ防疫技術(特に強制的な隔離防疫)に優れているからといった説もあります。
 また、すでに類似のコロナウイルスが広がった経緯があって免疫を持つ人が多いという話や、人種的な有利さを挙げる人もいます。
 はっきりしませんが、いずれにしろコロナ禍がひと段落したところで、ぜひとも検討していただきたい事実です。


【日本は防疫成功国なのか】
 最近ふたたび「日本は防疫成功国か」といった議論をしたがる人が出てきていますが、仮に成功国だとしても、口に出さない方がいいのかもしれません。
 日本では第1波終息後に安倍総理が「日本モデルの勝利」とか言った瞬間から第2波が始まりましたし、お隣の韓国では文大統領が3度勝利宣言をして3度とも新たな感染拡大を引き寄せたと言われています。
 かつてはフランスもイギリスもドイツも、あるいは韓国やスウェーデンも防疫に成功した手本とすべき国でした。コロナの問題はそういうものです。下駄を履くまで分かりません。
 
 言っていいのは「今のところうまくいっている」くらいのことで、それを前提に考えれば、日本は今のところかなり「うまくやっている国」と言えます。
 例えばヨーロッパで段違いの好成績を上げているドイツは、今も防疫の手本と言われていますが、日本との比較では必ずしもそうではありません。

 ふたつの国をよく見られるグラフで並べると下のようになり、死亡者ついてはむしろ日本の方が旗色の悪いように見えます。しかし、
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 これはグラフの基準が異なっているからであり、ドイツの最大値(感染者数は70000人、死亡者は350人)に合わせると次のように描きかえられます。
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 ドイツは優秀で勇猛果敢に戦ったとはいえ、状況は日本よりかなり悪かったことが分かります。

 もちろん「日本の防疫戦略は失敗だった、安倍政権の失政だ」と主張したがる人たちの中には、
「状況がほんとうに大変だったヨーロッパと比べるのではなく、アジアと比べたらどうだ。新型コロナウイルスによる日本の死亡者は10万人あたりで韓国の1.7倍、ベトナムの30.2倍、台湾と比べるとなんと37.5倍にもなる。これで成功したと言えるのか」
などと言う人がいますがグラフ(今日の記事の最初のもの)を見る限り、日本も韓国も中国も、ベトナム・シンガポールもそれなりにうまくやっている、全部よくやっていると言ってかまわないと思うのです。

 日本の死亡者10万人中1.11人は100万人なら11.1人ということです。これを借金に例えるなら100万円を借りて毎日11.1円の利子を払っているようなものです(年間4052円)。同じように考えて韓国の支払いは6.6円、ベトナムは0.4円、シンガポールは4.8円です。
 毎日11.1円の利子を支払っている日本が隣を見て、「ええ!? オマエの支払い6.6円かよ、そっちは0.4円? 羨ましいなあ」
と言ったら愚かでしょ。11円と7円に決定的な差があるとは思えません。

 世界には毎日901.5円も869.2円も払っている国があるのです。年額では30万円を優に越えます。そうした国々の痛みに対して、私たちは謙虚でなくてはなりません。

(この稿、続く)



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