2020/8/27

差別・中傷する人々は驚くほど少ない。しかししつこい」〜新型コロナ差別について考えるA  政治・社会・文化


 差別や中傷をする者は、みな弱虫か不遇の人だ。
 だから彼らは「正義」の仮面を持つと叫ばずにいられない。
 しかし実際に見える形で差別・中傷をする人たちはごくわずかで、
 通りすがりにちょっと唾をかけていく、その程度の軽薄びと。
 それに引き換えキミの背後には、たくさんの支持者がいるじゃないか。

というお話。
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(「マスクをつけた外国人女性と新型コロナウイルス」 パブリック・ドメインQより)

【結局は弱い人間のしわざ】
 人を差別したり中傷したりするのは、基本的に弱虫や恵まれない人たちです。
「金持ち喧嘩せず」と言いますが、豊かな人間はイライラしたり腹を立てたりして、つまらない行動に走ることがありません。

 新型コロナについていえば、恐怖に駆られた人、自分だけがコロナの重荷を背負わされていると感じている人、そんな人たちが自粛警察や差別・中傷者になっていくのです。
 オレたちはこんなに辛い苦しい思いをしているのに、オマエたちはなんだ!
というわけです。


【医療関係者の子どもが保育園で隔離されたわけ】
 例えばコロナ事態の初期には(今でもそうかもしれませんが)、「医療関係者が退勤後、保育園にお迎えに行ったら子どもが別室に隔離されていた」といった話がありました。
 とびぬけて緊張感の高い新型コロナの治療の現場で一日中働いて、保育園に行ったらこの仕打ちか――その人も切なかったでしょうね。
 しかしそれでも、これを差別の問題としてとらえることは本質を見失わせることになると思うのです。報道によって遠回しに”差別者“の烙印を押された保育園も、困ったことでしょうね。保育園は保育園で、好んでそんなことをしたわけではないのですから。
 人間は、みんな弱いのです。

 保育園にはいろいろな種類の子どもとその保護者がきます。中には新型コロナウイルスについて無知で(というかそのころはたいていの日本人が無知でしたが)、必要以上に怯え、医療関係者の子どもとウチの子が同じ部屋の中で過ごすなど、考えただけでも身の毛がよだつといった人もいたのです。その中の一部は強力に保育園に対応を求めていきますし、あるいは保育園自体が、そうした保護者の意向を忖度して、先回りで医療関係者の子どもを別室に置いたのかもしれません。それも弱者=保育園がいかにもやりそうなことです。

 みんな弱虫でその場所から脱出できません。
 ですから私はそういう人や組織に対して、社会はむしろ、もう少し寛容であってもいいように思っているのです。


【差別・中傷する人々は驚くほど少ない。しかししつこい】
 プロレスラーの木村花さんが自殺した件に関して、SNS上で木村さんを非難した人は実は少なかった、という記事がありました(2020.07.19弁護士ドットコム『ネットの誹謗中傷、参加するのは「ネットユーザーの1%未満」 コロナで増加、その実態は? 山口真一氏に聞く』)。
 それによると、
 2014年の調査では、過去1年以内に炎上に参加している人は、約0.5%しかいませんでした。1件あたりの参加者数を推計するとたった0.0015%です。これは7万人に一人くらいということになります。2016年の調査でも、過去1年以内の炎上参加者は約0.7%と、ネットユーザー全体で見ると非常に少ない人数です。
 ただ、炎上の件数は昔よりも増えています。2019年には約1200件、平均して1日3回以上発生していることになります。ですので、現在は0.5〜1%程度にはなっているかもしれません。

 しかも、
 炎上1件あたりに最大何回書き込んだかを尋ねました。その結果、書き込んだ人の60〜70%は、1〜3回の書き込みでした。イラっとしても、1回だけという人がほとんどということです。一方で、51回以上書き込んだ人が3%ほどいたのです。

 つまりそういうことです。
 私は木村花さんがSNS上でどんな仕打ちを受けたか知りませんが、誹謗中傷した人の大部分はフラッと訪れてちょこっと書いて、そしてどこかへ消えて行ってしまった人たちです。
 もちろん絵本「わしのせいじゃない」のように、一人ひとりのやっていることは小さくても、それが累積されると酷いダメージを与えるということはあります。しかし肝心なことは、日本全体でみればそんな人はごくわずかで、言葉とは裏腹に気持ちはかなりいい加減なものだったということ、真面目に考える対象ではないということです。

 もちろん大真面目で書いている人もいましたが、そんな人たちはさらにわずかで、誤差の範囲と言ってもいいくらいなものです。その人たちが手を変え品を変え、アカウントを変えて執拗にかぶせていただけのことです。


【SNSの騒々しさに対抗する現実の力】
 ネットユーザーのみならず、日本人の大部分は木村花さんには無関心、もしくは知らない(しかしこれって大事ですよね)――けれど多くの支持者がいる。さらには家族・友人といった強力な支援者もいる。
 そう考えると誹謗中傷した人たちのなんと少なかったことか――。
 木村花さんはそのことを知っているべきでしたし、もっと仲間を頼りにすべきでした。

 心にバイアスのかかった状態でしたから、花さんを支持する声はもっと大きく、見える形となって彼女を包まなくてはならなかったのですが、SNSの騒々しさに対抗するには現実の力はあまりにも弱かった。ネットに対抗できる現実の組織・方法というものがまだ十分に生育していないのです。

 医療関係者や感染者の場合も同じです。

(この稿、続く)


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