2020/1/20

「登校日数は175日でいいはずなのに、なぜ200日も学校に行っているのだろう?」〜特別活動の話@  教育・学校・教師


 学習指導要領に定められた授業日数なんて普通は意識しない。
 しかし調べてみると、それは35週(175日)なのだ。
 ところが実際には、
 子どもたちは年間40週(200日)も学校に通っている。
 いったい何が起きているのだ?

という話。
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(「きりつ」PhotoACより)

【授業日数はこうして決まる】

 学校というところは、年間にどれくらいの授業をすることになっているのだろう?
 教師だったらこの問いにきちんと答えられなくてはなりません。しかし現実問題として、年間の授業時数を意識して授業を行っている先生は少ないと思われます。
 なぜなら実際に行われている授業時数が規定とはまったく合っておらず、原則を意識することがないからです。

 最初に答えを申し上げますが、学習指導要領から割り出される最低授業日数は35週(175日)です。”割り出される”ともったいぶった言い方をしたのは、実は指導要領のどこを見ても35週も175日も書いていないのあって、そこに示されているのは基準となる授業時数だけだからです。

 ではなぜ35週だと分かるのかというと、指導要領の時数表で、ほとんどの教科の時数が35の倍数になっているからです。現在は様々な理由からそうなっていない部分もありますが(特に小学校、そして中1)、かつてはすべてが正確に35の倍数になっていました。したがって年間の時数を35で割れば、一週間の授業時数が割り出されました。

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 上の表は来年度(令和2年度)より実施される、新しい中学校学習指導要領に定められた授業時数です。
 見ると分かるように、例えば1年生の国語は140授業時間(50分)ですからこれを35で割った答え、「4」が週の授業時数となります。
 同じように計算していけば数学や英語も週4時間、社会科と理科が週3時間だと分かります。
 音楽と美術、そして「総合的な学習の時間」は35の倍数になっていませんが、“せめて1年生の間は音楽・美術を増やしましょう”という配慮なのか、“あまり授業時数が少ないとこの二つの教科の教科担任の空き時間が増えすぎて不公平だ”と考えたのか、そのあたりはよくわかりません。
 いずれにしろ35の倍数にならないところから、1年生の場合、音楽の時間は1年の前半で週2時間、後半は週1時間といった変則的なやり方を余儀なくされています。
 2・3年生はすべての時数が35の倍数ですから時間割の納まりは良くなっています。

 年間に学習する総授業時数は1015時間。35で割って週29時間。学校は週5日制ですから6時間授業を4日、5時間授業を1日行えばいいことになります。
 中学生の時間割を見ると不自然に6時間目が1コマだけ空いているのはそのためで、学校は空いたその時間に職員会議を入れたりします。6時間授業の日の放課後に入れたのでは、会議が勤務時間内に収まらないのでつごうがいいのです 
 ここまでは一応、時間的な整合性が取れているように見えます。ところがよく考えると、大本で計算が合いません。

 最初私は「学習指導要領から割り出される最低授業日数は35週(175日)です」と言いましたが、実際に行われている授業の日数は、全国どこに行っても200日前後もあるのです(土曜授業のある地域はさらに増える)。その差の25日分はどうなっているのでしょう?


【日本では特別活動を20日ちかくもやっている】
 “規定以上に多くの時間を授業に充てている”はひとつの答えです。しかしそれ以上に時間を食っているのは、指導要領では年間35時間と決められている特別活動の時間なのです。

 特別活動というのは学校で使われている時間から、教科の時間と休み時間を除いたすべての活動だと言ってほぼ間違いありありません。
 少し長くなりますが、具体的に列挙すれば次のようになります。
(1) 学級活動
・学級目標を決めたり、班編成をしたり、学級内の係を割り振って活動したり、学級内に問題があれば話し合ったり。
(2) 「児童・生徒会活動」
・いわゆる委員会活動。総会等も含む。
(3) 「クラブ活動」(中学校にはない)
・小学校のみの活動。自分の希望のクラブで週1回活動する。課外活動の「小学校部活同」「課外クラブ」とは異なる。
(4) 「学校行事」
@ 儀式的行事・・・入学式・始業式・終業式・修了式・卒業式・開校記念日など。
A 文化的行事・・・音楽会・文化祭・演劇鑑賞・音楽鑑賞・美術館巡りなど。
B 健康安全・体育的行事・・・身体測定・健康診断・歯科検診・保健指導・食育指導・水泳大会・運動会・体育祭など。
C 遠足・集団宿泊的行事・・・遠足・キャンプ・海水浴・臨海学校・林間学校・修学旅行など。
D 勤労生産・奉仕的行事・・・清掃活動・地域清掃、地域交流、老人ホーム訪問など。

 思いつくままに書きましたが、どう考えたって規定の35時間で足りるはずがありません。
 中学1年生だけを見ても、入学式で3時間(学級開きを含む)、始業式で1時間、1年生を迎える会で1時間、授業の受け方・校則についての理解で2時間、班編成と学級係決めで1時間、学級目標1時間、生徒会紹介・部活紹介で2時間、委員会決めで1時間と、年度当初だというのにたった3日間で35時間のうち三分の一以上の12時間を使ってしまいます。

 中学3年生は2泊3日の修学旅行で18時間消費します。修学旅行に行っている時間は60時間以上になりますが、授業時数の計算としては6時間授業の3日分18時間です。
 ただし旅行前には十分な事前学習をし、帰ってきてからも旅行記編纂などをしたりすると両方合わせて10時間くらいはすぐに吹っ飛んでしまいます。総計28時間、年間時数の実に8割が修学旅行に費やされるわけで、これでは文化祭どころか卒業式もできなくなってしまいます。


【普通の教師は、特別活動だけは減らせないと思い込んでいる】
 実は特別活動の年間35時間というのはとんでもないまやかしで、正確に数えたことはないのですが、もしかしたら年に100時間以上もやっているのかもしれません。
 学校から特別活動をなくす――そこまでいかなくても規定の35時間の中に収めることができれば、教師の負担は大いに減りますし児童生徒も楽になります。
 学級活動や児童生徒会活動がなくなれば子ども同士の絡みも極端に減少しますから、“いじめ”も不登校も大いに減るのではないかと私は思っています。

 ところが、生徒会活動をなくしましょう、音楽会をやめましょう、あるいは文化祭、修学旅行をなくしましょう、縮小しましょうといった話は、少なくとも教職員の側からはほとんど出てこないのです。
 あれほど学校のブラック化を嘆く先生たちも、部活動をなくせとは言っても、特別活動をなくせとは言いません。学校は勉強を教えるところだから、それ以外は排除しろというのは、校外の人の口から出ても、校内からはほとんど聞こえてこないのです。

 それは多くの先生方が、特別活動こそ日本の学校教育の要だと信じているからです。そこにこそ真の教育があると信じて疑わないから、苦しい職務にも耐えているのです。
 その様子を“音楽会”を例に見てみましょう。

(この稿、続く)

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