2020/1/15

「愛より結婚」〜若者の結婚観が変わるA  政治・社会・文化


 仲人、見合い、結婚相談所といった古い支援システムが崩壊した後、
 長い空白を経て新しい支援事業が始まった。
 今やスマートフォンアプリを使った婚活が全盛だ。
 しかしその背景には、結婚に対する驚くべき意識の変革があった。

という話。



【様々な婚活と交際ゼロ日婚】
 昨年末、12月26日のNHK「所さん!大変ですよ」は、サブタイトルが「愛より結婚スペシャル」でした。

 番組はまず東京都内の寺院で行われた終活から始まるのですが、“来世のためにも現世を精一杯生きなさい”といった住職のありがたいお話のあとで、参加者全員が男女1組になって自己紹介を始めるのです。なんと婚活を兼ねた終活です。
 集まっていたのは40代後半以上の男女20名あまり。人生の後半生をともに過ごす相手を求めて、堂内の会話がはずみます。

 続いて番組は先入観を持たせないための覆面婚活だのすだれ婚活だのを紹介し、AI婚活DNA婚活といったものに次々と話をひろげますが、中でも驚かされたのがブログのタイトル写真にもある「出会って2回目で婚約しました」のカップルです。

 婚活アプリを通して知り合った二人なので、初対面の段階ですでに基本的な情報はやり取りしていたという事情はありました。しかしそれにしても一度会って互いに好感を持ち、二度目のデートではかなり突っ込んだ――欲しい子どもの数だとかお金の使い方、住む場所は賃貸か持ち家かとかいった話を2〜3時間にわたって行い、その場で男性がプロポーズ、その場で女性は承諾、3度目、4度目のデートは互いの両親へのあいさつというスピード婚です。

 女性は言います。
「私は彼氏がほしかったのではなく、結婚相手が欲しかったのです。30歳までに子どもを2人は産みたいと考えて逆算すると今年中に結婚しなくてはならないと思ったら、このやり方が一番コスパ(コストパフォーマンス)がいい。結婚して今は幸せです」

 一瞬息をのむような話ですが少し間をおいて、一歩下がって考えたとき、彼女の発言のどこに問題があるのか、なかなか発見しにくいところです。


【三者三様の結婚のかたち】
 私の両親は大正二桁と昭和一桁の組み合わせです。昭和25年ころから27年ころにかけて職場恋愛の上で結婚しました。私にとっては祖母に当たる母の母は「恋愛結婚」というところにふしだらな印象を持ったらしく一度は反対したようですが、父の人柄ともう戦前とは違うという周囲の説得によって、ようやく矛を収めました。恋愛結婚がふしだらと考えられた時代、というところがポイントです。

 同じ時期、私の友人の両親はまったく異なる形で結婚しています。それぞれの両親が仲人に頼んで組み合わせを決めてもらい、当初は式当日まで互いに顔を合わせないつもりだったようです。
 けれどここでも“戦前ではない”という周囲の助言があって、式の前日、仲人夫妻の夫の方が花婿を、妻の方が花嫁を連れて道路を反対側から歩き始め、すれ違いざまに「あれが明日の相手だ」と確認し合ったといいます。その時点ではもう嫌だとは言えなかったでしょう。
 しかし知る限り、二人はずっと幸せな結婚生活を続けました。

 さて、私の両親と友人の両親、そして先にあげた「出会って2回目で婚約しました」のカップル、この三組に優劣はつけられるのでしょうか?


【恋愛は「娯楽」、結婚は「保証」】
 所さん!!大変ですよ「愛より結婚スペシャル」で最も新鮮な話は、中年間近の女性コメンテーターと若者代表20代の女性の両方の口から同じように出ました。

 若者の結婚意識について調査したことがあるというコメンテーターは、
「私の(若い)ころは恋愛が楽しかったじゃないですか、でも結婚すると恋愛ができなくなっちゃう、ところが今はそこが逆転してしまっている」
 若い女性の方は、
「恋愛をしなくても友だちとも楽しめるし、一人で旅行に行っても楽しめる、そう考えると娯楽の選択肢は広がってきているのです。恋愛で楽しんで何かを手に入れるといった娯楽的なところはなくなってきて、恋愛の価値は下がっているのに結婚の価値は下がっていない。だから恋愛抜きでも結婚はしたい。『交際ゼロ日婚』のようなことが起こるのはそういうことではないか」
――二人の共通点は、恋愛を“楽しみ”としてとらえている点です。後者はより先鋭に「娯楽」として扱っています。
 あまりの新鮮さに、衝撃というより心が躍りました。

 話の途中で中年男性脳科学者が「恋愛こそ自己を磨く素晴らしいものだ」とか言って割って入りましたが、私の考えもそれに近く、恋愛は人生で一度は経験しなくてはならない大切な通過儀礼のように思っていたのです。
 ゲーテの「若きウェルテルの悩み」だとかコンスタンの「アドルフ」だとか、スタンダールの「赤と黒」だとか、とにかく恋愛は非常に複雑で難しく、人間の心の深部に関わる重要な主題でした。それが現代の女性たちによって「楽しいじゃないですか」のひとことで処理され、娯楽のひとつとして一蹴されてしまう。

「現代の若者にとって恋愛は『娯楽』、結婚は『保証』」


 そんなふうにまとめられると、若者代表のりゅうちぇる君ですら戸惑い気味でした。しかし私には、むしろすんなりと落ちたのです。

(この稿、続く)


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