2019/11/18

「学校に来られない子の登校日」〜世の中はままならない  教育・学校・教師


 勇気を振り絞って何かをしようという日
 たまたまそれを台無しにする出来事がおこったりする
 あらゆることを想定して準備をすることも大切だが
 ダメだったらまた明日 そんなこともあると
 思えるような子にしておくことも 大切かな

という話。
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(雨の渓谷」PhotoACより)

【時雨】

 妻が俳句好きなので(たしなむというほどではない)日曜日の「NHK俳句」(Eテレ 午前6時35分〜 午前7時00分)は欠かしたことがありません。昨日の兼題は「時雨(しぐれ)」でした。
 俳句で「時雨」といえば思い出すのは小林一茶の句です。

 ちんばどり たまさか出れば 時雨けり

 (たぶん)差別語が入っているので今日では扱いずらくなっていると思いますが、足の不自由な鶏が、めったにないことですが、勇気と気力を振り絞って屋外に出ようとしたら運悪く時雨が降ってきた(だからすごすごと鶏舎に戻った)というやりきれない句です。
 悲惨というほどのことではない、しかし悲しい日常の風景で、ひとに聞けばさまざまな意味で「うん、わかる、わかる」とか「そういうことってあるよね」と共感を呼びそうな気がします。私もずっとこの句を大切にしてきました。
 ここでの要点は、「そういうことはいくらでもある」「大した問題ではない」ということです。


【学校に来られない子の登校日〜世の中はままならない】
 学校に来ずらい子にあの手この手、たっぷり時間とエネルギーをかけてようやく登校する気にさせ、クラスの受け入れ態勢にも十分に尽くして「さあ登校」という朝、上がりかけた昇降口で他のクラスの女の子と鉢合わせになってしてしまい、その子が一言、
「あら、来たの?」

 普通の状況なら何の変哲もない言葉です。言った本人にしたら悪意の欠けらもない一言、ただその瞬間に頭に浮かんだことを口にしただけなのです。けれどその一言で、せっかく頑張ろうと思ったその子の意志は穴の開いた風船のようにシューッとしぼんでしまいます。

 この子の頑張りをどうしてくれるんだ、その日までの私の苦労はどう補ってくれるんだと恨み言の一つも言いたくなりますが、もちろん悪いのは私です。
 小学校時代に同級生だったほかのクラスの子から声を掛けられるなんて、当然予想していなくてはならないことでした。ほかにも危険はいくらでもある。
 もちろん全校生徒を指導することもその指導を徹底することも不可能です。そこはやはり、学校に来ずらい本人に予行演習をしておくべきでした。


【うまくいかないときのための演習】
『そりゃあね、今まで学校に来ていなかったキミが登校するとなったら一言ある子もいるかもしれない。「来たの? よかったあ」「会いたかったあ!」ばかりじゃない。
 たとえば「今まで何してたの?」とか「どうして学校に来なかったの?」とか。
 それって全部答えにくいことだよね。

 でも日本語には“答えにくいことを答えるためのいくつかの言葉”という便利なものがあるんだ。そのひとつが「ちょっとね」。
「今まで何してたの?」――「うん、ちょっとね」
「どうして学校に来なかったの?」――「ちょっとね」
 そう答えて少し視線を外すんだ。
 この「ちょっとね」でたいていの人は“ああこれ以上、聞いちゃいけないんだ”と察して黙ってしまう、それが普通だ。
 あとで練習してみよう。

 他にも「また今度」で、「今度っていつ? いつならいいの?」と重ねて聞いてくる人はいないとか、おとなのあいさつで、
「こんにちは。今日はお出かけ?」
と尋ねられたとき、どこに行って何をするのか、ぜひとも話したいときは話すけど、急いでいるときや知られたくないときは、
「ちょっと、そこまで」
でオーケーとか。
 「ちょっと、そこまで」に、「そこってどこ?」なんて聞く人は絶対にいない。
 それが日本語の便利ところさ。


【ダメな人はいる。そんなときの緊急回避】
 もちろん
「うん、ちょっとね」
のあとで、
「ちょっとってどういうこと?」
とかぶせてくる子もいないわけじゃあない。

 しかしほとんどの場合そういう子は日本語使いとしてはまだ発展途上で、日本語の便利さ、日本語のやり取りの仕方をよくわかっていないんだ。だから教えてあげなくてはいけない。
「“ちょっと”と言ったら“ちょっと”なの。それ以上聞かないで!」
 ホントはそこまで言えたらいいんだけど、難しいかな?
 だったら「“ちょっと”と言ったら“ちょっとなの”」、そこまで言ってあとは逃げてくればいい。物事のわからない人といつまでも話しても埒が開かない。“三十六計逃げるに如かず”って言うよね――あれ? 難しかったかな。


【ダメだったらまた明日】
 とにかくクラスのほとんどの人たちはキミが来るのを待っている(全部じゃないかもしれないよ、どんな場合も全員が同じ気持ちというわけにはいかないんだから)。
 ところがクラスのそとの人とは私も十分に話したわけでもないし、向こうも詳しいことなんかわかっちゃいない。だから変なことや嫌なことを言うかもしれないけど、何を言われても相手を許してあげなくちゃいけないんだ。
 悪意をもって近づいてくる人なんてまずいない。嫌なことを言ってくる人は、どこか不注意なだけなんだから。

 勇気を出して何かをやるって大変だよね。勇気を出して結果が良ければメデタシ、メデタシなんだけど、そうもいかないことだってある。しかしがんばろう。
 人生なんてそんなもの、みんなそんなふうにやってきたんじゃないかな。ダメだったらまた明日ってね」




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