2019/7/24

「若槻千夏の憂鬱」〜18時以降、学校は電話に出ません 1  教育・学校・教師


 深刻な教員不足 その背景にある過酷な勤務状況を解消しようと
 18時以降は電話に出ないといった対応をする学校が出てきたという
 それに噛みついた若槻千夏さんが ネット炎上
 翌日 謝罪したそうだが――

というお話。
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(「ボタンの大きい電話」phtoAC より )

【若槻千夏の憂鬱】
 月曜日のYahoo!ニュースに「若槻千夏、教師と時間外対応で激論 “モンペ発言”と批判で謝罪」というのがありました。
 それによると、
「news zero」の特番「zero選挙2019新時代の大問題」第2部にゲスト出演した若槻千夏の発言が“モンペ”(モンスターペアレント)的だと一時ネットは炎上状態となり、一夜明けて若槻が自身のインスタグラムで謝罪コメントを発表する事態となった。

 番組では、深刻な教員不足の背景にある学校の過酷な勤務状況を紹介した上で、
 留守番電話等を活用して勤務時間外の対応をなるべくやめ、18時以降は電話に出なかったりしている、など教師の負担を減らす対応策について言及した。
 
 ところがここで、
  コメンテーターの一人として出演した若槻は、「何かあったらどうするのか。18時以降対応しないで、もし子どもが帰ってこなかったらどうする」などと教師に反論。教師は「それは学校の役目ではなく、たとえば万引きがあったら警察の役目、他に何かあっても親の役目と思う」と意見を述べるも、若槻は「寂しい。もし子どもが帰ってこなければ心配になってさがすが、見つからなかったら学校に電話する。(時間外なら)それも対応してくれないってことですね」と疑問を呈した。

 その辺りが引っかかたようで、
 若槻が「寂しい」といった感情論や「『ごくせん』観て育ったでしょ、みんな『金八先生』観たでしょ」とドラマを引き合いに出したこともあって、ネット世論は炎上状態となった。

 結局若槻さんは翌朝インスタグラムで、
「この度は、自分の発言により、先生や先生に関わる方々、また視聴者の皆様に大変不快な思いをさせてしまう内容に至ってしまいました。軽はずみな発言を反省しています」と詫び、真意について「先生の負担を増やしたい」「先生に過重労働をして欲しい」「先生に自分の子供の責任をおしつける」という意味ではまったくない、と説明。

 批判の内容は、
「学校に授業以外の意味はない、教師は授業だけきっちり教えてほしい」「保護責任は校舎を出るまで。だから親が通学路で見守りしてる」「帰ってこなかったら親が警察に相談して探すのが普通」「時間外報酬毎日10時間なら年収も億いける」「モンペ(モンスターペアレント)の特徴、何でもかんでも学校に求めすぎ」
と、大体予想のつく範囲です。
 もちろん「予想のつく範囲」といのはバカにしてのことではありません。もう何十年も前から繰り返されてきた話題で良く知っているという意味です。そして一部は、かつての私自身が大声で叫んでいたのと同じ内容です。

 ただし、自分が親になって、さらに孫がそろそろ就学年齢になろうという今になって、私もやはり若槻さんの気持ちが分かるのです。


【親の気持ちは分かる】
 先生たちが大変だなんて百も承知です。登下校も含め、学校外のことは親が責任を負うべきだというのも分かっています。大人ですから子どもが帰って来なかったら警察に相談すべきというのももちろん知っています。けれどそれでも、親だけで対応するのは不安なのです。
 
 子どもが帰ってこない、心当たりは全部探した、でも、もしかしたら先生だったら私たちの知らない何かを掴んでいるかもしれない――そう考えると居ても立ってもいられないのです。
 もちろん筋論から言えば、まず警察に連絡して警察から学校に問い合わせてもらえばいいわけですが、別の筋論は「自分でできることの残っている段階で警察のお世話になるな、警察だって忙しい」と訴えます。「意識がはっきりして自分で歩けるのに救急車を呼んではいけない」と同じ論理です。

 そこで学校に電話すると、
「本日の勤務時間は終了しています。ご用件のある方はこのまま留守番電話に録音するか、明日の勤務時刻、午前8時以降に改めてご連絡ください。本日はお電話ありがとうございました」
――ではかないません。

 子どもが万引きした、警察には行ってきた、でもこの先どうなるのか分からない。どうしたらいいのか、今のうちにしておいた方がいいことはあるのか、ないのか。先生なら何か知っているかもしれない、良いアドバイスがもらえるかもしれない――そう思ったら一刻も早く連絡したくなるのが人情です。

 もう何年も親をやっているとは言え、子育てや教育に関してはほとんどが素人です。ましてや万引きだの恐喝だのといった犯罪と縁の深い保護者は、そう多くはありません。


【ところで先生たちは大丈夫なのか】
 私が学級担任をしていたころは、普通の教員の家には固定電話があって保護者に番号を知らせておくのが当たり前でした。携帯電話もありましたがそちらの番号は人によって知らせたり知らせなかったり・・・。
 それでもむやみに電話がかかってくることはなく、受話器を取り、相手が保護者だと普通は緊張したものです。重要な内容であることがほとんどだからです。

「子どもが帰ってこない」「万引きをした」は序の口です。帰ってこなくても誘拐殺人といったことはまずなく、たいていは遊び惚けていたり、拗ねてプチ家出したりといった程度のことです。万引きはほとんどの場合、警察や店舗での指導を受けた後の事後処理ですから大したことではありません。
 経験さえ積んでおけば、これらについては定式化した対処法がありますからことは簡単です。たいていは電話の応対だけで済みます。

 その子が“プチ家出をした”“万引きをした”という記憶は頭の隅に留めておきます。“より丁寧に見てやらなければならない子”ということですから。
 そうした予備知識なしに、30人もの子どもを見ていても小さなサインは拾えません。

 電話内容がそうではなく、「ウチの子がいじめられた」「学校に行きたくない」といった場合は深刻です。
 こんな話を翌朝の8時過ぎに聞いた担任は、どう対処するのでしょう? 授業を放り出して家庭訪問しますか? それとも「放課後まで待ってください。授業が終わったら伺います」とでも言うのでしょうか?

 いじめというのはじっくり腰を据えて向き合うテーマではありません。一刻でも早く取り掛かり、大量の人員とエネルギーをつぎ込んで一気に片付けないと必ず長引きます。
 それに小学生などは、一晩あいだを置いたら記憶のほとんどがなくなってしまいます。被害者は覚えているのに加害者は全く記憶にない、といったことが往々にして起こるのです。これでは指導が進まない。

 実際に電話で“いじめ”の訴えがあった場合どうするのかは、以前このブログに書いたことがあります。
2011/6/14「いじめられたYさん」

「鉄は熱いうちに打て、いじめも早いうちに(手を)打て」
は鉄則なのです。


【アホな相談にも対応する】
「明日の持ち物がわからなくなりました」
 稀にそんなくだらない相談が来る場合もあります。いいでしょう、優しく教えてあげます。
 失礼ですがそうした問い合わせをしてくる保護者は、たいていの場合、教育力に欠ける親なのです。そんな保護者に「親の責任」を押し付けても無理です。
 子どもだって、筋力の弱い子に腕立て30回なんて命じないでしょう。親だからといっても、できない親は絶対にできないのです。

 そんな親でも、困ってるときに助けてあげればあとできっといいことがあります。家で「おまえの担任はほんとうにいい先生だねえ」と言ってもらえるだけでもどれほどやり易くなるか分かりません。

 そういうものを全部なくしても、現代の先生はやっていけるのでしょうか?

                      (この稿、続く)


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