2019/3/18

「横滑りする頭」〜正の転移、負の転移  教育・学校・教師


 耳がとおくなったわけでもないのに 最近 妙な聞き間違いをするようになった
 しかも同じことが何度も繰り返される
 新しいことばが入ってこないのは 
 やはり頑固になっているからかもしれない

というお話 

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【横滑りする頭】
 若いころから思考が深まらず、横滑りするタイプでした。思考の横滑りというのは私の造語で、深化せずに連想を飛び跳ねたり、一瞬にして別の話に移ったりすることを言います。

 会話の最中だと話を聞いていないみたいで失礼千万なのですが、私の内部では強い連絡があって説明すればだいたい理解してもらえる範囲です。また、うまく作用すれば多面的な見方につながるのですが、そうでなければ上っ面を走って終わることになります。
 日常生活ではダジャレばかり考えているような頭の構造なので、よそ様からは呆れられ、家族からは無視されます。

 これといって得なこともありません。しかしもって生まれた性分ですから仕方ないでしょう。歳が歳ですから「ひとに迷惑をかける時間もあとわずか」と居直ってもかまわないと思っています。あとは自分自身が困るかどうかだけです。

 ところが最近、もしかしたら次第に「自分自身も困るレベル」に向かっているのではないかと、心配になる出来事がいくつか続くようになってきたのです。


【新元号】
 あとわずかで「平成」に代わる新元号が発表されます。それにつれてテレビニュースなのでも扱われることが多くなってきたのですが、この「シンゲンゴウ」という単語を聞くたびに頭の中にすんなり入ってきません。はっきり言うと「信玄GO!」という言葉が浮かぶのを慌てて押し留め、「新元号」に置き換えるといった作業を毎回やっているのです。

 もちろん「信玄GO!」は以前このブログに書いた「真田 de GO!」からの連想であって、“甲府の街をスマホ片手に城まで攻め上がる”とかいってひとりで頭の中で遊んでいのが、いつの間にか定着してしまったのです。しかしそんなロクでもないことが新しい知識の妨げになるのは困ったものです。
(参考)
2016/7/29「ポケモンGO!」2〜「真田 de GO!」


 明らかに頭が固くなっているのですが、そのことを反省する頭の片隅で「頭が固くなっているのに脳軟化症というのはどういうことだ?」などと考えていたりもします。


【正の転移、負の転移】
 スノーボードでオリンピック2大会連続の銀メダルの平野歩夢くんが、スケートボードでもオリンピックを目指すそうです。同じボード競技ですからスケボーのトップアスリートと肩を並べるのも案外簡単なかもしれません。
 このようにひとつの部門での学習経験が他の学習に良い影響を与えることを「正の転移」というのだそうです。バイオリンを習ったことのある人ならチェロの習得も早いだろうといったごく当たり前のことです。

 ところがその逆もあって、ひとつの学習が新しい学びの妨害をすることがあります。端的な例は語学です。
 日本の発音に慣れた口は外国の発音を容易に受け入れません。「舌先を軽くかんで発音する」とか「口の中で舌先を上あごにつけるように丸くする」とか、中には「ノドち〇こを震わせる」などというものまであって、外国人はどうしてこんなに難しいことを始めたのかと嘆いたりしますが、それは私たちが日本語を学び続けたために起こる「負の転移」のためです。

 あるいは「3歩まで走っていいハンドボールから球技を始めた人は、2歩しか進めないバスケットボールの習得が遅れる」とか、「クラシックバレエを習っていた人はヒップホップダンスの学習がなかなか進まない」とか、「水彩画から油彩画への移行は容易だが、逆は難しい」とったことが負の転移としてよく挙げられる例です。

 私の場合、「信玄GO!」と「新元号」は日常語ではないという意味では等価ですが、前者は私自身が考えたという点、および「新元号」より前に意識の中に入って来たという点でより重みがあります。そのために社会的には圧倒的に価値のあるはずの「新元号」が「信玄GO!」に跳ね返されそうになってしまうのです。


【思考の淀みと固着】
 しかし負の転移としてもっともありふれているのは、
「オマエ、変な癖をつけちゃったな。直すの、大変だぞ」
というアレです。
 まったくの初心者ならかえっていいのに、中途半端に学習してきたので困る――。


 まだ現職で大勢の人間と繰り返し接触し好むと好まざるとにかかわらずさまざまな刺激をもらっていた時代は、頭の切り替えも頻繁で判断も速さを求められました。

 しかし今は悠々自適、自分の速度で、自分の好むものだけを扱って入ればいい生活です。そうなると思考はどうしても淀む。そして固着する。誰の指導も受けずに考えたり書いたりするわけですから、どうしても思考に“変な癖”がついてしまう。
 そんなことから「新元号」といった当たり前の言葉さえうまくはいってこなくなるのかもしれないと、いまは思っています。

 この問題、もうしばらく考えてみることにしましょう。



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