2016/11/29

「恋愛フォビアと結婚願望」A〜こうなったら相手はだれでもいい  教育・学校・教師


 恋愛をして相手を十分理解したうえで結婚しても、それで幸せが保障されるわけではない。現代の若者たちが無意識に親から学んだのはそういうことです。もちろん親から学んだかどうかは別にしても、それは真理です。そこから恋愛なんて必要ないという考え方が出て来ます。

 考えてみれば恋愛結婚の方がはるかに歴史が浅いのであって、日本人は(というか多くの民族が)昔から親兄弟や近隣の人たちの善意や利害によって結婚相手を決められ、それでさして問題はなかったのです。また恋愛結婚が主流になって夫婦の関係が格段に良くなったというわけではありません。そうなると人生にとっても人類にとっても恋愛は必須ではないことになり、独身男性の約7割、女性の約6割に交際相手がおらず、独身男女の4割に性経験がないことは、むしろ当然の帰結ということになります。
 性的な問題はネットで解消し、恋愛圧力も受けていない――現代の若者にとって、恋愛という複雑な感情のやり取りは、ひたすら面倒臭いものなのです。

 ではそこまで恋愛への意欲が衰えた若者たちは、結婚に対する興味も失ってしまったのかというとそれがそうでもないのです。実際には結婚への意欲はさほど衰えていない、いや、むしろ高まってきている――それが先週木曜日の「クローズアップ現代+」のもう一つの論点、
 一方、恋愛プロセスを飛ばして「いきなり結婚」を目指す若者もいる
という部分です。

 例示されたのはまず、ブログで結婚相手を募集した女性。結婚したい理由は子どもが欲しいから、したがって相手の年齢、年収、見た目などの条件は問わないというのが特徴。
クリックすると元のサイズで表示します  第二に「大手結婚相談所3社で20代の利用者が増加中」というグラフ。中には大学生のうちに登録する人もいて、年齢層がどんどん若くなっているんだとか。
 三番目がスマホの無料婚活アプリで相手を探す26歳の女性。
 最期が、現在ヒット中のテレビドラマ「逃げるは恥だが役に立つ」の原作マンガで契約結婚について描いた海野つなみさんの証言。
「なんでみんな結婚したがるのかと考えたときに、安心したいのかなと思って。婚活疲れた、就職活動疲れた、仕事疲れた、逃げたい。『契約結婚でいい』そういう感じは(読者の)感想を見て思います。」

 三番目の、無料婚活アプリに登録した26歳の女性の例は特に深刻でした。
 彼女の結婚理由は生活苦。年収が200万円しかなく、家計の負担をシェアすることで生活を安定させたいというのが結婚したい理由。これではもう昭和初期か大正です。
「ひとり口は食えないが、ふたり口は食える」
というように、年収200万円の一人暮らしは苦しくても、年収400万円の二人暮らしはまだ楽なのです。住宅も冷蔵庫も電気炊飯器も洗濯機も一つで足ります。ひとり暮らしでは半分も捨ててしまっていたキャベツも、ふたりなら食べ切ることができます。光熱費も水道料も2倍ということはなく、せいぜいが1.5倍です。
 昔のひとの結婚理由も多くはこれで、だから相手の顔も見ずに結婚できたのです。それと同じことが、今、起ころうとしています。
 

 番組では取扱いませんでしたが、女性側には結婚を急ぐ理由がもうひとつあって、それは昨今言われる「卵子の老化」ではないかと私は思っています。
「結婚適齢期なんてない、そのひとの気持ちが整ったときが適齢期」
――つい最近までそんなふうに言われ、結婚なんていつしてもいい、場合によってはしなくてもいい。本人がその気になったら結婚して、子どもを儲け普通の家庭を築けばいい、そんなふうに思われていたのです。
 ところが昨今の「卵子の老化」報道により、結婚には適齢期はなくても妊娠・出産には適齢期があって、限界もあるということが広く知られるようになってきました。すると、妊娠・出産を視野に入れる限り、結婚にも臨界点のあることが分かってきます。もちろん凍結卵子というのもありますが、それとて45歳を過ぎると受精卵が作製できても母体に戻せなくなる――。 
 そうなると凍結によって若い卵子を確保するより、そもそも自分も卵子も若いうちに子どもだけでも確保しておいた方がいいのではないか、そういった考え方も出て来ます。こうなったらもう、相手は誰でもいい――。
 どうせ恋愛や婚活で、努力して相手を選んでも、実際に結婚してみなければ本当のところは分からない、だとしたら、まず結婚して子どもを儲け、相手のことはそれからじっくり考えたって遅くない。大恋愛で結婚した父母たちだってあとで考え直しているんだから、どっちみち同じじゃない?ーーそんなふうに考える子が出てきても、それはそれで筋の通った話です。

 そしてようやく、ここにきて私は理解するのです。恋愛や結婚や子どものいる生活について、もっと子どもたちと話しておくべきだった、と。

                               (この稿、続く)



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