2016/11/28

「恋愛フォビアと結婚願望」@  教育・学校・教師


 先週木曜日(11月24日)のNHK「クローズアップ現代+」は「恋人いらないってホント?出現!“いきなり結婚族”」という題名で、今日の若者の恋愛・結婚事情について、新たな観点からルポルタージュしたものでした。
サイトの紹介によると、

「恋愛が面倒」「セックスを嫌悪している」。そうした若者が急増している。9月に発表された国の調査でも、独身男性の約7割、女性の約6割に交際相手がおらず、独身男女の4割に性経験がないことが明らかになった。一方、恋愛プロセスを飛ばして「いきなり結婚」を目指す若者もいるという。一体、何が起きているのか。番組では若者800人にアンケートを実施。先進国でも異例とされる“恋愛無用社会”の深層に迫る。
 我が家にはアキュラという独身息子(まだ学生ですが)がいますので興味深く見させていただきました。

 そのアキュラですが、父親である私の目から見ても何とも掴みどころのない子で、恋愛事情についても見えてきません。現在、特定の彼女がいないことは確かのようですが、過去はどうだったのかというとそれも分からないのです。
 私よりも多少くわしい姉のシーナに言わせると、
「アキュラはこれまでいい恋愛をしてこなかったから、悪い女に騙されるんじゃないかと思ってそれが心配」
ということになります。しかし親としては、“悪い女”さえ近づいてこないんじゃないかと、さらに深刻な気持ちです。

 私に似て小さい子は好きなので結婚する気はあるらしいのですが、
「子どもは欲しいんだけど、妻ってのはいらないよね」
などと平気で言いますし、特にオタクとも思いませんが、
「三次元の女は苦手だなあ」
とか言って積極的に女性に関わって行く様子も見られません。そうした姿は二十歳前後だった頃の私とは全く違ったものです。

 私も二十歳前後のころは「いい恋愛をしてこなかった」状態でしたが、頭の中は三次元の女でいっぱいでした。『セックスを嫌悪している』など周囲のどこを見回してもあり得ない話で、頭の中は妄想でいっぱいです。
 インターネットの普及した今日だとありとあらゆる性情報が画像でも動画でもテキストでもバンバン入ってきまが、当時は生々しいものはほとんどありませんでしたから、知識の空隙を妄想が埋めたのです。そして妄想は揮発性が強く、すぐに膨らんで圧力を高め、いつでも爆発しそうなほどのパンパン状況になります。

 それだけではありません。一方で肉体的な欲求に悩まされながら、他方では社会的な意味でも異性に向かっていく必然性があったのです。
 それは、今から考えると恋愛至上命令みたいなもので、
「恋をして、燃えるような情熱の中で結婚しなくちゃ人間じゃない」
といった雰囲気です。

 テレビでは(今は千葉県知事に身をやつした)森田健作くんが剣道部のキャプテンをしながら恋にスポーツに邁進し、映画館では加山雄三さんがありとあらゆるスポーツで優勝しながら、常に恋の勝者となっていた、そういう時代です(ただし彼らは勉強はしなかった)。青春とはそういうものでなければならなかったのです。

 もちろんそれにはわけがあります。恋とスポーツは新時代の青春のシンボルで、それこそが戦前・戦中派と私たちを分ける明確な指標だからです。
 私たちの親世代は戦争を挟んで青春時代を送った人たちですから、恋だの愛だのはほとんどありません。唯々諾々と周囲に従い、黙って歴史に流されるしかなかった、そういう主体性のない人々です(と、当時の私は思っていた)。
 私の同級生の両親などは仲人夫婦が、「いくら何でも結婚式当日の初顔合わせじゃ気の毒だから」と式の前日、新郎は仲人に、新婦は仲人の妻に連れられて路上ですれ違ってお互いを確認したといいます。そんな例は山ほどです。
「恋をして、燃えるような情熱の中で結婚しなくちゃ人間じゃない」 
はそうした親世代に対する激しい抵抗で、“見合い結婚に追い込まれたら、それだけで旧世代人の仲間入り”といった感じがあったのです。相手を十分知らないで結婚するなんて、そんな前時代的で封建的で愚かなことは絶対にしたくない! それは普通でも正しくもない行為だ!
 そうやってさらに異性にのめり込んでいったのです。
 ところがアキュラたちは――。

 NHKの「クローズアップ現代+」では、現代の若者たちの、恋愛における立ち位置ついてあざやかな説明がありました。それはコメンテーターの中大教授の言葉です。
親も、そこ(フリップボード)にセックスレス、離婚とあるように、恋愛結婚したはずの親があまりラブラブじゃないぞ。だったら、恋愛を省いちゃってもいいんじゃないの。
 確かにその通りです。
 私たちが親を見て「相手を十分知らずに結婚するとろくなことはない」と思ったように、現代の子どもたちは「相手を十分知ったつもりで結婚しても、どうということはない」とわかっているのです。

                                (この稿、続く)


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