2015/12/17

「乗り越えること」  教育・学校・教師


 フィギュアスケートのグランプリ・ファイナルで男子史上初の3連覇を達成した羽生結弦くんのすごさについては改めて言うまでもありませんが、彼の演技に関して同じGPファイナル女子で2位に入った宮原知子さんが「(羽生選手の演技を見て)限界はないのだと分かった。次も自己ベストを更新したい」といった話をしていました。
 これは重要な観点で、ついこの間まで合計300点はすべてのスケーターの共通の目標だったのに今は羽生弓弦のはるか背後にあるのです。あれほど遠かった300点越えがにわかに現実帯びて、今後これを軽々と越える選手が続々と出て来るはずです。

 陸上競技で言えば男子100mの10秒の壁は7年間、マラソンの2時間8分の壁、6分の壁はそれぞれ15年、10年破られることはありませんでした。ところがいったん突破されると一気に大量のアスリートたちが突入していきます。男子100mなど同じ年に3人で4回も9秒9を出しました。

 第二次世界大戦末期、日本に原子爆弾を落とすことが決定したとき、さまざまな面から反対する人たちがいました。原爆の破壊力に怯えた科学者とか親日の外交官とかいった人々です。しかしそれとはまったく別の理由で反対した人たちがいました。
「原子爆弾を投下すると、この世にそれが存在することが明らかになってしまう。原子爆弾が製造可能であるという事実はソ連をはじめとする諸外国の研究機関を勇気づけ、遠からず開発に成功してしまうだろう」
 一理ある話で実際その通りになりました。

 そうしたことは個人の中も起こります。たとえば中学生の走り高跳びで130cmをどうしても跳べなかった子が、一度成功すると次からはほぼ確実に跳べたり、逆上がりのできなかった小学生が一度でもできると次は必ずできるとかいったことです。赤ん坊の寝返りや直立歩行も同じで、まず最初の1回できることが大切です。
 
 1〜2年前の強盗事件で、年配の女性が、
「夜、暗い部屋で『ババア、金を出せ』と言われたので孫かと思って渡してしまった」
 といったのがありました。まるで笑い話みたいで、どういう家族関係を持っていたのかと首を傾げたものです。しかしどのような人間関係であれ、「ババア」と呼ぶことが許された(と孫が感じた)ときから、それまでとまったく違ったものに変質したはずです。
 逆に言うと最初の瞬間に、しっかりと対処しておくべきでした。

 教室も同じです。
「先公うるせえ!」とか(教師に向かって)「ふざけるな!」といった言葉が吐かれたら、0.5秒以内に反応してたたき潰さなくてはなりません。
 子どもは常に自己を乗り越え自分を更新していくものです。しかし乗り越えてはいけないハードルがあり、引きずり下ろさなければならない壁があります。子どもが「普通の自分」を乗り越えて、「教師に盾突くすごいやつ」になりそうだったら、とりあえず圧殺します(そのあと丁寧に指導しましょう)。
 先ほどとは逆で、「まず1回」をさせてはいけないのです。


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