2019/4/22

「シェイクスピアはなぜ偉いのか」〜明日は誕生日・命日  歴史・歳時・記念日


 シェイクスピアが現代の若者にとってどういう存在か
 そのあたりはよくわからないが 絶対に勉強しておくべきだ
 特に英語を学ぶなら シェイクスピアは必須
 なにしろシェイクスピアは偉いのだから


という話。
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ジョン・エヴァレット・ミレー 「オフィーリア」

【生年没年ともに知っている有名人】
 明日、4月23日はウィリアム・シェイクスピアの命日だそうです(1616年)。
 1564年生まれですので「人殺し(1564)に生まれて、いろいろ(1616)やって死んだ」と覚えやすいので、私にとっては生年没年ともに知る唯一の有名人ということで以前お話したことがあります。もっとも命日が4月23日だということは今回、初めて知りました。

 シェイクスピアは誕生日も4月23日だそうですから、これからは私にとって「生年月日、没年月日すべてを知る有名人」ということになります。
ただし誕生日の4月23日はけっこう怪しく、命日に合わせてそう決めたのではないかという説もあるようです。

 シェイクスピアの生きた時代を日本に対照すると、数次によって行われた「川中島の戦い」の最後の回(第5次)が行われた年に生まれ、豊臣家が滅びた「大阪夏の陣」の翌年に亡くなったことになります。そういう言い方をするとなんとなく時代が分かってきます。
 南蛮貿易より後の時代ですから、シェイクスピアにも日本に関する何らかの知識があったのかもしれません。

 父親は成功した皮手袋商人で、市会議員を務めた上で市長にもなった名士だったようです。ただしその祖先は名前からシェイク(Shake:振る)+スピア(spear:やり)+(r)だから「槍を振る人」、つまり「歩兵」だったのではないかという話を聞いたことがあります。しかし一方、これは単なる「棒を振り回す乱暴者」という程度の意味だという話もあれば、その「棒」には卑猥な意味があるという話まであって埒が開きません。

 諸説ありますがNHKの「ニッポン人のお名前」によれば、姓はどんなに不自然に見えても必ず良い意味があるという原則があるそうですから、イギリス人なら誰でもわかる卑猥な姓だったとしたら途中で誰かに変えられていたはずです。やはりここは単純に「歩兵」という説に従っていた方がいいかもしれません。


【シェイクスピアはなぜ偉いのか】クリックすると元のサイズで表示します
 しかしいかに傑出した劇作家だったとは言え、シェイクスピアはなぜここまでもてはやされるのでしょう?
 それには相応の理由があります。

 シェイクスピアの今日的業績というとその最大のものは「現代英語の成立に多大な影響を与えた」ということにつきます。俗に言われるのをそのまま借りると、「現代英語からシェイクスピアと聖書を除くと、その表現は半分以下に減ってしまう」そうです。

 例えば「『恋は盲目』って言うじゃないですか」と言った瞬間、その人はシェイクスピアの「ベニスの商人」を引き合いにしていることになります。
「この世は舞台、人はみな役者だ」と気取って言う人は、知らないうちに『お気に召すまま』の台詞をそのまま使っています。

「『弱き者、汝の名は女』というから、やっぱ女性は大切にしなくちゃ」は「ハムレット」からの引用ですが使い方は違っています。
 母親が、夫の死後間もなく夫の弟と結婚してしまったことを嘆いて言う言葉ですから、「女とはなんと心弱いものか、すぐに心変わりしてしまう」といった意味です。女性を大切にするというよりは、半ば呆れ半ば絶望して使う言葉です。

 他にも「終わり良ければ総て良し」だとか「身の毛もよだつ」とか、あるいは批判的な(critical)という単語も、シェイクスピアの発明だと言われています。

 ハムレットと言えばすぐに出てくる「生きるべきか死すべきか、それが問題だ」は、英語の苦手な私ですら原語で言えたりします(To be, or not to be: that is the question)。あまりにも有名過ぎて、欧米では誰でもこれをやりたがり、どんなに下手な役者でもそれだけは何とかサマになる――そこから西洋では下手な役者のことを「ハム役者(ham actor)」と呼ぶそうです。

 日本では「(何と食べ合わせても)絶対に当たらない」「すぐに下ろされてしまう」というところから下手な役者を「大根」と言い、西洋では「ハム」という、なかなか面白い取り合わせです。


【日本におけるシェイクスピア】
 シェイクスピアと言えば私が若いころ、東京で「シェイクスピアシアター」という劇団が全37作完全上演という試みに挑戦していて、私も何回か観に行ったことがあります。小田島雄志さんの軽妙な脚本を使って、舞台衣装も大仰な中世のものではなく、ジーパンに私服という挑戦的な演劇でチケットもかなり取りにくかったように覚えています。

 当時は小劇場全盛で若い人は誰も古典劇など観に行かなかったのに、シェイクスピアだけ特別だったのにはそうした事情がありました。

 さらにちょうど同じ時期――というかそれより少し前に映画の「ロミオとジュリエット」がヒットし、映画自体は大したものではなかったのですが、ニーノ・ロータの音楽が素晴らしく、ジュリエット役のオリビア・ハッセーが信じられないくらいの美少女で、日本中の若者の目が眩んだとのも理由のひとつかもしれません。

 私はずいぶん長いこと、この「ロミオとジュリエット」もシェイクスピアの四大悲劇のひとつだと思い込んでいました。しかし違います。
 考えてみれば大人の事情も考えないガキのカップルが浅はかな計略に乗って失敗し、ともに死んでしまう話です。悲劇というには土台となるものが軽薄すぎます。教師になってから実感をもってそんなふうに考えるようになりました。

 四大悲劇と言えば「ハムレット」「マクベス」「リア王」「オセロ」。
 現代の子どもは「オセロ」と聞けば白黒の丸い駒を使うボードゲームしか思いつかないので、目を白黒させるかもしれなません。この際、「黒人の将軍と白人の美貌の妻の話だ」くらいは教えておきましょう。ちなみにオセロゲームは日本人の発明だと言われています。

 今回、改めて調べてみて、シェイクスピアが18歳の時に結婚した8歳年上の女性がアン・ハサウェイという名だと知りました。もしかした40年以上前にシェイクスピアについてあれこれ調べていた時にも目に入ったのかもしれませんが、同姓同名の女優さんの活躍する「プラダを着た悪魔」は2006年の映画ですから、当時はまったく引っかからず通り過ぎてしまったのかもしれません。
 偶然とはいえ、400年も経ってから奥様と同姓同名の役者さんが世界を相手に大活躍するなんて、やはりシェイクスピアはただものではありません。

 イギリスの文豪、世界の劇作家ウィリアム・シェイクスピア――機会があるようでしたら子どもたちにもちょっと紹介してやってください、





【追記――やりきれないこと】

 このブログには事情があってつくったミラー・ブログがあり、そちらでは「関連記事」というものが表示されます。

 昨日、本記事「シェイクスピアはなぜ偉いのか」を予約投稿して今朝確認したところ、その関連記事として『2018.04.23「シェイクスピアの命日」〜文豪に関するウンチク、あれこれ』が上がっていました。
 内容を見ると今回と9割方そっくりで、ジョン・ミレーの「オフィーリア」まで一緒です。
 「オフィーリア」には何か記憶があって引っかかったのですが、昔から好きな絵ですのでこだわらずに使ったのですが、今から考えるとここにアップしたわけです。

 わずか一年前に同じような記事を書いていたとは!
 耄碌も極まれり!

 先週末から東京と兵庫で80歳代と60歳代の男性による重大な交通事故が2件続いています。文章で人を殺すことはそうはありませんからまだしもですが、本当にがっかりしています。
 子どものころ付き合っていた女の子の口癖を借りれば、
「舌を噛んで死にたい気持ち」
です。
 嗚呼!





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2019/4/19

「恋人がほしければ家電量販店に行け!」〜少子化と非婚について考える3  社会


少子化の原因の9割は未婚率の増加のためだといわれている
実際 男性の4人に1人 女性の7人に1人は生涯独身という“超未婚社会”
しかし18歳〜34歳の男性の85.7% 女性の89.3%は結婚する意志を持っている(*1)
結婚は個人の自由だが その気のある人たちが全員結婚すれば 少子化問題は解決し
親たちも安心して老後を過ごせる
だとしたらどうしたらいいのだろう

という話。

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【恋人がほしければ家電量販店に行け!】
 先週土曜日のNHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン〜超未婚社会」
 後半は「どうしたら未婚率を下げることができるのか」がテーマでした。

 そこで浮かび上がってきたのが、「結婚したい気持ちはあるのだが適当な相手がいない」という切実な問題。
 実際に平成の30年間に、“交際相手がいない独身男女の割合”は男性がおよそ50%から70%へ、女性は40%から60%へと5割近くも上昇している(*2)のです。
 そこでNHKスペシャルは、どういう人が恋人を得やすいのか、どういう人がダメなのかをふたたびAIに訊いてみます。

 昨日までにお話しした「結婚しやすい人、破局を迎えがちな人」の解析と違って今回は男女差が出ず、予想どおり能動的な人たちが交際相手を見つけやすく、控えめな人・人間関係の希薄な人は難しいという結果が出ます。拍子抜けするような平凡な解析結果なのですが、その中に驚くべき事実が一つ沈んでいました。

 それは家電量販店に月一回以上行く人は交際相手を得やすく、「行きたいがあまり行っていない」と答えた人はダメなのです。しかもその項目はネットワーク図で「交際相手を得やすい傾向」「得にくい傾向」のそれぞれ中核部分にあったのです。

 それが後半の見どころ、面白いところです。
            *1*2・・・国立社会保障・人口問題研究所

【だから専門家はダメなのだ】
 なぜ家電量販店なのか――。
 これについて一人の専門家は、
「家電量販店には家族連れも多く、子どもを連れている様子を見たりすると“家族もいいな”と思って交際意欲が高まる」
と言い、別の研究者は、
「偶発的に何か面白いこと(商品)が見つかるという楽しさが家電量販店にはある。テレビを買おうと行っても別のフロアには洗濯機が置いてあったりする。恋愛の確率を高めるという意味では、偶発的な要素に面白さを感じるという部分は当然大きいだろう」
と言っていましたが、おそらく、このお二人は家電量販店でものを買ったことがない。
 少なくとも2種類〜3種類の商品を迷いながら選んだことがないと思います。

 なぜなら1度でも量販店に行って冷蔵庫やテレビを選んだりすれば、結婚への意欲の高まる理由は簡単に理解できるからです。1度でダメなら2〜3回行けば、それでも分からないという人はよほど鈍感です。


【家電量販店には意識変革装置のような役割がある】
 だってお一人様の冷蔵庫なんて、ほんとうにつまらないのです。野菜室があって冷凍庫があってチルドルームがあって、ドアはポケットが細かく仕分けされていて、自動製氷機があってビールも適温に調節できる多機能の冷蔵庫となるとどうしても500ℓ以上入る大型になってしまいます。
 そんなもの独身者が買ってどうするのか。

 テレビも今流行りの60型・70型の4K・8K対応を購入したい。金もある。しかしそんなでかいテレビ、ひとりの部屋に入れてどうするのだ?
 女の子をとっかえひっかえ連れ込めるモテ系男子なら楽しいかもしれないが、普通の男の子ではかえって惨めだ。一人暮らしの狭い部屋で、あんな大型画面、視野にも入りきらない

 そこで仕方なく40型テレビと小さな冷蔵庫と小さな洗濯機を買ってくる。部屋に置いてみる。やはり惨めだ。1合炊きの炊飯器なんて置いてあるのはウチと独居老人の部屋くらいなものだ。
――そういうことは家電量販店で商品を見比べたりしない人には、分からないことなのかもしれません。

 もちろん同じ独身でも資金力があって広いマンションに住み、大型テレビも冷蔵庫も洗濯機もバンバン買ってしまう真に貴族の名にふさわしい独身者もいます。あるいは10年後の(家族を持っているだろう)自分を考えて無理してそろえる独身者もいます。

 しかしすべてが揃ったように思えた部屋を見回して、その人は自ずと欠けているものに気づくはずです。
 つまりその部屋にふさわしい“家族”がいない。

 NHKスペシャルでは学者が気づかなかったその答えに、家電量販店の客と店主の双方が簡単に答えてしまいます。
「家電量販店には意識変革装置のような役割がある」
と。


【黒マント婚活】
 NHKスペシャルは最後に婚活パーティでどういう要素がカップルを成立させるのかを分析します。
 驚いたことにそのトップは「ファッションが趣味かどうか」。しかもファッションに力を入れると相手が見つかり易いのではなく、相手に敬遠されてしまうからできるだけ控えた方がいいという結果を出したのです。男女とも同じ傾向でした。
 そこから、婚活パーティでは「ファッション」という要素を消してしまえばカップル成立の可能性が高まるという仮説が立てられます。

 番組では愛媛県の公設婚活事業の場を借り、参加者全員に黒いマントを着せて行うということで実験しました。そしてまんまと仮説通り、普段は29%のカップル成立率がその日に限って43%にまで高まったのです。

 もちろんたった一回の実験で証明というのはおこがましいのですが、私には数値よりも実感としてよく分かりました。
 番組が中心的に取り上げて最後に見事カップル成立となった女性は、黒マントを着ていた時の方が魅力的だったからです。35歳という年齢相応に、落ち着いたいい感じだったのです。

 ところがファッションが趣味で普段は個性的な服装を好むというその女性は、ガウンを脱ぐと黄色の派手なワンピースで、やや軽い感じがしました。私だったら静かに敬遠するところです。

 しかし私の実感が正しいとなると、黒マントでおしゃれを封じたことでその女性の本質がよりよく見えたのか、黒マントのために本質が見えなくなったのか、よく分からなくなります。
 どちらが正しいのか――。


【何とか若者の後押しをしよう】
 しかしそれはどちらでもいいことです。婚活パーティでその場で結婚を決めるわけではなく、そのあと交際してみて、そこで気に入ったら決めるからです。

 家電量販店のひらめきで結婚を決めたり、大型家電を揃えてしまったので結婚する気になったりするのも決して不純ではありません。
 どうせ結婚までは紆余曲折、時間もたっぷりかかるのです。さらに結婚してしまえば――それが十分準備期間を持った結婚でも突発的な結婚でも、互いの本質に触れてそれまで知らなかった部分に気づき、双方調整し合って家族を造り上げて行く過程にそんな大きな差はないからです。
 とにかく結婚する気のある男女はふれあい、側にいて、あるいは中途半端なままでも結婚してしまうのがいい。

 その点で、マツコ・デラックスも言っていましたけど、昔は世話好きのオバさんがいて本人が多少納得していなくても強引にくっつけてしまうようなことがあった、そのようなことがなくなったことは惜しいことでした。

 また日本の社会は男女の出会いの場として“職場”が圧倒的な機能を持っていたのですが、現在はセクハラ・パワハラ問題、あるいはコンプライアンスの関係で安易に結婚を勧めたり、デートに誘ったりできなくなっていますからそれも厄介です。

 そうしたことも含め、しかし政府とは違った面から、若い人の結婚を後押ししていきたいと思いました。
 世の中の9割の若者に結婚の意思があり、大人の多くがとりあえず「結婚することはいいことだ」と思っているのですから。



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2019/4/18

「過ぎたるは及ばざるがごとき女子」〜少子化と非婚について考える2  社会


 人生に危機感をもった男性は結婚したがる
 とても単純な話だ
 しかし女性は複雑な世界に生きている
 とりあえずそうした実態を知らないと
 話は先に進まない

という話。

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【男の子はバカだから可愛くて危険、という話】
 男の子が生まれたと聞いたり、小さな男の子を連れているお母さんに会ったりすると必ず言うのは、
「男の子は賞味期限が長いですよ」
ということです。

「男の子は小学校に上がっても可愛い。いやむしろ小学校に上がったころから本格的に可愛い。中学生になっても、高校生になっても、可愛いときは可愛い、とにかくバカだから――」


 男女一人ずつの子を育て、その関係でいつもお友だちの様子を見て来た私がつくづく思うのは、3歳までの子どもは、男の子は大したことないが女の子は天使のように可愛いということです。
 娘のシーナを育てていた時などは、事あるたびに背中に触れて天使の羽が生えていないか確認したくらいです。

 ところが「4歳」という声を聞いたころから突然「天使のような」といった無条件の可愛らしさは消えてしまいます。子どもがしっかりしすぎて単純に“可愛い”という訳にはいかないのです。

 一方、男の子はバカですからいつまでも憎めない、その分、可愛い――。何度でも同じ間違いを繰り返すから目が離せない。
 そしてその「バカだから同じ間違いを何度でも繰り返す」という点に十分留意していないと、男の子を育てるのはとても危険なことになってしまうのです。

 男の子は同い年の女の子に比べると格段に叱られることが多くなります。
 バカですから危険を顧みませんし、バカだから暴力的です。バカだから一度教えたことも忘れてしまいバカだから同じ過ちを繰り返します。そして一部の子は、何回も叱られている中で前向きな気持ちを失い、安易な方法で友だちから高い評価を得ようとしたりするようになります(オマエ、先公に逆らうなんてスゲエよな。オマエ、小学生なのにバイクの運転できんのか!?)。

 NHKスペシャルに関する昨日の話に出てきた「健康不安など、生存や生活に危機意識が生まれると結婚に近づく」という単純さは、まさに男ならではの話です。
 しかし女性はそうはいきません。


【過ぎたるは及ばざるがごとし――紙一重の女性たち】
 AIが解析した“一年後に結婚していたカップルと破局したカップルの特徴(男性編)”は結婚しやすいグループとそうでないグループが鮮やかに分離しました。
 ところが“女性編”(下図)は複雑で、よく似た同じ範疇の回答なのに、わずかな差でそれが結婚に結びつく場合とそうでない場合があることを示すのです。
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 例えば携帯・スマホに関して、
「携帯・スマホで情報入手」
「ネットで飲食店の口コミ見たい」
「スマホを日常的に使う」
と回答した人たちはのちに結婚に至ったのに、ほぼ同じ範疇である、
「SNSで情報共有・発信」
「スマホゲームの時間を減らしたい」
「平日、ネットニュースを1時間以上」
の人々は破局に向かっているのです。

 あるいはファッション・美容に関して、
「エステで脱毛したい」
「美容家電を持っている」
はいいが、
「ブランド品付きの雑誌を買いたい」
「CMで見た化粧品を買いたい」
「毎日体重を測る」
はダメ。

 これはかなり厄介な話で、女性には“ここまではいいがそれ以上はダメ”という見えない境界があることを予感させます。


【ガラスの天井とバカの壁】
 番組のコメンテーターのひとりは、
「これは女性の生きずらさ――女はこうでなくてはいけないとか、こういうことだったらいいとかいうことがあって、そのかなりの部分は男性社会とか組織の責任であって、日本ではまだそういうところが十分変わっていないのではないかと思う」
と言っていましたが、私もそうだと思います。
 インターネットを使うのはいい、できなくては困るはが、あるレベルを越えてはまりこむような人とは一緒になれない、女性として身なりに気を遣うのは当然でそうしてもらわなくては困るが、やたらと化粧品を買って来たり常に体重を気にしたりするようではこれも困るといったことです。そうした言い方は、男性にはしないでしょう。

 ヒラリー・クリントンは大統領選挙の敗北宣言で、
「最高で最も困難な『ガラスの天井』は打ち破れなかった。しかしいつか誰かが、私たち考えているよりも早く達成することでしょう」
と言いましたが、女性の場合、ガラスの天井・ガラスの壁はいつも思わぬところに現れたりするのです。

 そうした女性の状況を分かったつもりで理解していないのが私たち男性の「バカの壁」です。

 女性は男性と違って子どもを産むことができる性です。生むか産まないかを主体的に選択できるのは女性の特権です。産むとなると職業人としてのキャリアの何分の一かを犠牲(ないしは執行猶予)しなくてはなりませんが、それもまた選択の枠の中にあります。つまり女性は、常に選び決断する運命を担わされているわけです。
 それが結婚することへの難しさにつながっています。

 男は単純でバカだというところから話を始めましたが、それは男性がもともと選択肢が少なく、女性に比べて決断の少ない、平板な人生を運命づけられているからかもしれません。あまり考えたり悩んだりすることなく生きていけるのです。

                            (この稿。続く) 

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2019/4/17

「不健康な男は妻を求める」〜少子化と非婚について考える1  社会


 少子化問題
 その原因の9割は 日本人が蹴婚しなくなったからだという
 なぜ人は結婚しなくなったのか
 どうしたら結婚するようになるのか
 結婚は個人の自由かもしれないが
 息子のことを念頭に ふと考えてみた

という話。

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【超未婚社会をAIで解く】

 先週土曜日のNHKスペシャル「AIに聞いてみた どうすんのよ!?ニッポン〜超未婚社会」。VTRに撮ってあったのを昨日観ました。面白かった。



クリックすると元のサイズで表示します 番組内容をNHKのサイトから丸写しすると、
 マツコ・デラックスと有働由美子の強力タッグと、NHKが独自に開発した人工知能 「AIひろし」がぶつかり合い、日本が直面する課題の解決策を探るシリーズ、「AIに聞いてみた」。第4回のテーマは「超未婚社会」。恋も結婚も個人の自由・・・ですが、日本の大きな課題「少子化」に直結する問題でもあります。
 いま日本の婚姻率は過去最低を記録。男性の4人に1人、女性の7人に1人は生涯独身という、“超未婚社会”ともいうべき状況。少子化の原因の9割が婚姻率の低下にあるという研究も発表されています。
 しかし、どうしてこれだけ未婚社会になったのかは、実は研究者も全貌がつかめていない大きな謎。これまでは男性の収入の不安定化や女性の社会進出、保育所問題などが原因とされることが多かったのですが、AIはいままでの常識とは異なる意外な要素を導き出してきました。それは「健康と結婚の関係」、「家電量販店と交際相手」・・・などなど、一見全く関係のないと思われるものたちの「つながり」。こうした意外なAIの解析結果をもとに、独身のマツコと有働が結婚について大激論。専門家たちと平成最大の難問の解決策を探ります。

ということです。
 
 ここで言うAI解析というのは、日本人・約20万人を8年間追った膨大なデータの中から交際相手のいる男女をピックアップして、この人たちに訊いた4000以上の質問を分析し、関係の深い項目をつなげてネットワーク図にするというものです。その上で一年後に結婚していたグループと破局したグループ、男女別に分け、それぞれどんな共通性があるかをみるものです。
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 例えば男性の場合、「出身地と違うところに居住している」と答えた人は結婚しやすく、その人は同時に「独立起業はしたくない」「毎年検診を受けている」「子どもと余暇を楽しみたい」といった回答をする傾向があります。逆に破局を迎えた人たちは「電子マネーは使わない」と答え「小物類に金を使いたい」と考え「エスニック料理に行く」「筋トレやヨガに無関心」といった回答をしています。

 コンピュータは傾向を示すだけで意味を語るわけではありません。そこで番組の出演者がなぜそうした傾向になるのかを話し合うわけです。



【不健康な人は結婚しやすい】

 男性のネットワーク図を見て、司会のマツコ・デラックスと有働由美子がまず目をつけたのは、「動悸や息切れがする」「目が悪い」「耳が遠くなる」といった不健康にかかわる回答をするグループは結婚しやすいという点です。
 そこで番組は、婚姻率と出生率が全国一位の沖縄県に向かい、沖縄の人たちがほんとうに不健康なために結婚するのかどうかを調べるのですが、もちろんそんなことはありません。

 婚姻率や出生率が高いのは「貧乏人同士が経費節減ということで結婚するからではないか(沖縄の一人当たりの県民所得は全国最下位)」「他にやることがないから。海しかないから(さずかり婚率全国一位)」といった、可能性を感じさせるいくつかの理由が挙げられたあと、健康に関する驚くべき事実が語られます。

 それは平成2年を境に、全国1位だった男性の平均寿命が、5位(平成2年)、26位(同12年)、30位(同22年)、36位(同27年)とガタ落ちに順位を落としていくというものです。一方、婚姻率はそれに連れて鮮やかに上がっていきます。

 番組はそこで、婚姻率が上がったのは具体的な不健康のためではなく、健康に関する危機感のためではないかと考えます。
 平均寿命1位陥落後、行政もテレビコマーシャルで健康不安を掻き立て、企業は検診を制度化し、市町村レベルでは保健指導の家庭訪問まで始めるところも出てきます。
 そうなると否が応にも健康・生存問題は具体的な課題となって目の前に突きつけられます。



【生存が危ぶまれると子孫を残したがる】

 生存が危うくなると子孫を残したがるというのは植物や菌類に顕著です。

 例えばキノコ類など、一番楽なのは地中でのうのうと菌糸を延ばしているときです。ところが何らかの事情によって生存の危機が訪れると地上に菌糸の先を延ばし、そこから胞子を空中にばらまくというアクロバティックでギャンブル性の高い所業に出ます。

 代表的な危機は寒くなること、つまり秋が深まるとキノコは一斉に地上に顔を出して傘を広げようとします。自分が寒さのために滅んでも、胞子が行った先でより良い土地を発見し、そこで繁殖することを願ってのことです。
 またシイタケなどは原木に菌を植え付けたあと、金づちで叩いたりコンクリートの壁に打ち付けたりし成長を促したりします。それも危機意識を煽るやり方に違いありません。

 ランの一部は根詰まりをして苦しくなると花を咲かせます。自身が危うい以上タネをつくって後につなげなければならないからです。ブドウやトマトは水枯れ状態でおいしい実をつけます。スイカも寒暖差の激しい(夜になるとちょっとヤバそうな)土地の方が甘い実をつけたりします。

 私は動物のことはあまり知らないのですが、おそらく同じでしょう。

 人間の場合は、貧しい国や地域、あるいは日本でも貧しい時代は出生率が高かったものです。そこにはもちろん「子が働いて親を食わせる社会システムがあったこと」や「ほかにやることがなかった」という事情もあったかもしれませんが、とにかく子どもが大勢死にますから、その分を多く残しておかなければならない、という危機意識もあってのことでしょう。弱い者が多産なのはイワシの大群を見ても分かります。

 そう言えば、実際に数字として表れたかどうかは分かりませんが、東日本大震災の際、「きずな婚」とか言って急遽結婚を決めたカップルがいたのも、危機意識が造り上げた婚姻だったのかもしれません。



【これでは結婚しないわけだ】

 最近、母のプチ介護(大したことのない介護)ということもあってスーパーマーケットに行くことが多いのですが、そこで感心するのは総菜の多さです。
20mはあろうかという総菜コーナーの、右端から順に買って食べる生活を始めても一か月は優にもつ、そんな感じです。さらに生鮮食品も冷凍食品もありますから一人で生活してもまったく困らない。
 外食で良ければもちろんそれでいいですし、飽きたらスーパーに通えばいいのです。

 アパートはたいていがバストイレ付きだから衛生面でも危機感は持ちにくい。超人手不足だからほとんどの若者に職があって生活自体に危機感がない、とりあえず近未来に不安がない。
――これでは結婚しないわけです。

 番組ではその他にも、「危機意識が婚姻率を高める」というアメリカの研究論文を紹介したり、最近、婚姻率や出生率を高めた国々の多くが若年失業率が高い、といった事実を示して危機意識と婚姻の関係性を補強しようとしていました。よく理解できるところです。

 ただしこれは男性に限った話なのです。
 女性の場合はもっと複雑で、厄介な事情があります。

                             (この稿。続く) 





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2019/4/16

悪いのは禁止した学校ではなく 勝手にツーブロにした美容師の方だろう  メディア評論


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 マスメディアの校則批判には 一定のお約束がある
 批判が前提なので本質を見誤る
 事実に関する取材が甘いので
 結論がお門違いになる

 校則批判は定期的な行事なのだから
 もっと丁寧に調べてほしい
 

というお話。

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 更新しました。

「キース・アウト」

2019.04.16
ツーブロックはダメ?校則に疑問の声 学校「高校生らしくない」

 PC版 →http://www5a.biglobe.ne.jp/~superT/kiethout2019/kieth1904b.htm#i2

 スマホ版→http://www5a.biglobe.ne.jp/~superT/kiethout2019/kieth1904sh.htm#i2

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2019/4/16

「子どもには子どもの感じ方がある」〜意味なく叱るよりは、意味なく誉めておく  親子


 親が語り掛ける言葉は 必ずしも意味あるものだけではない
 くだらないこともあれば 無意味な場合もある
 どうでもいい話もある しない方がいい話もある
 しかしどうせ大した意味もないなら
 とりあえず誉めておくのが一番いい

という話。

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【人間の躾には、延びてくる手が多い】
 孫のハーヴがもうすぐ4歳になります。
 離れて暮らしているので会うたびに格段の成長があり、それを見るのが楽しみです。

 昨日は犬の躾の話をしましたが、人間は犬と比べて成長がずっと遅く、躾け項目も多いため、大人になるのに時間も手間も何倍もかかります。ただしたいていの犬が一人か二人の飼い主によって躾けられるのに対して、人間はたくさんの大人や友だちに育てられて成長しますから、その分、楽な面もあります。

 ハーヴの場合は2歳で保育園に入りましたから、保育士さんやお友だち園児に教えられている面も少なくありません。
 例えばトイレットトレーニングなどは、親だけの指導で達成するのは容易ではありません。
 しかしハーヴは保育園の先輩や同輩がトイレでうんちやおしっこをするのを見ていますから、自然とそれがそういうものだと覚えます。自分一人でトイレができる子は保育士さんたちに誉められてその様子を見ていますから、ひとりでできることの価値も、特に改まって教えられることなく覚えていきます。

 親たちは家でオマルを用意して、うんちやおしっこの出そうなころ合いを見計らって、パンツを脱がせて待っているだけでいいのです。、あとはうまく行ったら大いに誉めるだけ。
 楽なものです。


【誇り高き3歳児】
 ハーヴもちょうど一年前くらいに、そうやってトイレットトレーニングを終了しました。それは誇り高いことで、当人にとっても大人への階段を大きく一歩上った事件でした。

 直後の梅雨の朝、母親のシーナが計算間違いをして履かせるパンツがなくなってしまい、保育園には予備のパンツがあるので、
「ハブくん、今日は“お兄ちゃんパンツ(普通の木綿のパンツ)”全部洗濯しちゃって履けるのがないのよ。悪いけど紙パンツで行って、保育園で履き替えよ?」
 そう言うと泣いて怒って、シーナの持っていた紙パンツを奪って床に投げつけたそうです。

《でかしたハーヴ! それでこそお兄ちゃんだ!》

 しかたないのでノーパンで保育園に行ったそうですが(それが誇り高い園児のすることか?)、そんなふうに子どもは育って行くわけです。“お兄ちゃん”が紙オムツで保育園に行くのは、沽券にかかわるらしいのです。


【成長は直線的に進まない】
 今、4歳になろうとするハーヴはトイレについてはほぼ完璧で、行きたいと思うと親に一声かけてトイレのドアを開け、ズボンとパンツを脱ぎ、幼児用便座を便器の上に乗せて踏み台を使って上にのぼり、用をたすと便座から降りて幼児用を片付け、水を流して戻ってきます。
 パンツやズボンの後ろ前が分からなくなることがあるのでそれについては母親に確認すると、床にパンツ、ズボンの順で並べて一人で履きます。
 履こうとします。
 その気はあります。
――ところが、なぜかそこからめっぽう時間がかかるのです。

 何かのルーティーンなのかもしれませんが、片足をパンツに突っ込んだまま、テレビがついていればテレビに気を取られ、ついていなければそのつど何かを見つけてそちらを凝視して、ピタッと手が止まってしまう。

 私はそれとなく眺めているのですが、孫と言えど他所様の子、安易に口や手を出すのは憚られるので放っておくのですが、そうなるとさらに進みません。
 やがてハーヴは何回か気を取り直して動きを進め、1〜2分の後には服装を整えます。1〜2分だから文句は言えないのですが、5秒でできることを120妙もかけるわけですから、まじめに見ていると相当イライラします。

 そこへ食事の支度をする母親のシーナが現れて声をかけます。
「ひとりでできたのね。ずいぶん速くできるようになったね!」

 私はびっくりします。
《速くなんてネ〜ダロ!》
 もちろん口にはしませんが、思わず目を剥いたりします。


【子どもには子どもの感じ方がある】
 しかし翻って、同じ状況で他にかける言葉があったとすれば、それは、
「相変わらず時間がかかるわね」とか、
「今ごろやっと終わったの」
といった陰性の言葉、あるいは、
「終わったの?」
といった無意味な確認だけです。
 それで何の利益があるのか?

 もちろん「パンツやズボンを履くことは、もっと速くできる仕事だ」という事実を知らせることには役立ちます。暗黙の裡に「次はもっと速くしなさい」という指示を伝えることになるのかもしれません(3歳児でもそういった含意を汲み取れると仮定して)。

 しかし確実に言えるのは、それが母子ともに気分の良くない出来事になるだろうということです。気分を悪くしても得られる価値が大きいなら、敢えてそうしなくてはならない場合もありますが、この事例は違うでしょう。

 どうせハーヴに正確な時間の感覚などないのです。「ずいぶん速くできるようになったね」と言われればそうだったような気もしてきます。「ひとりでできたのね」は母親が認めてくれたということですから、全体としては誉められたことになります。

「トイレに行って、一人で全部やって、誉められた」
 ハーヴが今日、経験したのはそういうことです。明日も大差ないかもしれませんが、明日の明日の明日くらいになれば、もう少しは速くなっているかもしれません。

 ハーヴも良い母親を持ちました。

 (自画自賛!)



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