1983年、大学を卒業して実習に入ったアメリカ・カリフォルニア州チノファームでは、
ホントありがたいことに、あらゆる野菜をつくっている農場で、しかもあらゆる作業をやらせてもらえた。
ボス(農場主)の教育的配慮にはとても感謝している。
沢山の種類の作業のひとつ。トラクターのけん引作業の補助。
何を引っ張っているかというと、畑の土を平らに整地する機械。
それを少し離れた場所から三脚立てて水平を見る装置(水平機)で見て動いているトラクターのドライバーにトランシーバーで連絡するという作業。
どうして水平にしなければならないのかというと、潅漑をするから。
カリフォルニアあたりだと、乾燥した気候(夏は2ヶ月も一滴の雨も降らない)だから、畑に水をまいて作物を作る潅漑農業が大前提。
どこの農場も井戸を掘るか用水の水を使う。
この農場は作物の畦間に水を入れていく方法を採用していたから、完全な「平ら」がないと作物の生育にばらつきが出てしまう、ということなのだ。
アメリカの農場は何しろどこの農場もでかい。
ダーっと作ってダーっと収穫。スーパーの売り場にも日本のように個別包装なんてせずにダーっと並んでいる。
あるとき見学に行った他の野菜農場はタマネギを作っていて、でかいトラクターで管理作業をいていた。
見てると隅っこのタマネギなんかおかまいなしで踏んづけてたもんなぁ。
四角い畑を丸く使う。
もっと広い穀倉地帯中西部へ行くと、はなっから畑が丸いですもん。
畑の真ん中に潅漑設備の蛇口があって、そこから移動式のパイプを伸ばして水掛けながら栽培するとなると、ほらコンパスで線引くように丸くなるでしょ!
日本で食品のことで何か問題が起こると「食糧自給率が・・」と話題になるのですが、いまひとつその議論が続かないのは、この圧倒的な量の差があるからなのだと思う。
要するに話にならない。
小さな田畑がひしめきあっていて、所有者も入り組んでいて、「オメんとこの草の種がオラホに入って困っから何とかしろしね」っていう距離で作業をするのだからなぁ・・
前衛舞踏家が農場をかまえている。農作業の所作の中にダンスの動きや精神を探るのだそうな。
まあでも、それはそれ。
地元の神社。お神楽の保存会の若い衆ががんばっている。
でも専業農家はいないなぁ。そりゃそうだここから甲府は通勤圏だ。
本当にこの山の神に豊作を感謝しているのは、一束数十円のホウレンソウを束ねて家族を養っている、新規就農の来たりモンの有機農家なのかもしれないな。
「人間の思考と風土」なんて授業が大学であったような、なかったような。「精神的風土」なんて言い方もたまに耳にする。
このあたりのことは、この食糧自給率からするとすでにかなり変化しているとみるのが妥当なんでしょう。
新規就農で畜産で、輸入穀物頼りの養鶏で。
ちょっとずれたところに軸足を置いています。このポジションで何が出来るのかな?
まずは「ひよこにさわろう」。来て下さいね。(「にわとり食べよう」もまたやります。)
「次は17番の畑ねー。移動してー。」トランシーバー越しに指示が来る。
は〜い。
「そうそう、あそこの畑、ガラガラヘビ出るよー。気をつけてねー。」
ええ〜!ホントにぃ?!・・・