ちょっと前。
いつもの郵便局に行くと、局長が変わったとかで挨拶をされた。
「あ。」「以前こちらにいらした方ですよね。」
「よく憶えていらっしゃいますね。ありがとうございます。」
ずっと以前、その人がまだ若手だった頃、窓口業務をしていたから憶えていた。
自分自身はずっと農場にいて野良着で仕事をしていて、鏡なんて見ないからおかまいなしなんだけど、こうして若手だった人がおっさんになっていると、月日が流れているのを感じずにはいられない。
それから他のお客さんがいない時にちょこちょこ世間話をするようになった。
先日。
「佐藤さんて365日24時間休みなし・・ですよね?」
「まあ・・そういうことですね。ずっと農場にいて、どこにも行けないし、まあ・・変な人・・です。笑」
自分も若い頃はとにかくどこかへ行きたくて、どんどん遠くへ行きたくて、挙句、メキシコのもうここがどこだかわかんないぐらいの田舎の農場で仕事をしてた。
それが、ここ30年以上は、家畜を飼ってるから、ここにいる。
ずっとここにいるけど、今はどこかに行きたいとかあまり思わない。
若い頃の自分だったら不思議だろうな、と思う。
でもね。
家畜がいるから何処へも行けないけど、それが苦痛ではないんだな。
結局、どんな遠くまで行ったって、いっしょだもん。
こんな山の森の入口でずっとイヌといっしょに家畜を飼っていると、どこへも行けない不自由さはあるけど、年月を重ねるといろんなものが見えてくる。
最初は全然見えなかったケモノの世界が見えてくるようになったし。
最初は全然わからなかったイヌと気持ちが通ずるようになってきたし。
最初は全然わからなかった鶏の機嫌がわかるようになってきたし。
最初は全然わからなかった昔から住んでるヒトが何考えてるかわかるようになってきたし。
最初は全然わからなかった東京から引っ越してきたヒトの行動がわかるようになってきたし。
で。
この頃は、そのヒトの世界の後ろに広がる魑魅魍魎が少しずつ見えるようになってきた。
今はそれが一番面白い。
だから。
そんなにあちこち出かけなくても、毎日楽しい。
明日は何が出てくるのかな?ってね。 BOO~
(そうだな。今の俺ならわかるな。
あの時、今から34年ぐらい前「ジョージ君。山梨で一緒に農場をやろう。お金の心配はしなくていいから。」と近づいてきたのが、貧乏神だったてこと。ありゃ酷い貧乏神だった。おかげでそれからずっと貧乏だW
その貧乏神が最近の映画で貧乏神役やってて一人でうけた、ってのが今回のオチ。)
https://www.youtube.com/watch?v=B25tW3A2HPM
