もう、ずいぶん前だけど。
3ヶ月ほど新生児集中治療室なんて所に通った事がある。
肘まで消毒手洗いして、白衣を着て中に入っていくと、カバーがかけられた治療用の保育器の中に、モニターや栄養補給のための線や管につながれた小さな子供たちがずらりと並んでいた。
その保育器には簡単なメモが下がっていて、申し送りのような事柄が書き込んである。
ながめているとその中に「要求強し」なんて書いてあるのがあって。
看護師さんとの会話の中で察すると、どうやらその子は食欲が旺盛で、ミルクの時間になるとよく泣くらしい。
ふふふ・・なるほどね。
「そういう子は大丈夫。」
っていう言葉を聞いたのも、看護師さんからだったけれど、それは離れた別の場所での事。
新生児集中治療室なんていう難しい場所では、会話一つ、気を使わなければならないからね。
どの子もみんなその日を生きるのに必死だ。みんな頑張れ、と自然に思う。
みんな頑張れ、ここは頑張れ、お家に帰ろう。
朝、農場に入っていくとクェークェー!餌はまだ?!と大騒ぎ。
食欲がある事が、イコール状態が良い事なのは鶏も同じだ。
「よーし、要求強し!」
今日も元気が良いのを確認して、ホッとして、張り切って餌をやる。
鶏の「要求」に答えるのが鶏飼いの仕事。
だから休みもないし、風邪もひけないし、二日酔いもない。
つまらない?いやそうでもないよ。みんな同じ、程度の差じゃね?
鶏も人も、生きているのは紙一重。
何かに誰かに突き動かされて、今日も明日も仕事でしょ?
夕方の「要求強し」はこいつらからの散歩の要求。
雨の切れ間、今降ってないから行こ!って言われて歩き始めたけど・・
途中で降ってきちゃったじゃん。
ま、いいけど、濡れながらだからそこまでね。
(梅雨時、体調崩したりしませんように、みなさん元気にお過ごしください。)
