ちょっと前に、お客さまからうちの卵について、お問い合わせがあった。
いつもと様子が(卵の中身が)違う卵があった、それは何故か?と。
遠くからのお問い合わせで、その卵はすでになく、お話から状態を想像するのだけれど、それに対する明確な答えが見つけられずにいて。
いまだにイライラしている。
手元にある資料を全部引っ張り出して、あれこれ考察するのだけれど
まだわからない。
引っ張り出した資料をながめていると、自分が忘れていたことを復習することになる。
現場で毎日力仕事に追われていると、考える時間がなくなる鶏や卵の生理の事。
その中の一つに、卵を割ったら中からからゼムクリップが出てきた事例の記事があった。
「何それ?どういうこと?」
だよね、そう思うよね。
理屈はこう。
鶏には総排泄口という穴が一つだけおしりにあって、それが肛門と卵が出てくる所を兼ねている。
(もちろん中で消化器官と生殖器官は分かれている。出口だけ一緒)
何かの間違えで鶏がを食べてしまったゼムクリップは、そのまま消化されず肛門にたどりつく。
そこで本来排泄されるはずが、何かの間違えで、隣にある卵管膣部に入ってしまったゼムクリップが、卵管内の運動によって卵管の上部にまでさかのぼってしまい、そこにある黄身と一緒に形成途中の卵に取り込まれてしまう。
ゼムクリップ入りの卵の出来上がり。
もちろん、そんな事はも〜う極めて稀なことで、再現実験を試みても出来ないほどのレアなケース。だけど、ちゃんとした養鶏の教科書に書いてある話。
(すごく大きな卵なので試しに割ってみると、中に殻つきの卵が入っていた、というケースもこれと同じ一度出来上がった卵が卵管を遡上してまわりに卵白・殻が形成されたもの。)
大きな養鶏場の全面金属製のカゴに入れられた鶏が、運動することなく目の前に流れる餌だけを食べて産む、現在主流の卵では、白色の薄い殻に光を当てて異常がないかチェックして出荷されるので農場段階で異常卵は除外され、それが食卓に上がる事はないのですが。
卵を産むっていうことは非常にデリケートな生理現象で、いろいろな事が起きます。
風邪をひいても、若い頃かかった病気が生殖機能に後遺症となって残っていても、獣や台風が来てストレスがかかっても、「異常卵」というやつを産む事になります。
(それもこれも、鶏が産んだ卵なんで、出荷出来ない卵でも、ありがたいな、大したもんだな、よく産んでくれたよ、と思うんですよね。商品価値がないっつーだけなんで。だから「異常卵」なんて呼び方、カギカッコ付けときます。)
でもね。
「え〜それって気持ち悪い〜。やっぱ衛生的なケージ飼いの方がイイ〜。」
って話になっちゃならないから、ちゃんと説明出来なきゃいけないんだ、俺は。
だから
ちょっと
イライラしている。
(お客様が農場の事を書いて下さったのでアドレスを張っておきます。よかったらご覧ください。
http://yaplog.jp/basie/archive/400
何の仕事だかわかんなくなっているのはシメシメです。俺が鶏を飼っている事が「表現」になって誰かの感情に届けばな・・と思っているからです。ありがとうございます。
今回は走り書きの乱暴な文なので、お口直しに画像はCafeCafeさんのプリンで。よい週末をお過ごしください。)
