もう7〜8年前のことだから細かいところは記憶があやしいのだけれど。
以前衛星のテレビ放送でやっていたディスカバリーチャンネルというアメリカのチャンネルの話。
その中の「秘境の旅」という番組のこと。この番組はリポーターのアメリカ青年が、例えばアマゾンやボルネオのジャングルの先住民や例えば砂漠の民と過ごし、暮らしぶりを紹介するという番組だった。
ある回、タイトルは「日本」。あれ?番組表の印刷ミスかな?と思いながら見てみると、東京を紹介していた。
出てくるのは、自動販売機がずらり林立する渋谷の通り。その自販機がいちいちしゃべったり歌ったり商品が運ばれてくる様子をアクロバット仕立てで見せていたり。
その次はTOTOのショールーム。人が近づくだけで蓋があがり洗って乾かして流してくれる全自動便器にリポーター氏はおおはしゃぎ。他はパチンコ屋とかゲームセンターだっかな。
機械の王国・自販機ジャングル・具現化した未来都市・・・番組の意図としてはそんなとこ、のようでした。
たしかに日本人は機械好きは世界でも有名です。
アメリカあたりでも自動販売機っていえば、コイン入れてガチャっとレバー引っ張って、売ってるのはせいぜいタバコかチューインガムってとこでしたけど。(このごろは違うのかな?)
他の機械でもそうだけど、日本の機械は多機能なものが多い。
養鶏業界も機械は大好き。
卵孵化させるのから、ヒヨコ育てるのから、エサ混ぜるのやら、エサやり水やりたまご集め、卵洗いサイズ分け、パック詰めシール貼り、トレーやコンテナ洗い、掃除消毒、温泉卵つくる機械まで、なんでもかんでも。
その機械好きのおかげで価格だけは50年前と同じかちょっと安いぐらい。
同じ頃の養鶏の業界誌をペラペラめくっていると、「たまごの自動販売機」っていうものまで広告が載っている。
コインを入れて扉を開けて中のたまごを取り出すタイプのもの。
農場直売で収益アップとか、幹線道路沿いに設置してうんぬんとか、売り口上が書いてある。
だけど。
直売所があるような養鶏場なら誰か人がいるだろうから、声かければ済むことだよなぁ?国道沿いの自販機でわざわざたまごだけ買う人いるかなぁ?
(その後そんな広告あんまり見かけないから、やっぱり売れなかったんだろうな。)
自販機業界も売れなくなってきてるのか、それとも自販機の娯楽性の追求が限界に達したのか、このごろは多機能多目的になってきているようです。
うちの農場がある山梨のこのあたりでも、省エネはもちろん、防犯のため通学路を照らす街灯の意味を持たせ災害時は飲料の供給も可能で・・・・という自販機をたくさん設置しよう、ということなんだそうです。
だけど。
街灯が必要な通学路があるのなら、自販機業者や設置するお店にたよってないで、みんなで考えるべき事柄です。防災もそうだな。
設置したい関係者が防犯防災に関して貢献したいのならば、通常の営業の利益の中からきちんと還元すればいいと考えます。
機械っておもしろいです。へ〜これがこうなってこうなるのかぁ〜・・・見てるだけで楽しくなります。
医療や福祉の領域では大活躍。もちろん工業ロボットにしか出来ない仕事もある。
でもちゃんと全体を見てないと、こっけいなことになってしまうのもポイント。
たまご自販機のたまごは誰も買わないし、肝心のにわとりは、せまいカゴの中に閉じこめられたままです。
南アルプス駒ヶ岳の山麓。自然豊かな白州町。もし・・・
うちの農場のそばで、田んぼの角にたまごの自動販売機がポツンと立っている。
そこから道沿いにポツンポツンと街灯がわりの自販機が立っている。
それをテレビカメラで撮っている外国人のグループがいる。
それはきっと「秘境の旅」のスタッフに違いない。