少し前、ご近所さんが農場にたまごを買いにやって来た。
「春のお祭りで出店やる事になって、ゆで卵使おうと思って・・・」
なんだそうだ。
「で、ゆで卵するのにぃ・・針で小さな穴開けてからすると、カラがむけやすくなる・・・」
「それねぇ〜!」
お客様だけど、友達だから、ぶざけて言葉をかぶせる。
「前もそのネタでブログ、盛り上がったんだけど・・・・何やってもダメなんだよね。
特にうちみたいな平飼いのタマゴはさ、中身やカラだけじゃなくて、薄皮もしっかりしてるから、ゆで卵にするとうまくカラがむけなくてボッロボロになっちゃうんだよね。」
「産みたてのタマゴの白身の中には炭酸ガスが含まれててさ、ゆで卵にするときに熱でその炭酸ガスが気化して、内側から白身と薄皮をカラにギューって押し付けて、それで薄皮がはがれにくくなるんだよね。」
「1週間ぐらい置いとけば、目に見えない小さいカラの穴からガスが抜けてくから、何とかなるけど・・・お祭り明後日だよね。う〜〜〜ん〜〜〜・・・」
「それじゃぁねぇ。」
で、たまごがしまってあるコンテナ倉庫から、自分で食べようと思っていた格好が悪いはねだしのたまごを出してきて渡す。
「3日前のだからあんまり変わんないけどね、やってみて。」
その週末。
朝、里から登った突き当たり、登山道の入口があるお社から、花火が上がる。
ドンドーン! ド〜ン ド〜ン ド〜ン ン〜 ン〜
春の祭りを知らせる花火の音が、入り組んだ山に何度もこだまする。
白州の遅い春がやってきた。
さて、がんばらないとね。
(平飼いたまごの物理性についてのお話はこちらです。
http://air.ap.teacup.com/satofarm/341.html)