北風が吹くようになった。
犬の昼寝も日なたの方がいいようだ。
農場から見上げる南アルプスが上から染まり、日に日に降りてくる。
ザシザシ ザシザシ
つるはしでくだいた鶏糞の固まりを肥料袋にスコップで詰めていく。
ザシザシ
一日中、誰とも会わず、無口な農作業の日々が続く。
袋に詰めた鶏糞は、県内東部の桃の畑や町内の田んぼ、ご近所の家庭菜園に運ばれていく。
「このごろブログ(書くの)サボってない?」
「アハハ・・・」
近所の J さんが農場に寄ってくれる。
「いやぁ、忙しくてサ。」
またザシザシ 袋詰めを続ける。
ゆるゆると軽トラが入ってくる。
となりのオジサンが鶏糞を取りに来た。
目で挨拶して、積み上げた袋の山に横付けしてもらう。
あおりを切り荷台に二人で20キロほどある鶏糞の袋をを積み込む。
それにしても。
1923年生まれのこの枯れた節くれ立った身体のどこにそんな力があるのだろう?
袋を掴み上げ荷台にどんどん放り投げていく。
まったく。どれほどの労働を身体に刻み込めば、こんなに自由に体を動かせるのか。
ザシザシ また袋詰めを続ける。
僕が「農夫」と呼ばれるようになるには、まだまだ時間がかかりそうだ。