「このニワトリって一代雑種ですよね。」
「ええ、そうですね。」
農場にお越しになったお客様とやりとりをする。
農業の分野では、品種改良をするときに、しばしば「雑種強勢」と呼ばれる生き物の性質が利用されます。
品種が異なる親をかけあわせたときに、その一代目の雑種(一代雑種)の能力が親より優れて現れることがあります。
その現象を品種改良で利用します。
トウモロコシなどの作物や生糸を生産するお蚕、ニワトリもその性質を利用します。
細かい話になると長くなってしまうので、はぶきますが、要するに「出来のイイ雑種」を飼っています。(だからこの雑種同士をかけあわせても、羽根の色、タマゴの色、産卵性能、体の大きさなどバラバラの二代目雑種になるだけです。)
このかけあわせをしたときに現れる遺伝の性質を優性と呼びます。(現れない・潜在する性質は劣性)
品種開発業者は、農業に利用するのに都合良く優性が現れるような個体・交配を探します。
ニワトリだと、大きなタマゴでカラの色が最後まで赤く、より少ないエサで効率よくたくさんタマゴを産む、そんな性質の親鶏やそのかけあわせを探すことになります。
「日本犬と耳の垂れた洋犬が混ざると耳がたれちゃうのよねー。」
農場に寄ってくれた獣医の友人が楽しそうに説明してくれた。
へぇ〜耳たれは優性遺伝なんだ。
動物愛護センターからやってきたうちの雑種。
どんな犬のかけあわせなんだろう。