メキシコで豚由来の新型インフルエンザが発生した。
俺の経歴を知るお客様から「メキシコ、大変ですね。」と声をかけていただく。
1984年、メキシコの山の中にある名もない村の農場で仕事をしていた。
ある日、空き時間に写真でも撮るかと、村の中をプラプラしていると少し離れたところに閉鎖された養豚場があった。
へぇ〜
誰もいないんで勝手に中に入る。
古いタイプの豚舎が並ぶ。アメリカ式なんだろうな。いつ頃までやっていたんだろう。
あちこち写真を撮っていると、スッとどこからか人が現れる。
「ハポネス?(日本人?)」「そうだ。」
「どうだいここは?」
「お前の会社でここを買わないか?ハポネス」「いや、写真を撮っていただけ。悪かったね。」
・・・・・・
それから25年。
そのメキシコで、ヒト同士で感染するように変化した豚の病気が新型インフルエンザとして流行している。
成田で国内感染が確認された後。
「県内者はいませんでした。」
山梨のローカルニュースが伝える。
そう、そりゃよかった。
でもさ・・。
畜産は今や世界規模のビジネスになっている。
アメリカの企業がメキシコや東欧で豚を飼っている。
中国・タイ・ブラジルで作られた鶏肉が日本にやって来ている。
山梨の小さな平飼いの農場のエサも、多くはアメリカから運ばれて来ている。
そこのヒナの元々の親鶏はアメリカにいて、その会社の資本はドイツの資本グループがにぎっている。
遠い国から畜肉がやって来て、この村のスーパーにも並んでいる。
そのお肉を作る農場は、どんな畜舎で、資本はどこで、衛生管理はどうなんだろう。排泄物の処理は?残留抗生物質の検査態勢は?現地のワーカー(農場労働者)の健康管理はどうなんだ?
そんなことはニュースにならない。遠い国の遠い話。
でもさ・・。
ニュースにならないそんなことを、気にする。
ここでお肉を売ってるからね。
買う側が、現場のことを知ろうとすることこそが、現場を変える力になると思う。
メキシコで豚由来の新型インフルエンザが発生した。
いろいろと、メキシコの養豚場のことを考えた。