もう20年近くタマゴを納めていた横浜の有機八百屋が3月に店を閉めた。
ずっと以前、まだ俺が若い頃、店を訪ねたら「ちょっと乗って。」って言われて引き売りのトラックに乗せられた。話をしながらお客様をまわった。
あれは「生産者も販売の現場を知っておいた方がいい」という教育的配慮だったのかもしれない。
残念だなぁ。
そのツカダさんから電話がかかってきた。
平飼いたまごを探しているところがあるから連絡せよ、とのこと。
おしえてもらった番号に電話をかけてみる。
「ウエシマコーヒーってのがありますから、そこを入った通りです。」
高円寺なんて駅に降りたのは何回目だろう?学生時代もその後も何となく縁がなかった。
改札を出て左手に行く。「アワサブレ」なんていうお菓子のポスター。そっか高円寺は阿波踊りだもんね。
ウエシマコーヒー・・ああ、あそこだ。細い通り。
入口の左右にまるで門番か神社の狛犬のように古本屋がある。そこをくぐるといきなり風俗店。派手なピンクの看板がいかにもだな。で、そのすぐそばにフツーのパン屋さん。飲み屋に、ケーキ屋、コンビニ、いろんなエスニックなレストラン、ペルシャ料理だって、どんなんだろ?
いや〜すごいな、このごちゃまぜ。ちょっと他の国にはない感じ。おまけに近々、大道芸人集めたお祭りをやるらしい。すご!
突き当たりの少し手前右側、もう閉めてしまった「フカヤ米店」が目的の場所。
降ろしたシャッターの前で作業している女性に声をかける。
「こんにちは。山梨の佐藤ですけど。」
中に入ってお話しをさせていただく。
小さなお米屋さんだったところを借りて、新しく八百屋さんを始める準備中。
年季の入った精米器がそのまま置いてあって、コタツがあっておばあちゃんが店番してたんだろう場所があって、台所があって・・。まだ人の気配がする元米屋。
しばらく話し込んでいると「ニャー」ネコが奥から出てきた。
「この店のネコなんです。もうおじいちゃん。」
そっか。お前はこの店の子か。今度は八百屋さんだ、たのんだよ。
帰り際、シャッターの前で作業を続けるすらっとした女性に挨拶をする。
聞けば絵描きさんでオープン前に近所の子供達20人ぐらいとシャッターに絵を描くそうだ。その下準備。
なるほど閉まっていても楽しいお店になるんだな。
街の通りに新しい八百屋さんが出来る。
うれしいな。
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「山森農園の八百屋さん」 03-3223-1713
JR 高円寺 北口 北中通り奥の方 サンクス手前右側
5/2(土) 本日オープンです。
三浦半島の生産者が数年前から始めた高円寺での直売がルーツのお店です。
そこは養鶏はやっていないということで、お声をかけていただきました。
「で、屋号は山森農園でいいんですか?」
「あ、え〜っと山森農園八百屋。いや、山森農園の八百屋。ん?山森農園の八百屋さん?」
「どれなんですか?」
「前は山森農園直売所って言ってたんだけどぉ・・」
すみません。屋号が変わるかもしれませんが、フカヤ米店だったところで、佐藤ファームの「おいしい平飼いたまご」売ってます。
お近くの方、沿線の方、ぜひご利用下さい。