にわとりのエサは、トウモロコシと大豆を中心に出来ている。
トウモロコシでカロリーをまかない、大豆でタンパク質をとる。
それで8割近くをしめて、あとはアミノ酸組成がちがう魚粉などのタンパク質とビタミン、ミネラル類。
トウモロコシがごはんで大豆がおかずってところ。
その大豆、にわとりはなぜかそのまま食べるとお腹をこわしてしまう。
だからエサにするときは煮たり蒸したり熱を加えてからエサにする必要がある。
養鶏の現場で使われている大豆は「脱脂大豆」といって、食用油をしぼったあとのしぼりカスをエサにする。
見た目はちょっと「コーヒーいれたあとの粗挽きコーヒー豆が白くなったような」感じのもの。
その搾りかすになったものをアメリカから輸入する。
「そろそろ、どうですか?」
エサの価格が高騰していて、さらに非遺伝子組み換えの脱脂大豆は、その希少性が加わってとんでもなく値上がりしている。
もうあきらめて、比べて安い組み換え技術を使った脱脂大豆を、佐藤も使ったらどうか。
農協系のエサ屋の Y さんが請求書を持ってきて言う。
前にも書きましたがこの技術は未知な部分を含みすぎています。使うつもりはありません。
あまりの値段の高さに、地域の担当者があきれてそう言うのはわからないこともないけれど、高いシェアを誇る農協系のエサ屋さんなんだから、
「今、国内各地で作付けしてますから、しばらく待ってくれ。」とか
「産地を開発してるからもうちょっと辛抱して。」
とかのセリフがあってもいいと思うんだけどナ。
地球儀を見ればわかるこの国の耕地はせまい。平野は都市だ。
食糧自給率などそうそう上がらない。
原料を輸入し、高い技術で加工し、経済発展してきた国だ。
だからこそ、何をどう食べどう暮らすか、という「消費のスタイル」が問われるような気がする。
この遺伝子組み換え技術を最後まで拒否できるのは、自然観や宗教観、経済力を考えると、世界でもこの国の人たちのような気がする。
どうか、お買い物をするときは裏表ひっくりかえして、ラベルのすみずみまで見てしっかり吟味していただきますよう。
メガネにかなうようなたまごを生産していきますから。