諏訪のイタメシ屋のオーナーシェフ夫妻が農場にやって来た。
その少し前に、知り合いのパン屋さんのところで話をしていて「近所のイタメシ屋のシェフが友だちで、素材にはこだわっているから、一度その店で食事しながら話を・・」ということでおじゃまして、結局、閉店後夜遅くまで盛り上がってしまった。
そのとき「鶏糞で野菜をつくるとおいしいんですよ。うちの鶏糞で野菜をつくっている人がいて・・」という話をしたら「今度うかがったときにその方のところもぜひ。」ということになっていたのだ。
うちのにわとりを見た後、うちの鶏糞で野菜を作っているM さんところへ行く。
作業小屋で顔合わせをすませ「じゃ、畑へ。」
畑のに入っていく。
この時期だから葉ものばかりだけど、まあいろいろ植わってるなぁー。
小松菜、チンゲンサイ、キャベツ、ブロッコリー。アブラナ科の作物が多いからモンシロチョウがいっぱい飛んでいる。
目が慣れてくると、いや〜いっぱい飛んでるぞぉ。
学生時代のことだからもう30年ちかくも前だけど、群馬の嬬恋でキャベツ農家に住み込み、実習をした。
そこはもう山を切り開いて開拓したキャベツの大産地で、見渡す限りのキャベツ畑だった。
完全に人工的な風景なのだけれど、あまりにすごすぎてむしろ見事なアートだった。
そこまですごいキャベツの村だったけど、蝶々の記憶はあんまりない。蝶々はそんなにいなかったのかな?
M さんの畑は草もボウボウ。除草剤なんて使わない、というかM さんの頭の中にはそういう薬は存在しない。
無農薬栽培の草むしりや虫のあまりの大変さに、シェフは「収穫の前、人の体に害がないようにその期間薬を使わないってわけにはいかないんですか?」と聞く。
「それだと、例えば(地下)水が汚れちゃうでしょ。めぐりめぐって体に入ってくるわけだし。」
この人の答えはいつもとっても単純明快・シンプルだ。ぶれないナァ。
「でも、そればっかり言ってると、車も乗れない、何も出来ない。(笑)」
これもこの人のバランス感覚か。
農薬使わないで農業するのは大変だ。特に雨の多いこの国では。
昔、このあたりで平飼い養鶏やってて、鶏小屋のまわりに、草刈りが大変だから除草剤まいちゃってるオジサンがいたなぁ。それでも「平飼い自然卵」だった。
もう夕方になっていた。
たまごの出荷がまだだったので、シェフ夫婦をおいて畑をあとにした。
気分のいい畑だからつい時間を忘れてしまう。
ホントだよ。気分のイイ畑ってのがあるんだから。そりゃ蝶々も飛ぶって。