相棒の部屋は、貧しきミュージシャンの一人暮らしの場としては、それはもう申し分のない、素晴らしいものであった。
調理器具など、まだ揃っていないのかもしれない、鍋の一つも持って行くかとも考えていた。さすがに鍋はやめ、食材を少し持って行ったのだが、全くいらぬお世話であった。僕の部屋より、ずっと片付いてもいるし・・・
予定に反し、しかし予想通りに、終電を逃すまで飲んでしまう。
ダメなヤツだ。
今日の現場はホテル。接客係以外は全職員がマスク着用。もちろん僕らも例外ではない。こうなって見ると、マスクをしていないだけで、なんとなく不安な気持ちがよぎってしまったりもする。
こういう状況の中では、やるべきことをやりながら、ヒステリー、パニックを慎重に避けることが重要だ。
心と体を柔軟に保つこと。
自分の身を守るためには、菌があるかどうかよりも、肉体的、精神的抵抗力があるかどうかが本当の問題なのだ。
今こそ、本当の体力、知性、そして品性が問われているのだ。
冷静に。そして、深刻になることを巧みに避けようではないか。
最後に、蛇足をひとつ。
以前、このホテルで僕はダルビッシュ投手の部屋の窓を拭いた。
今日は藤山直美さんであった。
だから何だと、聞かないで下さい。


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