ソロ活動を始めたという意味で、この春は新しい出発と言える。
しかしもう一つ、新しい出発がある。
実は今、転職中なのである。
フランスに行く前を合わせると、清掃の仕事に通算10年間関わって来たことになる。この間、ひと月だけという短い期間も含め5つの会社に身を置いた。
色んな事を学び、また鍛えられた。これは確かだ。
清掃という仕事は嫌いではない。これも確かだ。
しかし、である。
最後の会社が一番長く、8年間身を置いて来た。人の出入りが多く、気づけば僕が一番の古株になっていた。
任されることがどんどん増え、それはやり甲斐にもつながったが、とにかく時間がなくなっていった。特に劇団を辞めてからのこの一年はなかなかのものだった。
自分が頑張れば周りが育つかというと、なかなかそうはなってくれず、むしろますますもたれかかられるという、苦いジレンマも味わった。この仕事だけをやっていればいいのなら、どんなに気が楽だろうと思った。
しかし、それだけでいい人生を選んでは来なかったし、これからも選ばないのだから、このままでは、イカンのである。
そこで転職。
塾の講師を始めた。
全く新しい仕事という訳でもない。学生時代に経験があるのだ。
改めて始めてみると、お芝居との共通点をいろいろと感じる。長いブランクも無駄にはならない。人生は不思議。
中学生と高校生に英語を教える。
意外に忘れていないものだと感じているが、勉強し直すべき事が多いのも事実。
そして、今までのあらゆる体験を踏まえた上で新たに勉強し直すということに、非常に情熱を感じている。つくづく、シアワセな性格だ。
とはいえ、任されているコマ数も限られており、まだこれだけでは喰えない。
週末は本職のためにあけておくという計画なのでなおさらだ。
そこで、足りない分は清掃業に世話になる・・・緩やかな転職。
スーツと作業着を日によって使い分け、週末は舞台に立つ。
雑草的、雑種的人生とは、このことか。
相棒よ、お互い、新たに、踏み出そう。

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