またまた福岡への旅である。今回はANA旅作を利用して、岩国空港経由で行って来ることにした。米軍と民間機との共用空港として、昨年12月13日に開港(厳密には48年ぶりの再開)したばかりの空港で、どんな飛行場なのか一度利用して見たいと思っていた。岩国から博多への移動は山陽新幹線。途中で周防大島を訪問したいと思っている。まだ山陽新幹線が開業する前、九州への往復は在来線を通過していた。その中でも尾道水道と周防大島付近は特に印象深かった。
周防大島へは国鉄連絡船・大島航路が就航していた。一瞬のうちに通過する大畠駅を、特急「つばめ」号の車内から目を凝らして眺めていたものだ。やがて島には道路公団によって橋が架けられ、その橋も通行無料となって久しい。それと、後年になって民俗学の宮本常一がこの島出身だと知った。一度渡ってみたいと思っていた島だ。人口は全盛期の5万人から、現在では1万余とのこと。どんな島なのか興味津々である。

羽田からANA便で岩国へ向かう。機材はB737-800機である。

岩国空港は米軍との共用だが、民間機が使用しない時間帯には空港ターミナルと米軍基地との間は可動柵で仕切られる。到着時に開放された柵部分を通過してターミナルビルへ向かう。

ターミナルビルに到着した。開港人気で混雑していた。

到着便にあわせて3方面にリムジンバスが出る。これは高速経由で徳山駅に向かう防長交通だが、3月末で廃止になる。

柳井港行きの防長バス。一般路線型のバスである。

岩国駅行きのいわくにバス(旧岩国市営)。ノンステップバスで満員だった。これに乗って岩国駅へむかうつもりだったが、発車が10分遅れるとのことなので、タクシー利用に切り替えた。

JR岩国駅舎。タクシーで先行して市街地を回っていたら先ほどのバスがやってきた。

岩国から山陽本線下り普通電車に乗り込む。113系4連の山吹色だった。

113系の両端Tc車は転換シートに更新されていた。中間M車は直角座席のままだった。

途中で見かけた神代(こうじろ)駅。

大畠駅に近づくと対岸に周防大島が見えてきた。大島大橋が付近を圧倒する。

大畠駅に着いた。乗り換え案内が出ていたが、かつての大島連絡船以来の伝統なのだろう。
今回は羽田空港までリムジンバスではなく、久々に京成〜都営〜京急と乗り継いで出かけた。八千代台から快速・上野行きで高砂乗り換え。高砂で北総線から来たアクセス特急に乗り換える。アクセス特急なのは京成線内だけで都営地下鉄線内は各駅に止まる。泉岳寺での西馬込方面は北総車の運用だった。
品川からはエアポート急行になって、びゅんびゅん飛ばす。乗っているのは京成3050系だが、京急線内のフリッカー信号やC−ATSにも対応していた(当然か)。蒲田は立体交差完成後はじめて通過した。羽田空港駅で下車すると、少し時間があったのでターミナル内をぶらつくが、なにもない。今回の旅は全日空の旅作なので、メール添付で送られてくる行程表をプリントアウトし、バーコードをかざすだけで搭乗できる。しかし、後には何も残らない。私は自動チェックイン機にマイレージカードを差し込み、搭乗券を発券した。これで記念になる。
きょうの岩国便はB737-800機である。UNITED航空9655便とのコードシェアー便である。70番ゲートから機内に入ると3−3シートはほぼ満席だったが、私のブロックだけは隣が空いていた。
離陸はD滑走路のようで延々と地上をタキシングする。9:31分、飛び上がった。横浜上空から中央本線沿いに飛ぶ。甲斐駒ケ岳はじめ雪を被った南アルプスが美しい。名古屋の上空を過ぎると琵琶湖大橋が手に取るように見えてきた。10;15分ごろ機長の放送が入った。到着は5分程遅れる見込みとのこと。姫路〜岡山と通過する。モニターには地図が出ている。高度6268m、時速677キロとの表示が見えた。岩国上空をいったん西方までゆき、Uターンする形で岩国空港に着陸した。
岩国空港は米軍と民間機との共用空港としては2例目で、最初は三沢飛行場だ。滑走路に降りると、直ぐに誘導路に入ったが、滑走路上にワイヤーロープが渡してあるところがあった。艦載機の航空母艦着陸訓練に使用するものと思われる。着陸してきた戦闘機の脚に引っ掛けて急停止させる仕掛けである。同様のものは三沢飛行場でも見たことがある。
誘導路をターミナルへむかってタキシングする。途中でガードマンが立っていて、可動式の柵のようなところを通過した。これは1日4便の民間機が発着する時間帯以外は、柵を閉めて米軍基地と空港ターミナルとをシャットアウトするために設置されているものだ。米軍基地内にオスプレイが駐機していないか観察したが、軍事機密の類は一切目に触れないようになっているらしい。
ターミナル1番に到着した。機長の予告通り5分遅れの11:00分にドアーが開いた。給油のタンク車と手荷物運搬用の車が寄ってきた。ターミナルへ降りたつと、東京行きを待つ乗客で大混雑していた。岩国空港は広島空港が不便な山の中にあるので、使い勝手がいいらしい。
空港からは3方面にリムジンが出る。3台停車していた路線バスの先頭がJR岩国駅行きのいわくにバス。元・岩国市営バスだ。ノンステップの新型車で満員に近い。2台目は柳井港行きの防長バス。一般路線型バスだ。3台目は同じ防長バスながら高速仕様の徳山駅行き。これが一番デラックスだが、乗客は乗っていない。HPによると3月末で運行を取りやめるとのこと。
JR岩国駅行きのバスに乗り込んだが、東京便が遅れたので11:15分発のところ、発車が10分遅くなるとのこと。まだ手荷物回転場から出てこない客がいるのだから当然の措置であろう。しかし、私にとってはいささか先を急ぎたい。整理券まで取って一番前に立ってスタンバイしていたが、急遽タクシー利用に切り替えることにした。
空港にはタクシーは2台しか残っていなかった。そのうちの1台に乗り込む。タクシーのいいところは運転手との会話で地元の情報が得られることである。さっそく基地の話をすると、沖縄問題の余波で夜間外出禁止令が続き、基地のゲート前に立地している商店や飲み屋は、どこも青息吐息の状態とか。基地経済に依存しなければ生きて行けないのだ。
あっという間に岩国駅に着いた。とはいえ、裏駅に着けてくれたようで、料金は安かったのだが、表側には地下道を潜って行くハメになった。その表駅周辺に商店街があるので散策する。が、みごとにシャッター街と化していた。アーケード街を、ここは何屋さんだろうかなどと想像しながら歩いた。50.3ダイヤ改正の直前、宮島口からまだ車掌が乗っていた一般路線バスで岩国駅前まで乗ったことがある。あの当時の活気は何処へ行ってしまったのか。
駅舎内に入ると、先ほど空港で出会ったいわくにバスが到着するところだった。KIOSKで岩国名物の「いわくに海軍カレー」を衝動買いし、ホームに入る。きっぷはJR東日本で用意してきた。博多(福岡市内)までの乗車券(徳山からは新幹線経由)を買ったら、岩徳線経由で計算された(経由:岩徳・山陽・徳山・新幹線・博多)。全国に9ヶ所ある「特定区間」の運賃計算方法の特例区間である。
ホームに入ると山吹色の113系4連が出発を待っており、広島方面からの接続列車を待って発車した。編成の両端のクハ111型は転換シートを装備している。なかなか快適な車両である。中間車は直角座席のままだ。
神代を出ると、左側に周防大島が見えてきた。やがて大島大橋の真下を通過し、大畠に着いた。駅の案内表示には<大島方面、のりかえ>と出ていた。はじめて降りる駅である。
・八千代台6:31(快速上野行き)→7:03高砂 *3000系8連(3001-8に乗車)
・高砂7:04(アクセス特急・羽田空港行き)→8:06羽田空港 *3050系8連(3053-8に乗車)
・羽田空港9:15(ANA631便)→11:00岩国錦帯橋空港 *B737-800(JA62AN)
・岩国空港11:15(フラワータクシー/個人)→岩国駅
・岩国11:44(山陽本線3343M)→12:12大畠 *113系4連(クハ111-2017に乗車)

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