「あおなみ線SL旅(その2/あおなみ線SL往路)」
鉄道・列車
あおなみ線SL運行は名古屋市の事業
名鉄乗り歩きの後、きょうの本命のSLあおなみ号に乗りにいった。あおなみ線にSLが走ろうとは思いもよらなかった。名古屋市長が直接JR西日本の蒸気機関車の貸し出しを交渉し、三セクのあおなみ線とJR貨物の線路を使って運行する。ところが、名古屋お膝元のJR東海は、「蒸気機関車の煙が洗濯物を汚すかもしれない。第一SLを運行する技術継承は、人もモノもやっていない。」とつれない。まあ、「ポピュリズム」と「官僚主義」の対立で、野次馬政治的には実に興味深い社会学の考察事例だ。
そんな思惑はさておき、名古屋駅のあおなみ線乗り場へ出向いた。コンコースの係員は「名古屋市」の腕章をしている。鉄道会社のスタッフではないのだ。臨時窓口のシャッターが開いており、「当選はがき」と引き換えに、首からさげる乗車票と記念品の入った紙袋をくれた。記念品の中にはビニールに包まれた黒いものが。何だろうと思ったら、石炭だった! いまの子供(いや、その親世代も)石炭は見たことがないだろう。いい記念品である。
発車まで1時間以上ある。「乗車票でホームへ自由に出入りできますから、どうぞごゆっくり」との案内があった。でも実際には改札内コンコースで整列して待つスペースが設けられており、車内への案内は並んだ人から順番だった。このあたりの説明は鉄道会社のスタッフがやっていないので、手馴れていない印象を受けた。子供連れのグループ客でコンコースは親子の遊び場と化していた。
最初はホームを観察しておく。SL運行は2番線を使い、その間電車は1番線だけに発着する。12系客車とホームドアーは関連していないので、係員の手動操作である。電車運行の合間を縫って、JR貨物列車が通過していった。いったんホームから出て、エスカ地下街を探索した。11月に名古屋へ来たときにクラブツーリズムの受付台が置かれた場所を探してみたが最初は解らなかった。あの時はほとんどシャッターが下りていたので全く印象が違う。
あおなみ線に舞い戻り、再び改札を入る。コンコースの整列場所に並んでおく。だんだんと人数が多くなるが、号車ごとの列なので、1つはせいぜい80名弱だ。そうこうするうちに1つ前に出て行った「2号」が名古屋駅に戻ってきて、降車客が階段を下りてきた。代わって私たちが階段を上がった。ホームには12系客車が停車中で、最後部にはDE10がぶら下がっている。先頭はきょうの主役、C56型蒸気機関車である。さっそく乗り込むと4人ボックス席が空いていた。進行方向左側席の前向きに座った。車内を観察すると、ほとんどがグループ客でとりわけ家族連れが多い。どこの鉄道会社のイベントへ行っても就学前の子供を連れた若夫婦を見かけるが、鉄子さんなのだろうか。
定刻の13:22分、「ブウオーーッ」と長笛一声、続いて「ピーーッ」と補機のディーゼル機関車の警笛がなって発車した。左カーブしながら近鉄線と関西線をオーバークロス。すぐにささしまライブ駅を通過する。左側の空き地だった場所には愛知学院大学の新キャンパスが進出するが、駅前広場(というか空き地)には物凄い見物客が詰めかけていた。名古屋市が設けた観覧場所なのだ。ステージではSL通過にあわせてイベントが始まっている。テントが並び鉄道会社の売店が出ていた。当然ナガラ!?JR東海は出店していない。
ささしまライブ駅を通過すると、線路を跨ぐ黄金陸橋と交差する。最高の撮影場所と思われるが、人影が見えず、警察官やガードマンの姿ばかりである。どうやら通行規制したらしい。高架線をさらに走ると、左右に民家が広がってきた。ベランダや2階の窓から手を振る人、撮影する人がいる。オフィスビルの屋上にもカメラが並んでいた。
やがて小本駅の手前でポイントを渡り、列車はあおなみ線から、JR貨物・名古屋貨物ターミナル駅への引込線に入っていった。ここからが乗り歩きファンにとって一番の見所である。おそらく、旅客を乗せた列車が入線したのは初めてではないだろうか。
13:32分、「名古屋貨物ターミナルに着きました。」との放送が流れる。しかし、降車場所はまだ少し先である。
13:35分、再び動き出した。右側の側線にはND55型デイーゼル機関車が止まっている。名古屋臨海鉄道所属の入換機で、国鉄DD13と同型機だ。
13:37分、13:40分と小刻みに停車を繰り返す。
13:41分、降車場所に到着した。パンフレット等には12:45分到着と記されていたので早着である。車内アナウンスで、3号車の乗客は2号車の前寄りから降りる旨の案内があった。特製タラップが架けられているのは、1号車の2ヶ所、2号車の前寄り1ヶ所の、計3扉であった。
・名古屋13:22(SLあおなみ3号)→13:41名古屋貨物ターミナル
*C56-160(梅)+@スハフ12-155+Aオハ12-352+Bスハフ12-129+DE10-1118(梅)

あおなみ線コンコースに出現した宣伝看板。

SL乗車は臨時窓口で受付が行なわれた。スタッフは名古屋市の職員のようだ。

撮影ご遠慮に掲示が出ていたが、あおなみ線には入場券という制度はない。

あおなみ線にはJR貨物が第2種免許で貨物列車を運行している。今回はこれが役立った。

改札内コンコースに号車ごとに待合所が設けられた。

列車は12系客車の3両編成。私は3号車だった。

座席指定ではなく号車指定の定員制だった。少し余裕を持たせていたので満席にはならなかった。

名古屋停車中はお馴染みの風景が展開した。名鉄と近鉄の看板が名古屋らしい。

名古屋を発車する。

SL見物客はどこにでも集まっていた。

見よ、この大観衆を! ささしまライブ駅前に設けられたSL観覧広場で。

列車はあおなみ線を進む。

小本駅手前でポイントを渡り、JR貨物の名古屋貨物タ駅へ入っていった。ここからが今回の旅の真骨頂である。

貨物線越しにあおなみ線が見える。小本駅のホームゲートとSLの取り合わせが面白い。

ヤードの入換機、名古屋臨海鉄道のND55 215は、国鉄DD13と同型機だ。

号車札は特製品だ。

洗面所の水・湯は、ボタンを押し続けていないと出てこない。不便さがかえって懐かしい。

名古屋貨物タ駅についた。特製のステップで降りた。12系には「名古屋」の表示が残っていた。

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