鉄道の日記念行事として、10月13日にJR四国多度津工場の一般開放がおこなわれた。催し物の一環として、多度津駅−多度津工場間に、送迎のためのシャトル列車が運転された。普段は旅客列車が走らない工場への引込線を乗客を乗せた気動車がソロリソロリと走った。
<多度津工場きしゃぽっぽ祭り>
多度津は鉄道の街である。四国の鉄道は讃岐鉄道が多度津−丸亀間を開業させたのを嚆矢とする。多度津駅で降りると、多度津工場まつりへ出かけるシャトル列車の案内が出ていた。多度津駅から乗車する場合には「入場券」を購入して乗車して下さいとのこと。ホームへ出ると、多度津工場からのシャトル列車の第1便が多度津工場方面からやってきた。もっとも工場引込線からホーム線へは直接入って行けない。いったんホーム脇の側線を松山方へ通り抜けて構内はずれで停車。スイッチバックする形で1番線ホームへ入ってきた。その1番線ホームには高松行きの普通電車が停車中で、縦列停車の形で止まった。入換信号機に従っての運転なのでこんな芸当が出来るのであろう。
シャトル列車はキハ47系の2連だ。首都圏色(朱色5号)をまとっている。聞けば徳島運転所の所属で、多度津工場シャトル列車用にわざわざ回送されてきたのだという。JR四国はなかなかやるものだ。11:00分発の高松行き電車より先に、10:59分、シャトル列車は松山方に向けて発車した。ホームを離れると古典的なレンガ積みの給水塔が見える。その先でいったん停車。運転士と構内運転掛が通路を通って反対側の運転台へやってきた。やがて、構内運転掛が手持ちの緑旗を貫通路でかざした。運転士が緑旗の現示にしたがって出発進行!(信号機はないが) ガアガアという気動車特有のエンジンをうならせるも、速度は15キロぐらいしか出ていない。多度津駅構内のはずれでいったん停車し、多度津工場へ大きく左カーブしてゆく引込線へ入っていった。
この引込線の両側には民家が連なり、生活のにおいがする。ところどころに踏切があるが、第4種踏切のため、きょうは係員が無線機と手旗を持って特別に立っている。普段はめったに列車は走らないのだろうが、きょうは頻繁にシャトル列車が通過するので安全に配慮した策なのだろう。やがて多度津工場内に入っていった。工場全体が産業遺産の感がするほど古典的な感がする。フリーゲージトレインなどが留置されている一角を過ぎて、一番海側の側線で停車した。係員が乗降用のステップを4ヶ所に設置して、非常コックが操作された。ドアーが開くと下車である。
四国の鉄道施設一般開放には初めて参加したが、この種の催しものを無料で、しかも、かなりのスペースを割いて実施するJR四国の度量は大したものだ。首都圏なら会員制を採るだろう。工場内をざっと見渡した後、ここで乗り歩きはいったん休止。多度津工場の正門を出て10分程歩いたところにあるお寺さんを訪問する。母方の墓があるので墓参のためである。

多度津工場へのシャトル列車は朱色一色のキハ47の2連が使われた。列車は1番線ホームの松山寄りに停車して客扱いを行なった。

シャトル列車と同じホームの高松寄りには、普通電車が縦列停車していた。

引込線は15キロの入換運転で走行し、工場内の一番北側の線路で停車した。2連4ドアー全てに特製のステップが架けられた。

工場内に展示されたDE10のトップナンバー車。新製配備は宇和島区だった。

ロ481号客車(準鉄道記念物)も展示されていた。工場全体が産業遺産の感がした。

工場正門脇には工場のシンボルとして、大きな動輪が展示されている。
小一時間で戻ってきた。工場内の人出も少し増えたみたいだが、首都圏のように長蛇の列が出来たりはしない。それにしても小さな子供を連れた家族連れが多いのは全国共通の現象だ。ベビーカー対応がこの種のイベント開催時の鉄道会社の大きな仕事となっている。
もう少し見ていたい気もしたが、多度津行きのシャトル列車がちょうど出発するところだったので乗り込んだ。今度も手旗による構内運転である。列車掛の手旗が赤から緑に変わり出発する。多度津駅に近づくと、本線を185系気動車に押されたキクハ32トロッコ列車が通過していった。多度津駅では再び松山方に引き上げた後、サイドチェンジで1番線ホームに入った。工場−多度津駅間は5分程度の距離と思われるが、12:29分発→47分着と18分もかかっている。こんな転線劇があったとは予想外のことである。
多度津駅ではいったん下車した。登録有形文化財のレンガ積みの給水塔を見学する。みごとなイギリス積み方式のレンガ造りだ。その横に、もともと国鉄職員用に設けられた食堂があった。ぶっきらぼうなドアーを開けると讃岐うどんの匂いが漂ってきた。庶民的な味で、味ご飯と一緒に食する。昼ごはんをいただいた後は、松山目指してJR四国が誇る振り子特急「しおかぜ」号に乗り込んだ。

帰りもシャトル列車に乗車した。空いていた。

いったん松山側まで走った後、スイッチバックする形でホームに入った。

列車は折り返しシャトル列車となる。土讃線、予讃線の出発信号機ではなく、入換信号機に従って、運転掛の手旗信号によって運転される。

構内には古典的な給水塔が保存されている。

レンガはみごとなイギリス積みだ。

給水塔脇に構内を横断する跨線橋があった。出発信号機や大時計が設置されていた。
・多度津駅10:59(シャトル列車)→11:17多度津工場 *キハ47-1086+キハ47-114(1086に乗車)
・多度津工場12:29(シャトル列車)→12:47多度津駅 *キハ47-114+キハ47-1086(114に乗車)
*詳細は「
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