前回の続き。反訳する。
「実際的な面では、この政策が表現されるのは、風俗・習慣・言語・朝鮮民族主義の、純粋で単純な否定であり、それらが置き換わるのは、完全に日本的な風習と国家意識(天皇崇拝や神社への定期的参拝)によってである」
大筋、原文を逸れることなく、しかし細かな点では整頓されている。
se traduire と remplace par で枠組みを作っている。
「具体的にあらわれると」あたりを、文頭の副詞句に収めている。
「無視」という語はそれこそ無視して、「否定」で前半部分をくくっている。
「強制」というニュアンスは、「完全に」という箇所で出したものか。
「参拝」の前には「定期的」という語が補われている。
続く部分の原文を引く。
「第二次世界大戦中には、朝鮮人の姓名を日本式に改めることが強要され、公開の場での朝鮮語の使用が厳禁されるにいたった。民族抹殺政策が強行されたのである」
仏訳では、後の文が、「第二次世界大戦中には」の直後に、あらためて「民族」という語は見えず、指示形容詞になっているが、訳されている。
また、「改める」のあたりは、abandonner … pour prendre という訳し方である。
そして、en outre で、朝鮮語の厳禁につながっていく。

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