今年の記録的大雪について、備忘録です。
暖かくなると、寒かった事を簡単に忘れてしまいます。
5年ほど前に作った、車庫のトラスです。
2台分の車庫で、1台当たりの間口を2,727mm採っています。
真ん中に柱があると使い勝手が悪いので、5,454mmのスパンを飛ばしています。
後ろ側は、唐松の丸太を使って、正面の通りはトラスです。
トラスは、105mm×105mmの横架材を2本で、その間を束立てして、M12のボルトに引張りを負担させています。
105mm角では無理させても1.8mのスパンが良いところです。
それを、少し知恵を使って、5.4mを飛ばしております。
横架材は、力学的に、負担スパンの距離の3乗でたわみが発生します。
3倍ではなく、3乗ですから、それが大きな数字になる事はお分かりいただけると思います。
試しに、1.8の3乗が、 5.832
5.4の3乗が、157.464 桁が2つも違ってきます。
簡単にご説明すると、上下の横架材と束にM12のボルトで、合成梁となります。
今回の大雪の様に荷重が掛かると、梁全体が中央部を中心に押し下げられます。
下の横架材は伸ばされようとする力を受け、上の横架材は押し縮められる力が働きます。
そこへ、M12のボルトが、両端から引張る応力を負担します。
ボルトが梁の中心に向かって、引き上げる様に、配されています。
ボルトが引張りを負担し、束が圧縮を負担します。
力学的には、合成梁のマテリアルには、圧縮と引張りが応力として発生するが、曲げは生じないとなっています。
今回の積雪が、1u当たり1cmで3kgと仮定して、この合成梁の負担した積載荷重は3,564kgとなります。
小さめの普通乗用車が2台、梁の上に乗っかった事になります。
丸太で構成すると大工の仕事に見えますが、トラスの場合は、構造計算が解かる設計屋が介入しております。
大雪を忘れたこの頃、新聞の折込チラシに、アルミのカーポートのものが入ってきます。
大雪深度が小さく書かれていますが、20cmというものがあります。
この地域では、無理があるかな?
このカーポートは、主屋からの落雪で壊された様に見受けられました。
アルミの特徴として、たわまないのです。
つまり、塑性変形がないのです。
だから、脆性破壊がすぐに起こります。
塑性変形が激しいのは、木材です。
木材でも心持ちの材料は顕著に変形量が多い状態で、脆性破壊に至らず耐えています。
雪がなくなると、何事もなかったように、元に戻っています。
カーポートに限ったことではないのですが、とりあえず、地域の環境にあまりにも合わないものは、やめておいた方が良いかもしれませんね。