カブトムシが出始め、蛍が闇夜に幻想的に乱舞するシーズンとなりました。
梅雨の後半には入りますと色々な虫が活動的に動き出す節目です。
この時期、むしっと暑い雨上がりの夕方にシロアリが分家いたします。
春から活動的に動いていたシロアリのコロニーが拡大し、そして、羽蟻を大量に飛ばし、新たなコロニーを作ろうとします。
煙のような感じで風に流されながら多量の羽蟻が飛んでいる光景、多分、何方でも目にしたことがございますね。
「軽井沢は寒いからシロアリはいない。」
と乱暴に断定なさる方がいらっしゃいますが、完全な間違えです。
現に軽井沢ではシロアリは倒木や薪を積んでいる下部、地面と接触している様なところに多量にシロアリが居ります。
もし、上記の表現を直すのでしたなら、
「軽井沢は寒いからヤマトシロアリはいるが、イエシロアリはいない。」
が正確な表現です。
イエシロアリは食害が早く非常に警戒しなくてはならないシロアリです。それに比べヤマトシロアリは食害が非常に遅く、基礎の内側にいても立ち上がり部分に上がってきていなければ被害のないシロアリです。
なので、軽井沢のシロアリ対策は床下を年に一度程度点検すれば完了です。
ところが、この頃、シロアリの食害が全国的に変化してきています。
先程、お話に出た様にシロアリは寒さに弱いのです。その裏返しとして暖かなところが好きなのです。
目もない彼らは、木を見つけて「餌だ!」と移動するのではなく、地面の温度にて快適な場所を求め移動します。
暖かな地面、何処でしょうか?
昔の建物なら南側の玄関のコンクリート土間の下、南の縁側の犬走りの下が代表的でした。
しかし、この頃の家は違うのです。
床下で蓄熱するタイプの家、とんでもないところに顧客ニーズがあったのですね。それに丁寧に基礎断熱してあればとてもシロアリに親切なおうちです。
実は私も8年前に基礎断熱・床下暖房を考えましたが、人間の思う通りにだけはならない事実が分かりました。
そのときの施主さん家族の皆様にも実験台になって頂くことも出来ずに(当然)諦めました。
色々調べた結果、過去のその時点で、床下蓄熱・基礎断熱の方法を採った家が2件ほどシロアリが原因で裁判となっていました。
「床下がないからシロアリは入ってこない」という事を仰る方がいらっしゃいますが、人間には床下がないかもしれませんが、シロアリにとっては部分的な1mmの隙間があれば十分に活動できます。木部分を食べれば活動拠点はどんどん広がります。
何処まで人間中心で物事を考えれば気がすむのでしょうね。
また、
「ベタ基礎だからシロアリは入らない」
というのも嘘です。
コンクリートの打ち継ぎ部分からもシロアリは進入しますし、コンクリートの穴を大きくする事だってシロアリはできます。
それだけではなく、配管関係だけでもシロアリが出入するだけの穴は十分に開いているのが普通の家です。
逆にベタ基礎はシロアリのコロニーが何処にあるか分かり難く、シロアリ駆除専門業者でも完全に駆除する事が出来ない困った構造です。
子供の頃に大きな石をひっくり返すと必ずといっていいほどアリの巣がありましたね。
堅い守られた層の下に巣を作ることがアリは好きなのですね。ベタ基礎の下も同じ条件ですね。
何度も申すようにシロアリは寒さが苦手です。
軽井沢のシロアリは冬に掛けコロニーが減少いたします。なので、春先からシロアリはコツコツと仲間を増やすのですが、また冬が来てコロニーが縮小します。
大量発生しないようなバランスが採れているのですね。
しかし、温度に敏感な彼らは暖かな場所で越冬するように工夫します。
もし、冬の間にコロニーを温存させるところがあれば、縮小せずに済んだコロニーは翌年にシロアリが大発生いたします。
このことが原因で食害の遅いヤマトシロアリでも駆除業者が驚くほどの前例がないスピードで家を食い進めます。
これが、近年のシロアリ被害が違う点です。
あなたの家は
基礎断熱?
床下蓄熱暖房?
ベタ基礎?
軽井沢といえどもそこまでシロアリと環境共生をしなくともいいのではないでしょうか?