「もたもたしていると、雪が降って来るぞ!」
地元のご老人に、発破を掛けられた言葉。
そう、ここは高原の街、気が付けば雪の降る季節となる。
昨年の初秋に、玉伐りをして置いた、薪用の丸太を、割った。
今日の相棒は、この薪割機。
私の個人の所有ではなく、お隣さんと共同所有のマシーン、初期投資も半分、一人で所有するのと違い、日頃の稼働率がいいからエンジンも調子が良い。
ヘンな物欲、ヘンな仕切りはなくするべき。
共同の機械だから気を使う、作業が終ったら丁寧に掃除をする。
次は、お隣さんが使うのだから。
「自分のではないから、」という人とは組めない。
利己を求める人格は、結び合おうという人々から排除される。
まさに、浄化だ。
持ち上げる事が大変な大径木の玉も、簡単に割って行く。
指を挟めば、一瞬で潰される。
今度は、己の心の浄化。
言い訳が出来ないのだから。
今日は、400束ほど割った。
これで、冬が越せる。
通り掛かりの人に、
「販売用ですか?」
いえいえ、売るわけには行かない、安定形状の燃料、我が家の冬のライフライン。
生臭い話だが、ホームセンターでは堅木の薪は698円/束、そう考えると今日の成果は279,200円。
丸太の原価は知れたもの、玉伐りの日程を差し引いても、日当は100,000円以上。
嫌な上司にこき使われるサラリーマンよりは、薪割りの方がましな人生を送れるかも。
下手な設計屋よりもね。
しかし、この安定した燃料を、不安定な「円」に換える愚行はしない。
30枚足らずの紙切れを燃やして、何の暖の足しになる?
薪は、お山から頂いた本質だ。