先日、小川洋子さんという作家さんを薦められ、「人質の朗読会」という作品が気になったので読み始めてみました。
「小川洋子さん、えぐいですよ」
そう聞いていたので、えぐそうな題名の作品を選んだつもりだったんだけど・・・。
あれ?
えぐくない。
確かに作中、残念な事は起きるが、いろいろなかたちの触れ合いに温度を感じ、笑みがこぼれるところもある。
様々な描写は共感できるし、その説明が過不足なくちょうどよく、あちこちに読者が想像を広げる余地も残っている。
なにより、おもいやりとやさしい気持ちがこもっている。
3分の1ほど読んだところで、「朗読された」という設定なのだから朗読しよう。ふと、そう思い立ち、さっそく実行。
朗読なんて久しぶり。
学生以来、いや、ちびっこに本を読んであげてたことがあるので、そこまで遡らないか。
声を出して読むことが久しぶりなので、なんか新鮮な、そして内容も手伝っておだやかな気持ちに。
台詞があったら、登場人物に合うよう声色を変えたり。
読み進めて「朗読した人」の性別が判ったら、声のトーンを変えたり。
声に出して読むことで学生の頃をなつかしく思い、
声に出さなければ読み飛ばされていたであろう言葉を、
電子辞書でタッチペンを使い検索することで便利になった現在をしみじみ思う。
そんな今日この頃です。

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