少し前ですが、作曲家の伊福部昭氏が逝去されました。氏と言えば、映画「ゴジラ」シリーズの音楽であまりにも有名です。あと封切り時、私を恐怖のどん底に叩き込んだ「大魔神」も氏の作品なのです。訃報に接し、改めて「ゴジラ」のDVD見てみました。もちろん、1954年に公開された第1作です。
つくづく思うんですが、この映画、立派な「反核兵器」映画ですね。人類が水爆実験を通じて自らの手で目覚めさせてしまった災厄である「ゴジラ」の存在は、一片の慈悲も持たぬ凶悪かつ脅威以外の何ものでもないものとして描かれています。火の海と化した東京。唐草模様の風呂敷に家財道具を包み、リヤカーを引っ張って逃げる群衆。トラックで避難するのは、坊主頭やおかっぱの子供たち(時代ですなぁ〜)。最後の最後までラジオ中継し「みなさん、さようなら!」という叫びを残して報道という職務を全うしたアナウンサー。飛んでいる火の粉から子供をかばいつつ「もうすぐお父さまのところへ行くのよ」と、自分と子供に必死に言い聞かせる逃げ遅れた母親。病院(学校?)に担ぎ込まれ、廊下にあふれかえるように並んだ死傷者。その血まみれの人たちを必死に看護するナース。手当も空しく死んでしまった母親の前で泣きじゃくる子供。当時の大人が見たら、たかだか8年前に終わったばかりの「悲惨な戦争」と「東京大空襲」と「ヒロシマ・ナガサキ」を思い出したにちがいありません。見ている私もカラーでないだけに、まるで昔の記録映画を見ているような錯覚を覚えます。
更に、若き天才科学者「芹沢」の苦悩。彼の苦悩は、結果として「核兵器」を生み出してしまったアインシュタインに通じるものがありますな。そして、彼をして研究の過程で生み出されたゴジラ撃退に応用しうる最終兵器「オキシジェン・デストロイヤー」を自らの死と引き換えに使用する決意をさせたのは、他ならぬテレビ中継された、平和を祈る乙女たちの歌声。そしてラジオから流れるその清らかな歌声に手を合わせて拝む、何ら抵抗する術(すべ)を持たない人々たちの祈りなのです。
「安らぎよ、平和よ、疾(と)く帰れかし・・・」
ん〜〜〜良いなぁ〜〜〜 (T^T) 思い出してこれ書いててもぐっと来るね。「ジュラ紀が200万年前?」といったヤボな突っ込みはナシにしましょうや。もちろん、私が最初にこの映画を見たのは子供の時で、NHKのテレビだったんだけど(公開は私が生まれる4年前!)この映画のテーマソングと「東京オリンピック」(1964年)のファンファーレ(こちらは今井光也氏作曲)は、物心つきはじめた私に、その映像とともに強烈なインパクトを与えましたね。
「映画」「画像」と音楽・・・いつかまた、語ってみようかな。