顕現日記 その4

2010/3/28 | 投稿者: losthouse

今日も曇天。少しく肌寒い港区台場。

すっかり通い慣れてしまったゼップ東京というライブハウスへ行き、ボブ・ディラン来日ツアー、東京公演6日目を観る。

実を言うと今日の公演はそもそも行く予定にしていなかったのだけれども、大阪、東京と観続けて来て、連日繰り広げられるその名演奏の数々に、「行かないという選択肢など有るものか、行かなかったら絶対後悔する」という気分になり、でも前売券は完売、当日券も出るのかどうか判らない、という状況でくよくよしていたところ、Twitterでチケットを譲ってくれる親切な御仁と出会い、幸運にもチケットを手に入れる事が出来たのだった。しかも整理番号はAブロックの900番台という良番。譲って頂いた方には、全くもって感謝の念に堪えない。


開場と同時に入場。今日は折角の良番なので、フロア前方の揉みくちゃエリアに陣取る。
開演前のSEとして、今日もポップな音楽にのせた英語の朗読が流れている。なんでもこれはケルアック「路上」の朗読なのだそうだ。「オン・ザ・ロード」ってこと?

ステージ奥で焚かれているインセンスの香りが、今日は僕の居る場所にまで漂って来る。
バンド・メンバー用のドリンクとセット・リストが配置され、今日も唐突に始まるヤナーチェクのSE。
客電が落ちて、アナウンスが流れ、揃いの黒スーツを着たメンバー5人と、こちらも黒スーツのボブ・ディランが登場。
今日のディランは白い帽子に、銀のラメ入りシャツ+ネクタイ(スカーフ?)。

1曲目が始まる。が、なんだこりゃ?ハードなギター・リフが繰り返される。
こんな曲知らないぞ、と思って慌てていると、ディランが歌い出して漸く曲名が判った。
79年のゴスペル・アルバム「スロー・トレイン・カミング」B面の1曲目、「考え方を変えよう」だ。
なんとまぁマニアックな選曲。意外な曲目に、客席も盛り上がる。

2曲目も、何だか聴きおぼえの無いイントロ。ディランがオルガンを離れ、ステージ中央のスタンド・マイクに忍び寄り、歌い始める。
「My love she speaks like silence…」おお、「ラヴ・マイナス・ゼロ/ノー・リミット」だったのか!
低音の効いたボーカルで、シリアスに歌い込むディラン。今日のボーカルも絶好調なのは言わずもがな。ハーモニカのソロも大変素晴らしく、ディラン自身も盛り上がったのか、コーラスふた回しぶんハーモニカを吹き続ける。
ここまで2曲、日本ツアー初披露となる曲目が続く。

3曲目、今日もぺけぺけギターが炸裂した「アイル・ビー・ユア・ベイビー・トゥナイト」を挟んで、4曲目にはまたしても日本ツアー初登場、「運命のひとひねり」。
言葉のひとつひとつを丁寧に歌い込むボーカルが素晴らしい。

「トゥィードルディーとトゥィードルダム」でロックンロールの世界へ舞い戻った後、「嵐からの隠れ家」。今日はドニー・ヘロンのペダル・スティール・ソロが素晴らしかった。

次が「サマー・デイズ」。連日ニコニコでノリノリのディランが観られる曲目だが、今日もとっても楽しそう。客席を指差して、歯を剥き出して笑っている。

8曲目には、2006年のアルバム「モダン・タイムス」の白眉となる名曲「ワーキングマンズ・ブルース#2」が、これも日本では初めて演奏された。

次の「ハイ・ウォーター(チャーリー・パットンに)」でも、バンジョーを手にしたドニー・ヘロンの活躍が目立つ。彼の演奏に煽られて、ステージ中央で歌うディランのボーカルにも火が着くのがわかる。

そして10曲目、東京初日に僕の涙腺を決壊させた「トライン・トゥ・ゲット・トゥ・ヘヴン」が再び登場。
それにしても美しいメロディ。美しいボーカル。この曲のこのアレンジを聴いていると、どうかこのまま演奏が終わらないでいて欲しい、と祈るような気持ちになってしまう。僕にとっては今回の日本ツアーを代表する曲目になってしまった。

11曲目は不動の「ハイウェイ61再訪」。今日はチャーリー・セクストンのスライド・ギターが炸裂してて良い感じ(ジョニー・ウィンター・バージョンへのオマージュか?)。

次にはまたしても日本初登場、「ネティ・ムーア」が演奏される。矢張りバイオリンを弾くドニー・ヘロンの貢献が目立つ。
そしていつもの「サンダー・オン・ザ・マウンテン」、「やせた男のバラッド」を熱演して、本編は終了。


数分の後、アンコールに応えて、これも不動の「ライク・ア・ローリング・ストーン」が始まる。
実はこれまで、「ライク・ア・ローリング・ストーン」に関しては、いかにもファン・サービスといった感じであまり前向きに聴けていなかったのだけど、今日の演奏を聴いて認識を改めた。
ニコニコと楽しそうに演奏をするディラン。客席を指差して、「おいおい何かすげぇ盛り上がってるよ」とでも言わんばかりに、演奏中にメンバーの方を向いて爆笑するディラン。途中で歌詞を忘れたのか詰まってしまい、照れ臭そうにするディラン。もう一回ひとヴァース歌い直すディラン。そんなディランを眺めて微笑む、トニー・ガーニエやドニー・ヘロン。最初から最後まで、メンバー全員が演奏する歓びに満ち溢れている。とても良い演奏じゃないか。

次の「ジョリーン」も、いい加減聴き飽きても良さそうなものだが、やっぱり面白い。
ブレイクの部分でノリノリになって歌うディランを、間近で観られるだけでも幸せだ。

そしてメンバー紹介の後(今日は出身地の紹介は無かった)は、今日も「風に吹かれて」のイントロが始まった。
「The answer, my friend, is blowin’ in the wind,The answer is blowin’ in the wind」
コーラス部分の終わりで、客席から割れんばかりの拍手と歓声が巻き起こる。
そしてオルガンを離れ、ステージ中央に歩み出たディランが吹く素晴らしいハーモニカのコーダで、今日のライブは終了した。

歓声に応えて、メンバーと共に舞台中央に一列に並び、両手を小さく挙げるディラン。
いつもはそれだけでスッ、と帰ってしまうのに、今日は客席に向けて深々とお辞儀をしていた。


Set List:
Zepp Tokyo
March 28, 2010

1.Gonna Change My Way Of Thinking

2.Love Minus Zero/No Limit

3.I'll Be Your Baby Tonight

4.Simple Twist Of Fate

5.Tweedle Dee & Tweedle Dum

6.Shelter From The Storm

7.Summer Days

8.Workingman's Blues #2

9.High Water (For Charley Patton)

10.Tryin' To Get To Heaven

11.Highway 61 Revisited

12.Nettie Moore

13.Thunder On The Mountain

14.Ballad Of A Thin Man

(encore)
15.Like A Rolling Stone

16.Jolene

17.Blowin' In The Wind


Band Members
Bob Dylan - guitar, keyboard, harp
Tony Garnier - bass
George Recile - drums
Stu Kimball - rhythm guitar
Charlie Sexton - lead guitar
Donnie Herron - violin, banjo, pedal steel, lap steel







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