顕現日記 その3

2010/3/26 | 投稿者: losthouse

曇天。小雨もそぼ降る港区台場。

ゼップ東京、というライブハウスへ行き、ボブ・ディラン来日ツアー、東京公演5日目を観る。

21日に引き続き、今日のチケットもBR200番台。かなり後ろの番号である。
前回味を占めたので、今日もフロア前方には目もくれず、最後方に位置する一段高くなったブロックへ突進。ステージ全景を見渡せる、好ポジションを確保することが出来た。

開演予定時刻を少し過ぎた頃、唐突なタイミングでSEが鳴り(ヤナーチェクの曲らしい)、客電が落ちる。
いつもの呼び込みアナウンスが始まり、バンド・メンバーとご本尊がステージへ登場。
フロアを埋め尽くす群衆の拍手と歓声。

今日のディランはいつもの黒スーツに黒帽子、それに緑色のスカーフ付き?シャツ。
オルガンの定位置に着いて、ブギーのイントロが始まる。

1曲目は「豹革の縁なし帽」。
大阪で観たときと同じ曲目だが、フロアの前方で揉みくちゃになりながら観ていた大阪公演と違って、今日は落ち着いて演奏を堪能出来る。
そのせいかも知れないが、大阪での演奏よりも、バンドも歌も幾分タイトに感じられる。
ディランは今日もニコニコでご機嫌。「Pill-box haaaaaat!」とシャウトする部分では、客席の真正面に顔を向け、「どうだ、凄ぇだろ」みたいな表情で観客を煽る。

2曲目、「レイ・レディ・レイ」。
ディランがオルガンを離れ、ステージ中央のスタンド・マイクで熱唱する。
これもまた大阪公演と同じ曲目。しかし明らかにディランとバンドの演奏に対する集中度が違う。
大阪ではディランのハーモニカを存分に堪能する事が出来たが、今日はハーモニカは少なめ。その分、堅実な演奏が繰り広げられる。

3曲目には、日本ツアー初登場の「親指トムのブルースのように」が演奏された。
奔放なイメージを連ねる歌詞が、オリジナル・バージョンとはまるで違う、不安定でありながらも実に美しいメロディ・ラインで歌われる。
今日もボーカルは絶好調。

4曲目は僕の大好きな「エヴリ・グレイン・オブ・サンド」。
81年のアルバム「ショット・オブ・ラヴ」に収録されたスロー・ナンバーだが、現在のディランの手に掛かると、とてもソウルフルで激しい演奏に生まれ変わってしまう。
曲の後半では、ステージ中央に進み出てハーモニカ・ソロ。
ベンドの効いた、素晴らしいソロを聴かせる。

5曲目、「サマー・デイズ」。
東京公演初日でも、ノリノリのディランを拝む事が出来たロックンロール。
今日も、お尻を振りながら、早口で歌詞をまくし立てる上機嫌のディラン。モールス信号みたいな不思議なオルガン・ソロを奏でる上機嫌のディラン。フロアの歓声も一際大きくなる。

薄暗い照明のなかで、ドスの効いた低音ボーカルを披露した「シュガー・ベイビー」と、演奏が堅実にまとまり過ぎてちょっと小じんまりしてしまったかな、という感じだった「トゥィードルディーとトゥィードルダム」を挟んで、8曲目には「メイク・ユー・フィール・マイ・ラブ」。
大阪ではオルガンを弾きながら歌ったこの曲で、何とディランがギターを持ち出した。今日もサンバーストのストラトキャスター。
メロウで美しい演奏を聴かせるバンドにのせて、イントロから調子の外れた爆音ギターが鳴る。
ぺけぺけぺん、ぺけぺけぺん、という「これぞディランのギター・ソロ」なフレーズに、観客が沸く。

そして、ここから本編終了の14曲目までは、大阪で観たライブと全く同じ曲目が続いた。
「日替わりのセット・リスト目当てに、日参して色んな曲を楽しみたい」追っかけとしては、外れくじを引いた気分だが、逆に考えると、「全く同じ曲目でも、日によって演奏がこんなにも違う」楽しみを味わえるというのは、ディランのライブでは希有な体験だとも言える。

バンドのノリは大阪で観たときよりも格段に良くなっているし(しかしチャーリー・セクストンだけは何故か大阪よりも大人しめだった。ディランに怒られたのか?)、ディランのボーカルも気迫が増している。

「オネスト・ウィズ・ミー」では、歌の途中で客席を指差して「ウワーハッハッハー」と笑い出してしまったディランを観られたし、今日の「痩せた男のバラッド」は、ディランの振り付けが以前よりだいぶ大仰になっていて、その一挙一動が兎に角格好良かった。


そしてアンコール。
ここからはいつも不動の3曲なので、「ライク・ア・ローリング・ストーン」「ジョリーン」が終わり、ディランによるバンド・メンバーの紹介が終わった時点で(ちなみにこの日のメンバー紹介では、名前と担当楽器と共に、それぞれの出身地までが紹介された)、「さて、次は見張り塔で終わりだな。今日も良かったな」と安心していたところ、どうもディランがごそごそとハーモニカを準備している。
「あれ?見張り塔でハーモニカは吹かない筈では?」と思っていると、後ろでドニー・ヘロンがバイオリンを構えている。
まさか、と思っていると、「風に吹かれて」のイントロが鳴り出した。
ビートの効いた、雄々しいアレンジ。
「How many roads must a man walk down」の歌い出しで、興奮の坩堝と化すフロア。
気迫のハーモニカ・ソロで、歓声に応えるディラン。
サプライズにふさわしい選曲だった。


さて、残すところあと2日。次はフロア前方で、また揉みくちゃになりながら観よう。


Set List:
Zepp Tokyo
March 26, 2010

1.Leopard-Skin Pill-Box Hat
(Bob on keyboard, Donnie on lap steel)

2.Lay, Lady, Lay
(Bob center stage on harp)

3.Just Like Tom Thumb's Blues
(Bob on keyboard and harp, Donnie on lap steel)

4.Every Grain Of Sand
(Bob on keyboard then center stage on harp)

5.Summer Days
(Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)

6.Sugar Baby
(Bob center stage on harp, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)

7.Tweedle Dee & Tweedle Dum
(Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)

8.Make You Feel My Love
(Bob on guitar, Stu on acoustic guitar)

9.Honest With Me
(Bob on keyboard, Donnie on lap steel)

10.Po' Boy
(Bob on keyboard and harp, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar, Tony on standup bass)

11.Highway 61 Revisited
(Bob on keyboard, Donnie on lap steel)

12.I Feel A Change Comin' On
(Bob on keyboard, Donnie on lap steel)

13.Thunder On The Mountain
(Bob on keyboard, Donnie on pedal steel, Stu on acoustic guitar)

14.Ballad Of A Thin Man
(Bob center stage on harp, Donnie on lap steel)

(encore)
15.Like A Rolling Stone
(Bob on keyboard, Donnie on pedal steel)

16.Jolene
(Bob on keyboard, Donnie on lap steel, Tony on standup bass)

17.Blowin' In The Wind
(Bob on keyboard then center stage on harp, Donnie on violin)


Band Members
Bob Dylan - guitar, keyboard, harp
Tony Garnier - bass
George Recile - drums
Stu Kimball - rhythm guitar
Charlie Sexton - lead guitar
Donnie Herron - violin, pedal steel, lap steel







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