エンジニアリング日記

2009/11/22 | 投稿者: losthouse

大通りの交差する東池袋の冷たい街路を抜け、あうるすぽっと、という劇場へ。

サラ・ケイン作、飴屋法水演出「4.48サイコシス」を観る。
http://festival-tokyo.jp/program/ameya/


飴屋法水の舞台を観るのは、1988年、渋谷のパルコで演ったMMMの旗揚げ公演「SKIN」以来のこと。
東京グランギニョルに間に合わなかった口惜しさにオトシマエをつけるべく、かなり興奮して観た覚えがあるが、僕はあの舞台をたぶん一生忘れない。

大音量で鳴るハンマー・ビートと、光の洪水。その中で全身を痙攣させてのたうちまわる嶋田久作。
中学生だった僕は演劇なんて観てるつもりは全く無くって、パンク・ロックやノイズ・バンドのライブを体験するのと同じようにそれらを浴びた。

結局MMMはその後すぐになくなって、飴屋法水は美術家になったりペットショップになったりで舞台から離れてしまったが、「どうやらまた演劇をやってるらしいぞ」という話を人づてに聞いたのは割と最近。「転校生」という平田オリザの戯曲を演出して、それが大変素晴らしかった、という噂を聞いたのだ。

そして今回、21年ぶりに飴屋法水の舞台を観た。

ひょっとしたら再演もあるかも知れないので、中身のことは詳しく書かない。
舞台の構造自体がかなり特殊で仕掛けだらけなので、それを書いてしまうと初めて観るときの楽しみが損なわれてしまうと思うから。

だけど開演して数分、内蔵が裏返しになるような大音量のノイズに合わせて、2台のドラム・セットが単調なハンマー・ビートを鳴らし始めた瞬間の、素晴らしい音響の事は書いておきたい。

僕は別に音響エンジニアでは無いから専門的な事はわからないけれど、そのかなり特殊な舞台装置の視覚的な奥行きも相まって、舞台奥から客席後方までをソリッドな音塊が埋め尽くしているような圧迫感。
大変気持ちが良かった。

また、役者の肉声と、マイク入力でエフェクト加工された声がミックスされる具合や、劇場の壁や床が震えるほどの大音量で鳴るノイズの低音が止むと、一転、舞台上で鈴虫が鳴いている、といった音響効果は絶大で、ここまで「音の良い」演劇、というのは初めて観たような気がする。

終演後になって、劇場に入るときに渡された冊子に書かれたスタッフ・クレジットを見ていたら、「音像設計:ZAK」と書かれていた。
やっぱりね、と思った。

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