連帯日記

2006/5/25 | 投稿者: losthouse

ル・グィン「所有せざる人々」を読む。

読んで、感動する。
小説を読んでこれほどわくわくして感銘を受けるなんて、十代の頃なら兎も角、もう大人になってしまったら無いだろうと思っていたので。

惑星ウラス。資本経済とマテリアリズムに毒された世界を見捨て、革命を志すアナーキストのグループがウラスにとっての月にあたるアナレスという惑星へ移住する。
彼等はアナレスで百年以上の歳月をかけて、高度にシステム化された無政府社会を作り上げるのだったが、アナレスは物資の乏しい不毛の惑星であり、そこで暮らす人々は食事や水の量まで制限されて、ウラスのブルジョワからは年中腹を空かせた囚人としてしか認識されていない。
物語はアナレス人の天才物理学者である主人公が、ウラス政府から招待されてウラスの地へやって来るところから始まる。
彼が見たユートピア、それはウラスなのか、アナレスなのか、真に自由なのはウラス人か、アナレス人か、というのが物語の骨子である。

って書くと、アレゴリーに充ちた教条小説みたいに思われるかも知れないけど、なにより感動的なのは主人公の人物像であり、人間ひとりを丸ごと描写したような素晴らしい文章なのである。
酒飲んでゲロを吐いたり、女で失敗したりして悩んだり闘ったりするひとりの男、読んでいくうちにすっかり彼に共感してしまって、本を読んでいるあいだ中、誰かと人生を共にしているようなこの感覚、長年忘れていたけど十代の頃にドストエフスキーを読んだとき、アリョーシャ・カラマーゾフやムイシュキンと共に歩いたあの日々の感覚とまるで一緒だな、と気がついて、これはとっても良い本だし、俺もまだまだイケる、と思った。




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